1ドル=150円突破 外国人観光客コロナ禍前の85%に回復も…ステーキ店「輸入物軒並み値上がり。つらい」
10月3日、およそ1年ぶりに1ドル=150円を突破した外国為替市場。この影響が静岡県内にも広がっています。
「円安効果」? 外国人観光客がコロナ禍前の85%
9日、静岡市清水区の観光地には多くの外国人観光客の姿が…。
アメリカ人「私たちアメリカ人にとっては、旅行で安くなるので嬉しいです」
南アフリカ人「円安が理由で日本旅行を決めたわけではありません。でも、予約してからどんどん円が安くなっていて、とてもありがたいです。円安の影響は大きい。南アフリカの通貨も弱いので助かった」
オーストラリア人「(日本は)観光の目的地として良いですね。オーストラリアドルは、アメリカドルと比較すると、非常に弱いです。しかし、私たちにとって日本円は、手頃でありがたいです」
インド人「いつもネットで検索(して比較)するんですけど、長崎でショッピングモールに行った時に、ショッピングモールの値段がお手頃でした」
日本を訪れる外国人観光客にとってはありがたい“円安”。最新の訪日外国人客数は、2019年の同じ時期の85.6%の215万6900人となりました。回復率を見ると、前月を上回り、新型コロナウイルス拡大後初めて8割を超えました。
ステーキ店「輸入物、軒並み値上がりでつらい」
その一方で、海外へ行く日本人の数はコロナ前の水準には程遠い状況です。「円相場」の影響は「観光」だけでなく、こんなところでも…。
嶋田光希アナウンサー:「こちらの店ではオーストラリア産の牛肉を主に扱っていますが、仕入れ価格が半年前から上がりだし、1年前と比べて1.3倍ほどになったといいます」
静岡市葵区人宿町のステーキ店。店の一番人気は、店の名前に由来した「カウボーイステーキ」です。
こちらのお店で主に扱っているのが、オーストラリア産の輸入牛肉。円安の影響で急激な仕入れ価格の高騰に直面していました。
カウボーイ人宿町店 黒河内誠オーナーシェフ:「輸入物全般、軒並み値上がりが続けている感じなんで、つらい。メーンの牛肉だとか、付け合わせに使うコーンだとか、もうそういった類いのものが全部。やっぱり輸入に頼ってる部分があるんで、もうほぼ全部ですね」
当然、ステーキ店にとって「肉」の値上げは痛手となります。さらに「肉」だけではなく、海外からの輸入品は軒並み値上げになっていて、こちらの店で扱っている輸入ワインも仕入れ価格の高騰のため3回値上げをしました。
店で扱っている食材は7割から8割が輸入品。やむを得ず、半年前にメニュー価格を引き上げました。
カウボーイ人宿町店 黒河内誠オーナーシェフ:「ランチで大体300円前後を上げさせてもらって、ディナーに関してはもうちょっとプラスで400円から500円ぐらい品物によっては上げさせてもらう感じなんで。なるべく上げないようにこらえてるんですけど、ちょっと今後はどこまで耐えられるかな、というところです」
現在の仕入れ値は、1ドル140円で計算された価格。円安が進めばさらなる仕入れ値の高騰もあり得るといいます。
カウボーイ人宿町店 黒河内誠オーナーシェフ:「特にランチなんかは気軽に楽しんでもらいたいという気持ちがあるので、なるべく価格を抑えたい半面、今が人件費も高騰しているので、兼ね合いが非常に難しいですけど、本当に出来る限りの企業努力をしながら限界も来ているので、値上げのお願いもしてるんですけど、今後の動向を見ながら、なるべく価格に影響が出ないように営業していきたいなと思っています」
こちらの店では円安による食材費高騰の対策としてメニューの数を減らしたり、比較的影響の少ない国産牛を使用する検討などをしているそうです。
カウボーイ人宿町店 黒河内誠オーナーシェフ:「中には辞めてしまう人もいるとは思うんですけど、僕らは何とかまだ若いのもあるんで、何とかこらえながら、いつかこういう状況が収まって、もうちょっとみんなが楽しく食事ができるようなお店になるように頑張っていきたいと思ってます」