豊漁だったはずなのに…ここに来て急激に不漁に「シラスがとれない」
去年に比べると水揚げ量の回復が伝えられていた静岡県内のシラス漁。しかし例年の水準には達しておらず、ここへ来て不漁を嘆く声も聞かれます。
田子の浦港 午前6時半ごろ
早朝6時半の富士市・田子の浦港。
けさも早くから漁に出た船の姿がありました。
漁師たちが水揚げをしているのは、とれたての生シラスです。
GW期間中も多くの観光客が楽しんだ生シラス。
漁も近年に比べると回復傾向にあるとされていましたが・・・
漁協関係者:
「あ~ダメだ やっぱり貴重なシラスが・・・」
回復の兆しを見せていたはずの県内のシラス漁。
ここにきて重苦しい雰囲気が漂っています。
静岡県の水産・海洋技術研究所によると、4月県内の主要6港で水揚げされたシラスは458t。
(新居、舞阪、福田、御前崎、吉田、用宗)
これは前年同時期に比べるとおよそ1.5倍の数字ですが、過去5年間の平均と比べると53%ほどとなっています。
田子の浦漁業協同組合 芹澤豊組合長:
「(3月末から漁が解禁になり)去年の6~7割を水揚げしていたので、この調子でいくと“いいな”と言っていた。でも5月の連休ごろから(水揚げが)減っていった」
5月に入って水揚げ量が減ってきているこの状況。
実は漁港直営の食堂でも“変化”が出てきています。
今年は春の水揚げ量が回復傾向だったため、通常の3倍の量の生しらすを贅沢に乗せた「日本一丼」を販売していました。
ところがこの「日本一丼」も販売が中止に追い込まれ、
“幻のどんぶり”となってしまったんです。
田子の浦漁業協同組合 芹澤豊組合長:
「結局シラスの(水揚げの)漁も少ないし単価も高いのでちょっとできない状態。またシラスが大量に取れて、値段がちょっとでも下がればまたすぐやります」
そうした中でも、漁港直営の食堂は昼時になると平日にも関わらず長蛇の列が。
シラスの丼に観光客も舌鼓を打っていました。
三島から:
「取れたてで身がプリプリしてとても新鮮でおいしかった」
Q、シラスが不漁ですが
三島から:
「せっかくおいしいから食べられるように続いて欲しい。
ここの場所も港で食べられるというのも好きだったんで、
ここは続いて欲しい」
影響はスーパーでも・・・
スーパーオカムラ 川口康雄 店長:
「(仕入れの)価格の方は上がっています。一番取れていた時(4月上旬)はパック数だと150パックぐらい。ここ最近だと50~80パックぐらい」
17日のシラスの平均取引価格は1キロあたり3000円。
実は去年よりも54円高く、豊漁だったかつてのピーク時と比べると、2290円も高くなっています。
(去年1キロあたり2946円、2014年1キロあたり710円)
スーパーオカムラ 川口 康雄 店長:
「生シラスをメインに買いに来る方も多いので。高くてもワンコインにしている」
こちらのスーパーでも企業努力でなんとか客足を繋いでいますが、価格高騰によって、利益はほとんどないそうです。
静岡の特産品に再び訪れた危機。
県の水産・海洋技術研究所によると、先週の調査でもカタクチイワシの産卵量が非常に少なく、今後もシラス漁は厳しい状況が続く可能性があるということです。
県内のシラス漁は来年1月14日まで続きます。