リニア問題をめぐる週末の2つの出来事 JR東海株主総会と国の有識者会議

リニア問題を巡っては国の有識者会議やJR東海の株主総会でもさまざまな意見が飛んでいます。「静岡のメリット」と「自然環境への影響」が大きなテーマです。

画像: リニア問題をめぐる週末の2つの出来事 JR東海株主総会と国の有識者会議 youtu.be

リニア問題をめぐる週末の2つの出来事 JR東海株主総会と国の有識者会議

youtu.be

静岡市・難波喬司市長(静岡市役所:23日):
「田代ダム案というのは非常に有力な案ですので、協議をぜひ進めて行かれたらよろしいのではないかなと」

画像1: リニア問題をめぐる週末の2つの出来事 JR東海株主総会と国の有識者会議

川勝知事(13日):
「水はみんなのものであり、同時に誰のものでもある。誰のものでもないという、そういう性質のものではないかと思っております」

 ここにきて県内でも急速に動き始めた「リニア問題」。

 そうした中、先週金曜、静岡県外では2つの出来事が。

 JR東海の株主総会には344人が出席。

 株主から質問が相次いだのはやはり「リニア問題」だったといいます。

 JR東海側は着工のめどが立っていないことから2027年の開業は難しいと回答。

 こうした状況に、株主からは「静岡」という言葉が相次ぎました。

JR東海の株主・40代:
「今まで静岡県の知事と話が一向に進んでこなかったので、新しい社長になって別々の人が交渉し合うということでスムーズにいけばいいなと期待している」

画像2: リニア問題をめぐる週末の2つの出来事 JR東海株主総会と国の有識者会議

JR東海の株主・60代:
「静岡の問題もいち早く解決できるようなプロセスはないかと思っているんですけど、これからね。ちょっと難しいだろうと思うんですけど、私もこの年ですので、生きている間にもし開通して乗れるなら乗ってみたいなと思っております」

 株主総会の中ではこんな話も出たようです。

JR東海の株主・50代
「質問のなかでも、もっとやっぱり静岡県でメリットが出るような、「のぞみ」を静岡駅に停めたり、山間部に北海道の海底トンネルみたいに地下駅を造ったらどうかっていう案とかもあったんですけど、富士山(静岡空港)駅っていうのは今回出てこなかったんですけど、もしそういうので静岡が納得してくれるんであれば、どんどんやったらいいのかなとは思うんですけど」

 JR東海は株主総会で株主に対し、「引き続き地域の信頼が得られるよう真摯に対応する」と説明しました。

画像3: リニア問題をめぐる週末の2つの出来事 JR東海株主総会と国の有識者会議

国の有識者会議

時を同じくして都内では…

画像1: 国の有識者会議

森副知事(23日:都内)
「進んだものというか、沢の流量の変化の分析の方法や先生方それぞれの議論が深まったじゃないかと思う」

画像2: 国の有識者会議

 森副知事がこのように評価したのは、都内で開かれた「国の有識者会議」です。

 会議では現在、リニア工事が南アルプスの自然環境に与える影響について議論が交わされています。

 先週金曜の会議ではJR東海が、トンネル掘削に伴う大井川上流域の沢の流量変化の解析結果を示しました。

 その結果、南アルプスの中にある断層とリニアの走るトンネルが交差するような沢では流量が減少する傾向がみられたといいます。

 また、トンネルの真上に沢があった場合には、降水量が少ない時期に地表を流れる水の流量に大幅な減少がみられたということです。

 “水が減ってしまう”というデータが示された中、JR東海は薬液を注入して水の流出を食い止める案を提案しました。

画像3: 国の有識者会議

JR東海・宇野護副社長(23日:都内):
「薬液で完全に減少量を食い止めるということは他の沢でもできていないので、どういった環境保全策をとることが適切なのか今後出ていくと思う。回避、あるいはできるだけ低減するという話もあるし、代償するという話も考え方ではあるので、選択肢があると思うが、まだそこまでいっていないということだと思う」

 薬液、つまり水の流出を抑える「接着剤」のようなものを使うことで水問題については流量が減ることを抑える一定の効果が期待できそうですが、沢に生息する生き物などへの影響といった「環境問題」についてはまだまだ議論の余地が残されています。

森副知事(23日:都内)
「薬剤の注入を積極的に進めるかは専門家の先生に確認しないと私からは答えることができない。専門家の先生がよしとする提案であれば、その方法自体が正しいのではないかという認識」

静岡市・難波喬司市長は

 リニアについて長年、川勝知事の右腕として問題に取り組んできた県の元理事である静岡市の難波市長も、先週金曜、こんな発言をしています。

画像: 静岡市・難波喬司市長は

静岡市・難波喬司市長(23日:静岡市役所):
(リニアの)問題は三つあって「水問題」。水利用の問題です。
それから「発生土砂の置き場の問題」。そして今度は地下水等が下がることによって、南アルプスの自然環境への「生物多様性の問題」。
この3つがあります。
 田代ダム案はこれで、水利用の問題については、田代ダム案である程前に進むと思いますので、これはこれで推移を見守ることが大事かなとおもいます。
 発生土については、これは安定性の問題ですので、そんなに不確実性が高い問題ではないと思っています。
 3つ目の南アルプスの生物多様性については、これは国の有識者会議で今検討がれていますので、それの検討結果を待って、それから前に進むということになると思います。

 変化を見せつつある「リニア問題」

 今後の展開にも注目が集まります。