静岡県が被害拡大させたとする盛り土、届け出よりも多量か… これまでにも数回の指導 /熱海市の土石流災害 7日午後6時
県の担当者
Q.盛り土されていた場所について、危険性は持っていたのか
A.「危険性があったという認識はない。仮に何らかの開発がされても、しっかり対策されているから開発がされている。危険な状態で放置していることはない」
Q.開発は不適正ではなかったと
A.「今時点ではそう思っている。盛り土自体が被災の原因というよりも、異常気象が被災の原因と考えている」
ところが、きょう7日になってその見解を一転させました。
副知事「盛り土の工法は不適切」
難波喬司副知事(7日午前)
「この盛り土の工法が適切だったのかというと、技術者の見解としてこの工法は不適切だったと思います」
難波副知事は盛り土をする際に必要な排水設備が設置されていない可能性を指摘。土砂の中にはプラスチック片のようなものが混ざっていたといいます。
県の調査によると、2010年には土地の改変が行われていた可能性があるそうです。
「10年前にはトラック行きかう」
起点となった現場の近くに長年住む人も、この場所に向かうトラックを頻繁に見掛けた時期があったと話します。
近隣住民(60代):「もう10年以上前じゃないですか。ここの下の道の人たちがダンプカーが来て振動がすごいと、町内でも話題になっていた。それも(1台ではなく)かなりの数だと思うので。恐らく湘南ナンバー、神奈川県からだと思う」
現所有者側「盛り土とは聞いていない」
この土地は神奈川県内の不動産会社から、2011年に現在の所有者へ売却されました。当時は盛り土された土地とは知らずに売却されたそうです。
現所有者の代理人
「盛り土という話は聞いていません。ただ段々畑状になっていました、買った時は。今から思えば、そういう盛り土をしたとすれば、盛り土をした後だったんですね」
Q.崩れることは予見できたか?
A.「まったくわからなかったんじゃないですか、(現所有者)本人が大変びっくりしています。埋め立てをしたとか一切ありません」
2010年、不動産関係者が撮影した映像には、崩落現場のすぐ隣に数軒連なる住宅があります。当時はまだ建設中で、道路上にはクレーン車が止まり、建設用の資材が置かれています。
崩落現場を見渡せる場所も訪れていました。
動画の撮影者
「今回の物件ですけど、ここから先の山になります。ここから先ずっと山になって、海が非常に眺めがいいです。すごい眺めです。段々になって少し作ってあるところもあります」
当時の土地の所有者は盛り土を行った業者です。すでに土が階段状に積まれていたことがわかります。
当時の現場周辺をよく知る人物は―
当時を知る関係者
「一見すれば残土ですよね。処分残土というね、皆さん捨て場を探しているから需要はいくらでもありますよね。今みたいな段々になっている形で、宅地としては作られないようなところだったんですよ」
建設用の残土の捨て置き場のような場所で、宅地目的ではなかったのではないかと証言します。
現時点で、土石流と盛り土の因果関係は分かっていません。
静岡県の難波副知事が会見
この問題をめぐり、7日午後4時から難波副知事が会見を開き、現場周辺の土地の改変行為が誰によって何ために行われたのか、どのような行政手続きが行われていたか、明らかになりました。
難波副知事
「適正に行為されていないということは間違いない。いろんな面で手続き違反とか、手続きがされていないことがたくさんある」
県によりますと、土石流が発生した現場の周辺では、いくつかの業者によって7つの土地改変行為が行われていて、複数の不適切な行為(違反行為)が行われていたことがわかりました。県と熱海市はこれまでに複数回にわたって指導を行っていたということです。
盛り土については、業者が2006年に土地を取得。その翌年、県の許可を得ずに1ヘクタールを超える面積の林地開発を行ったため、県は「林地開発許可違反」として、森林などを元の状態に戻すことを求めていました。
さらに、その後、盛り土には木くずなどの産業廃棄物が混ざっていたことが判明。県は行政指導や事業の中止を要請していて、
その後、土地の所有者は別の所有者に移っています。
難波副知事
「もう一ついえるのは盛り土が申請では、3万6000立方メートルになっている。県が申し上げたのは5.4万なので違っている」
また、県に届け出があった計画より、盛り土の量は多く、高く積まれている可能性があることがわかりました。県は今後、熱海市とともにどのような行政手続きが行われていたか、改めて確認していくとしています。