静岡・川勝知事の『不信任決議案』提出(後)…無所属議員「ちょっと限界かな」 ドキュメント県議会の一番長い日
不信任決議案は、議長を含め議員の3分の2以上が出席し、出席者の4分の3以上の賛成が必要です。県議会には68人の議員がいるため、51票が可決のラインとなります。現在の県議会では可決するには、自民・公明・無所属の全ての議員が賛成しても50票となり1人足りません。そのため水面下ではふじのくに県民クラブに対して、自民の県議による切り崩しが行われていました。
ふじのくに県民クラブ 杉山淳県議:「静岡市以外の議員は、先ほど皆さんホテルをとりました。経費もかかるけど、しょうがない。自民改革会議の議長がそうしろというのだから、従うしかない」
また、おととしの辞職勧告決議案に反対した無所属議員は…。
無所属 山本隆久県議
Q.自民党から何か話は?
A.「自分で決めさせてもらって、賛成するつもり」
Q.辞職勧告の時は反対でしたが?
A.「あの時は、本音としては選挙の時の発言でしょ。選挙の時は熱くなるし。今回は少なくともここ1年くらいの知事の言動が結構おかしいじゃないですか、記者会見とか見ているとよくわかるでしょ、つじつまが合わないことばっかり言っていて、そういうのもあって、ちょっと限界かなという気がしている」
自民改革会議が「不信任案提出の理由」を説明
議会が開会してから12時間が経過した午後10時半、本会議が再開。自民改革会議の増田代表から、不信任案提出の理由が説明されました。
自民改革会議 増田享大代表:「1年半に渡り条例の変更を提案する機会は多数あったにも関わらず、知事は議会への上程を行わず、今日にいたるまで自身で表明した期末手当と給与の返上がなされていません」
知事が給与を返上するための条例を提案してこなかったとした上で、いわゆる「コシヒカリ発言」や田辺信宏・前静岡市長に対する発言など、不適切な発言がたび重なっていると指摘。
自民改革会議 増田享大代表:「川勝平太知事は、静岡県民の生命と財産を預かる職責にある者として、発言の信頼性を根本的に損なうものであり、不信任決議案の提出にいたったわけであります」
その後…。
議長:「議事の都合により休憩します」
またしても休憩に。知事も議場を退出します。
採決は日付変わって…
再開はおよそ2時間後の午前0時半。いよいよ不信任決議案の採決です。
不信任決議案に「賛成」は白、「反対」は青を投票します。注目された無所属の議員たちが、次々に白い賛成票を投じていきます。
可決のラインは51票。結果は…。
議長:「賛成50票、反対18票、以上の通りであります。よって川勝平太知事に対する不信任決議案は否決されました」
川勝知事は無言で帰宅
議会閉会後、川勝知事は知事室へ。
川勝知事(13日午前1時ごろ):「遅くまでお付き合いいただいて、ありがとうございました」
報道陣から川勝知事に対して取材の申し入れをすると…。
県職員:「(取材は)ちょっとお受けできない形になったので、大変申し訳ないですけどきょうはこのへんで、ご理解いただきたいと思うので」
そこに川勝知事が。
Q.知事すみません、ひとことだけ
県職員:「申し訳ございません」
Q.不信任決議案が提出されたことへの受け止めだけ?
県職員:「申し訳ございません」
知事「(エレベーターを待っていて)階段で行きましょう」
何度も記者が質問しますが、川勝知事は無言のまま車で県庁を後にしました。
自民改革会議…辞職求める姿勢『1ミリも変わらない』
異例の展開となった県議会。各会派は…。
自民改革会議 増田享大代表:「目的が達成できなかったことが非常に残念に思っている」
Q.今後も辞職を求めていくスタンス?
A.「その姿勢には1ミリも変わりはありません」
ふじのくに県民クラブ…「不信任決議提案は重たい事実」
ふじのくに県民クラブ 田口章会長:「不信任決議を提案をされたということも、重たい事実ですので、これは知事にもしっかりと踏まえて、これからコミュニケーションをとっていただきたいなと思います」
川勝知事「非常に重く受け止める」
一夜明け、川勝知事が取材に応じました。
静岡県 川勝平太知事(13日午前11時ごろ):「まず昨日の不信任決議案の採決が12時をまわりまして、県民の方々大変心配なさったというふうに思います。この件につきまして、多大なご心配をおかけしたことに対しましては、深くお詫びを申し上げたいと心から思っているところです。県議会の一部会派は、筋を通されたなと、私は受け止めました。結果は票が足りなかったので、私はこの職務に専念すると。この決意は変わりません」
Q.あと一票で可決というところまで行きました。その重みについては、どういうふうに受け止めている?
A.「非常に重く受け止めております。今回、大変多くの方たちが不信任の決議に賛成されたということは、辞職勧告決議に勝るとも劣らない大きな意見として受け止めているということでございます」