摘発から1年…沼津市の巨大盛り土は 住民「雨が続くと不安」 静岡県「優先順位つけてやってきたが…」

 静岡県熱海市の土石流災害を受け、県が行った盛り土の総点検で明らかになった県内196カ所の不適切な盛り土。8日、県は県盛土等対策会議を開き、県民に向けて、違法な盛り土の住所や規模など具体的な情報を公表することを決めました。県は関係機関と調整し、速やかにホームページに掲載するとしています。地域住民の関心を高め、不適切な行為を抑止するためです。

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 一方で…。

林輝彦アナウンサー:「沼津市宮本です。周りは住宅街です。沼津市の建設業の男性が市の規制を超えて盛り土をしたとして逮捕されてから1年が経ちました。現在の状況なんですが、草や木が生い茂っていて、すべてを確認することができませんが、盛り土されているのがわかります」

 去年3月、無許可でおよそ1400平方メートルにわたり市の条例の規定を超える盛り土をした疑いで建設業の男性が逮捕され、その後、執行猶予付きの判決を受けました。警察によりますと、盛り土は複数の建設現場から出た残土で、高さは市の条例の規定を5倍も超える5メートル以上だったということです。

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 この盛り土のすぐ隣には民家が立ち並んでいます。おととし11月には直径およそ1.5メートル、重さおよそ2トンの岩が住宅の敷地内に落ちる事故がありました。

近隣住民「一日も早く撤去を」

 盛り土近くの住民は…。

住民:「やっぱり雨とか降り続くと土砂がいつ流れてくるか心配で、いつも心配でドキドキしています。(行政は)一度っきり来たくらいでやってくれてるとは思うんですけど、ここまで来たので、こちらも多少のことは我慢していますけど、一日でも早く撤去してほしい」

画像: 近隣住民「一日も早く撤去を」

 不正な盛り土は、土地改変を行った人に撤去の義務があります。県の度重なる是正要求に行為者はいまだ応じず、撤去が行われていない状況です。

住民:「その方(建設業の男性)、うちにその土地を買わないかって言ってきた。(他人の土地を)自分のものじゃないのに売ろうとするなんて、なんなんだろうと本当に思って。自分も生活があるから、(土砂の撤去が)できないって話なんですけど」

住民:「(建設業の男性が)金がないって言うですって、自分はできないから県かどこかに言っている、やってくださいっていうことでだから、自分の財産投げ売ってでも、(土砂の撤去を)してほしい」

静岡県「公費をつぎ込んでの是正は最終的手段。ただ…」

 男性の逮捕からおよそ1年。県は去年7月ごろ、沼津市と協力して土砂の状況を確認しました。新年度からは土の質や汚染状況など本格的な調査に着手し、秋ごろまでには調査を終え、どのように撤去をするか方向性を決めたいとしています。

画像: 静岡県「公費をつぎ込んでの是正は最終的手段。ただ…」

静岡県盛土対策課 後藤祐介班長:「本来、やはり不適切な盛り土については行為者に是正させなければいけない。行政の公費をつぎ込んで、是正というのは本当に最終的な手段になると思います。ただ、その間にも盛り土の危険な状態、もし危険であれば、その状態が続くので、並行して必要な土砂の流出防止の措置は、随時行っていかなければいけないと思っています」

 一方で、この1年間、撤去が行われなかったことについては…。

静岡県盛土対策課 後藤祐介班長:「盛り土対策課として発足して、最初は本当にお金もなかった中で、どこの盛り土を優先してやろうかという判断から始めたものですから、そこから、じゃあどれだけ(措置が)必要かということで、優先順位をつけてやっていくことで時間がかかってしまった。もともと、そういった不適切な盛り土を県の方でも撤去に向けて対応していくというふうに、事前に潤沢な予算があれば、またちょっと違った対応もあったかもしれないと思っています」