静岡市歴史博物館 総事業費62億円 紆余曲折を経てのグランドオープン
静岡市の歴史博物館が13日全面開館しました。構想からおよそ30年、総事業費62億円。あの2人による、紆余曲折を経ての船出です。
13日、全面オープンを迎えた静岡市の歴史博物館。
田辺信宏市長ら関係者が出席し、記念式典が開かれました。
静岡市 田辺信宏市長:
「きょうは決してゴールではなく、新しいスタートであります。市民にとって大切な歴史を受け継ぐ公共の資産であります。どうぞ市民の皆様方にはこの博物館をそれぞれの思いの中で育てていだだきますよう節にお願い申し上げます」
去年7月にプレオープンした歴史博物館。
総事業費はおよそ62億円。
これまでは無料で観覧できる1階のみ公開されていました。
2階と3階の展示室には徳川家康や今川義元に関する資料など、常時およそ130点が展示されています。
目玉は、成人した家康が初めて鎧を着用する「着初め」という儀式の際に、今川義元から贈られたとされる鎧のレプリカ。
「紅糸威腹巻」静岡浅間神社に所蔵されているものをおよそ4年半かけて再現しました。
静岡市歴史博物館 中村羊一郎館長:
「作られた当時の色彩とか、その他全部を元通りに復元して戻した。鎧の糸、紅糸威が植物性の繊維で丁寧に染めたものですし、胸のところにある模様なども非常に丁寧に作られてある。できた当時とほとんど変わらないものだと思う」
また、久能山東照宮に所蔵されている、家康が関ケ原の戦いや大坂の陣を共にしたとされる甲冑のレプリカも目玉の一つです。
「伊予札黒糸威胴丸具足」
午後2時に開館すると、早速多くの来場者が展示に見入っていました。
愛知から 50代:
「きょう開館するというので主人が取ってくれました。素敵な展示でよくわかります」
富士市民 60代:
「鎧とかすごいなと思って。テレビで見たり本で読んだりするのとやっぱりそこに行くのと全然違うなって」
1980年代に構想が持ち上がった、「歴史博物館」
建設に向けては、田辺市長とあの人の“場外戦”が・・・。
川勝知事(2016年):
「ただのハコモノを造るというのは無駄遣い。突然その場所に62億円を使って造るということにはもう少し再考を要する。反対ということです」
2016年、川勝知事は「歴史博物館」は必要としながらも、62億円もの事業費がかかることから反対の意向を示しました。さらに・・・。
川勝知事(2016年):
「やっぱり駿府城を造ると。それを博物館として機能を持たせると」
当時持ちあがっていた駿府城公園での天守閣再建構想。
知事はまず、公園内に駿府城を再建し、そこに博物館機能を持たせることを提案しました。
ここから2人の対立がヒートアップします。
静岡市・田辺信宏市長(2018年):
「(知事の提案の)実現可能性・・・発掘調査は始まったばかりですし、この発掘調査も文化庁とのやり取りの中で、かなり長期にわたることが想定される。そのあと天守台のこともあります。となると、(駿府城での)博物館、いつのことになるか分かりません」
川勝知事(2018年):
「歴史博物館が必要なのは知っているが、それをここに建てるのは別の話。いったんガラガラポンにするべき」
今期で市長を退く意向を示した田辺市長にとって、13日の全面オープンは、いわば“集大成”。
紆余曲折あった歴史博物館について、おととい川勝知事は―
川勝知事(おととい):
「まあ立派な建物ができましたね。その目玉の一つが、結局、戦国末から徳川さんの時代の遺構じゃないでしょうか。で、ソフトで何をされるのかというと、レプリカを置くということでしょう。レプリカはどういうレプリカかというと、将軍の鎧だとおっしゃる。将軍の鎧の本物は東照宮の博物館にあるわけですね。この歴史博物館にどういうソフトを持ち込むかということが問われると思う」