「着の身着のままで逃げた」「雨が降ると土砂崩れのこと考えて眠れない」 静岡・熱海市の土石流 避難所の9日間
原川朋華記者(3日):「こちらの熱海中学校では、今夜50人ほどの人が一晩を過ごすということです」
発災当日(7月3日)「土石流を見て、着の身着のままで」
発災後、熱海市の各地に避難所が開設され、多くの住民が避難しました。
避難者の女性
「みなさんに声掛けするのが精いっぱい。次が来るから早く避難してくれということだけは言って、すぐその場を離れました。土石流を見てしまい、危険を感じたので、すぐ着の身着のままで」
発災2日目(7月4日)「不明者に知人もいる。こんなにひどいのかと…」
一夜明けた避難所では、住民から不安の声が上がりました。
避難者
男性「雨が降ってくると土砂崩れのこと考えてしまって、眠れない状態ですね」
女の子「家で飼ってるネコに会いたい」
男性「急いでたからすぐに出てきちゃいました。」
Q.20人くらいが安否が不明とのことですけど?
女性:「その中に、私知ってる人もいるから、こんなにもひどいものなのかなって思うぐらいびっくりしている。薬も持ってこられなかったし、もちろん着替えも持ってこられない」
発災2日目(7月4日)「避難所では寝れなかった」
斉藤慎一朗記者
「伊豆山地区からおよそ2キロほど離れたニューフジヤホテルに来ています。こちらには1時間ほど前に大型バスが2台到着しました。その中には伊豆山地区の避難者が乗っていました。バスから出てきた数十人の避難者の方は現在1階のフロントでチェックインを始めています」
市によりますと、食料の備蓄や避難者の疲れを考慮して大規模土石流の被害を受けた伊豆山地区の住民らをより環境の整ったホテルに移動させたということです。
避難者
Q.避難所の暮らしとホテルの暮らしは違う?
避難した女性.「避難所はみんな寝られないです。雨の音が全部聞こえちゃうので、二次災害とかあるじゃないですか。その恐怖でみんな周り見たら寝てなかったです」
避難者の男性
「熱海中学で最初避難していたんですけど、そこだとプライバシーが全然保たれなくて一睡もできなかったので、きのうこちらに来られてぐっすり寝られた。避難所だと冷たいおにぎりとかパンだったので、こちらに来て温かいものが食べられるので、こっちの方が全然いい」
発災4日目(7月6日)DMATが熱海入り
藤井章人記者
「DMATと書かれた服を着た医者とナースが避難所となっているニューフジヤホテルに入りました」
ホテルには、被災者や救援活動の従事者の体調確認を行う医療チーム(=DMAT)が入りました。
発災5日目(7月7日)避難者を受け入れる施設も…「怖いという声があるので…」
こうした中、こちらのグループホームでは、避難している高齢者や、被災地付近の介護施設利用者の受け入れを行っています。
グループホーム施設長
「近隣のデイサービスが運営できない状態だということで、利用者の方が(避難所では)お風呂に入れない、またとても怖いという声があるので、とにかく安心して暮らしていただけるように受け入れていこうと。定員をオーバーしても受け入れていこうという形をとった」
避難者に対して、基本的に日中は施設で介護を行い、夜間は避難所に戻すという方法で支援を行っています。
避難者の80代女性
「知らない人ばっかりだが、こういうのがあるといいなと思って
(施設が)いいよと言ってくれたので、来させてもらっている」
Q,みんなと体操すると気持ちは?
A.「気持ちは落ち着きますよね」
こちらの施設では多くの避難者を受け入れるため、全国にある同じグループの施設から介護士の応援も要請しました。今後、定員に関係なく避難者を受け入れていく方針です。
発災8日目(7月10日)
そして大規模な土石流が住民を襲ってから10日で1週間。避難所となったホテルから自宅に戻った女性もいます。伊豆山地区に住む87歳の女性は…。
「こちらが収まったからね、家が心配だから帰ってきました。(避難所では)団体の行動をしなきゃならないからやっぱりちょっと私にしてみれば、自分の体が思うように動かないから大変でした」
(7月11日放送)