【告白】元日本代表・槙野智章が清水・乾貴士を直撃!「あれがなかったら辞めていた」“戦術・乾”清水の絶対的司令塔の1年を激白

 元日本代表の槙野智章さんが、静岡朝日テレビのスポーツ番組「スポーツパラダイス」で、2018年のロシアW杯でともに日本代表として戦った清水エスパルスの乾貴士選手にインタビューした。1年前、所属クラブがなかった乾選手。清水に加入してからの1年間や現在の役割、新たなポジションで参考にしている選手、想いを激白した。

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エスパルスにかけているところは

槙野「エスパルスに来て1年間経ちましたが、自分の現在地は?」
乾「来た時よりも責任感も強くなっている。自由に全てをやらせてもらっている分、自分が良くないと負けると思っているし、勝たせないと自分のせいだと思っているので、その辺は責任を持ってやっている」
槙野「乾選手は、海外・日本代表・Jリーグでも経験値が高い中で、このエスパルスに欠けているもの、足りないものは?」
乾「勝負強さ。ひとつのプレーに対しての執着もそうだし決定的な仕事をするかどうか。止めるかどうか。ちょっとしたところですが、その辺の勝負強さが弱いからこの順位だろうし…」
槙野「それ(勝負強さ)をつけていけば、よりいいチームになっていく?」
乾「と思います」

 現在、清水における乾選手のポジションは、攻守にわたり中心となってチームをけん引するトップ下。18節の金沢戦では秋葉監督が「戦術・乾」と口にするなど、信頼感は厚く、乾選手を出場停止で欠いた28日の秋田戦(0-1)ではホームで痛恨の敗戦を喫している。

 長く左サイドを主戦場にしてきた乾選手。プロでは初挑戦のトップ下で、ここまでJ2で3ゴール6アシストを記録している。

参考にするのはイニエスタ選手

槙野「乾選手が トップ下に入ったことで得点にからむことが多くなったのでは?」
乾「前(FW)の選手だけでなく、ボランチの2人だったりが自分をよく見てくれているのは大きい。秋葉監督が「貴士を見ろ!」と言ってくれているのも、ボールにからむことが増えている要因」
槙野「(トップ下への)ポジションチェンジで自分のプレーを変えていく思いはある?」
乾「ある! 今(トップ下)は、どこからでも相手が来るから、状況をしっかり判断しないといけない。だから参考にするのはイニエスタ選手」
槙野「へ~!!」
乾「(槙野さんと去年同僚だった)イニエスタ選手すごくない?」
槙野「スゴイ!!あの乾貴士が参考にするのはイニエスタ選手なの?」
乾「イニエスタ選手は状況判断、最後の最後までプレーを変えられる。あれは、参考に出来ると思って」
槙野「そうなんだ」
乾「今は、イニエスタ」
槙野「イニエスタのプレー集を見てる?」
乾「うん。(プレーは)イメージをしないとできないことの方が多いから、イメージさえちょっとでもしておけばと思って見るようにしている」

脳裏によぎった『引退』

槙野「ポジションチェンジをしてプレーの幅の広がり・喜びは?」
乾「左サイドをここからずっとやっていくよりも選手寿命は延びるかな。サッカーができる時間が延びたことは、うれしい。あとは、新しいポジションで、まだここでうまくなりたい。今からまだ成長できるかなという喜びもあるし、楽しみもある」

 そんな乾選手が清水加入が発表されたのが2022年7月22日。C大阪を退団し、所属チームがなく、J2岡山で練習参加。脳裏には引退もよぎっていたという。

槙野「乾選手も今年で35歳、これまでいろんなチームを移籍したり、経験する中で家族の支えは大きかったですか?」
乾「それは大きかった。去年もいろいろあった中で子どもも心配してくれましたし…子どもに「引退しようかな」って言った時に…「いや、せんといてほしい」「引退しないでほしい」って言われたから、何か、子どもの中でもいろいろ辞め方とかもあるのかなと思うし、もっとやってほしいという思いがあって正直に言ってくれた、あれがなかったら辞めてたかもと思います」

 そして、引退を踏みとどまったもう一つの理由が、J2岡山での時間。

乾「岡山に行けたことがデカかった。あれがなくて一人でずっと練習をやらされていたら、もうきつかった」
槙野「岡山はどのくらい練習参加していた?」
乾「1カ月くらいしていた。本当にJ2しか経験がなく、J1を目指しているチームは(行った)経験がない、俺も初めてだった。経験がある選手もいれば、そこでもがいている選手もいる、頑張ろうとしている人たちもいるし」
槙野「みんな野心を持ってやっている」
乾「あれが見られたのは、ひとつサッカー観としても大きかった」

「1年でJ1に上げて恩返しがしたい」

画像: 「1年でJ1に上げて恩返しがしたい」

 家族からの思い、そして岡山での経験を糧に一回り大きくなった乾貴士。去年7月、清水で新たな一歩を踏み出した。 

乾「俺を拾ってくれたチームがエスパルスなので、まずは去年J2に降格させてしまったことは責任を感じている。でも、今年、しっかり1年でJ1に上げて恩返しがしたい、責任を果たしたい。特別なクラブになりました」

槙野「僕は去年35歳で引退しましたが、乾貴士はいつまでサッカーをやりたい?」
乾「長くやりたいので、一つの節目として“40”こんな性格だし、やんちゃな奴なのでどこが獲ってくれるかもわからないし、エスパルスに居られたらそれが一番。契約もらえるようにがんばります(笑)」