橋げた落下8人死傷事故警察の現場検証続く バイパスの供用開始が遅れる可能性も
きのう未明、静岡市清水区の国道1号・静清バイパスで橋げたが落下し8人が死傷した事故で、死亡した2人は橋げたとともに地面へ転落したと見られることがわかりました。
林輝彦アナウンサー 静岡・清水区 :
「午前10時すぎです。警察車両が橋げたが落下した現場に入りました」
6日静岡市清水区の国道1号・静清バイパスで高架化工事中に橋げたが落下し、2人が死亡、6人が重軽傷を負いました。
7日は午前中から警察が現場に入り、橋の上に上るためなのか、安全器具を装着している様子も・・・。
関係者によると、亡くなった2人は橋げたとともに地上に落下したことが新たに分かりました。
警察は「業務上過失致死傷の疑い」で「現場検証」し、事故当時の作業方法や安全管理に問題がなかったか調べています。
140トンもの鋼鉄製の橋げたが、寝静まった未明に落下した今回の事故。
事故現場の近くに住む人たちが、当時の状況を語ってくれました。
近隣住民 70代:
「ドドドンというような2回に分けて伝わってくるような形で、それと同時に地震かなと思うぐらい揺れも伴って」
近隣住民 80代:
「はじめは地震かと思った。雷か地震かと思ったら、あまりにも(音が)大きかったからびっくりした」
また、事故発生直後、現場を見たという人は・・・。
近隣住民 30代:
「地震かなと思ったら旦那が橋が落ちたのではないかと言われて、(家の)窓を開けて外を見たら、こんな状態で。従業員の声も聞こえて。あとは旦那が外に出て様子を見に行ったら、そこの玄関の所から人がぶら下がっているのが見えると言っていたので、怖かった」
交通に影響も
またこの事故により交通にも影響が出ています。
静清バイパスでは事故があった地点で、片側1車線の対面通行となっていて、国土交通省は東名高速や国道150号・通称:しみずマリンロードなどへの迂回を呼び掛けています。
国交省の静岡国道事務所によると、5日の夜から6日の未明にかけて行われていたのは、橋脚に乗せた鋼鉄製の橋げたを水平方向にずらす「横取り」という作業。
無事に作業が終了すれば、現在のバイパスの上に「橋げた」が架かる予定でした。
ところが、横取り作業で橋桁部分にはめ込む際に何らかの理由で落下してしまったのです。
過去の事故
橋の工事をめぐっては、過去にも橋げたが落下する事故が起こっています。
今から32年前。
広島市のアストラムライン建設中に長さ63m、重さ60tの鋼鉄製の橋げたがおよそ10m下に落下。
ジャッキで橋げたを下ろそうとしていた際の事故でした。
当時、橋げたの下には信号待ちの車11台が止まっていて、下敷きとなりました。
この事故で橋げたとともに転落した作業員も含め15人が死亡、8人が重軽傷を負いました。
工事の元請け業者3人が安全管理上の適切な指示をしなかったなどとして業務上過失致死罪に問われ有罪となっています。
さらに、2016年には神戸市でも、新名神高速道路で
橋げたが20m下の国道に落下。この事故で作業員2人が死亡、8人が重軽傷を負いました。
静岡市の難波市長は
今回の事故を受け、静岡市の難波市長は
国道1号バイパスの高架化は国の事業ですが、静岡市も3分の1の費用を負担しています
開通時期について問われると…。
Q橋げたの撤去はすぐにはできない状況と思うが、ある程度時間がかかることについて、どういった影響を見込んでいる?
難波市長:
「渋滞のこともあるが、今回おそらく事故調査をされて、一定程度の結果が出るまでは、次の工事に移れないと思うので」
「人命優先というのは当然ですから、人命に関わらなくても工事の安全が優先ですから、しっかり原因究明されてから工事がなされると思っています。仮に供用開始時期が遅れることは、これはもう許容せざるを得ないと思っています」
国土交通省・静岡国道事務所は
大学教授らでつくる事故調査委員会の設置を発表しています
この事故を受けて国交省の静岡国道事務所は1回目の事故調査委員会を来週11日に開催すると 発表しました。
原因究明、再発防止についての調査や確認が行われます