【静岡高校野球】監督の采配も見逃せない!

 高校野球は監督の采配も見どころの一つ。今回は静岡県を代表する指揮官たちを紹介していきます。

優勝候補の指揮官

 まずはこの春、初めて県の頂点に立ち、第1シードで夏を迎える加藤学園の米山学監督。現役時代は亜細亜大で主将を務め、大学日本代表にも選ばれるなど名プレーヤーでした。2013年秋から加藤学園を指揮。「全ての事は心からはじまる」をスローガンに掲げ、技術と同様に人間力を高めてレベルアップをはかってきました。今チームは選手が主体的に意見を言い合える空気感を作り上げ、「あくまで私たちはサポート役」と時代に合ったスタイルを確立しつつあります。

今春、チームを県初優勝に導いた米山学監督(加藤学園)
今春、チームを県初優勝に導いた米山学監督(加藤学園)

 第2シードの日大三島を率いるのは永田裕治監督です。報徳学園では全国優勝を含む、春夏通算18度の甲子園出場。高校日本代表の監督を務めるなど実績十分の名将です。「全員野球」をモットーに、昨年は就任3年目で早くも春夏連続の甲子園と結果を出しました。今年も夏に照準を合わせ、虎視眈々とチームを聖地に近づけています。

 常葉大菊川の石岡諒哉監督は選手として甲子園で優勝。その後、社会人野球のENEOSなどでプレーした経験を持ちます。「石岡監督」ではなく、「石岡さん」と呼ばれ、選手との距離が近い指揮官です。

県内を席捲する浜商出身監督

 近年は浜松商出身の監督が県内の高校野球界を盛り上げています。

聖隷クリストファーの上村敏正監督は浜松商、掛川西の監督として春夏通算8回の甲子園出場経験を持ちます。頭とハートを使う緻密な野球で同校初の甲子園出場を狙っています。

 御殿場西の森下知幸監督は常葉菊川の監督として2008年のセンバツで優勝を果たしています。当時、バントなしのフルスイング打線で一世を風靡しましたが、重視しているのは守備力。巧みなノックで選手を鍛え上げていきます。

 その森下監督と常葉菊川時代にタッグを組んだ佐野心監督も浜松商出身。プロ野球選手を経て、指導者になりました。現在は浜松開誠館の監督。週休3日制度を取り入れるなど、斬新な指導で高校野球界に新風を吹き込んでいます。

 2019年から静清を率いるのが長田仁志監督。浜松商、中央大、日本楽器(現ヤマハ)で活躍し、ヤマハの監督としては都市対抗ベスト4に導いています。数年間で守りを中心とした引き締まったチームを作り上げて昨夏は準優勝。甲子園まであと一歩に迫っています。

 さらに今年、山田忠監督が飛龍の監督に就任しました。2000年夏に母校を甲子園に導いた実績があり、その手腕に注目が集まります。

チームの再建を図る山田忠監督(飛龍)
チームの再建を図る山田忠監督(飛龍)

若手指導者も注目!

 名門・静岡を導くのは池田新之介監督です。島田商の監督時代には2018年夏県準優勝、母校に監督として戻って1年目の夏に甲子園出場を果たしています。選手を熱く鼓舞する姿が印象的です。

就任3年目を迎えるOBの池田新之介監督(静岡)
就任3年目を迎えるOBの池田新之介監督(静岡)

 2006年夏、甲子園で「ほほえみ王子」として話題となった大野健介氏とバッテリーを組んだ静岡商出身の増井裕哉監督は若手指導者の有望株。伊東商、浜松北の監督を経て、この春から浜松工の指揮をとっています。甲子園から遠ざかる古豪をどう進化させていくのか。腕の見せどころです。

著者 栗山司
くりやま・つかさ 1977年、静岡県生まれ。スポーツライター・編集者。雑誌『野球小僧』の編集者を経てフリーに。2012年に地元・静岡に根差した野球雑誌『静岡高校野球』を自費出版で立ち上げ、年2回発行。ブログ『静岡野球スカウティングレポート』(http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/)でも県内の野球情報を発信する。
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