「震え止まらなく、受け止められません」観光バス横転死亡事故 静岡県警がバス会社に家宅捜索
静岡県小山町の県道で埼玉県の観光バスが横転し、1人が死亡、35人が負傷した事故で警察は14日午前、バス会社の家宅捜索を行いました。
13日正午前、小山町須走の県道・ふじあざみラインで乗客乗員合わせて36人が乗った観光バスが横転し、埼玉県入間市の女性(74)が死亡。35人が負傷しました。
警察は過失運転致傷の疑いでバスの運転手の男を逮捕しました。
「午前9時すぎです。今、静岡県警の捜査員が美杉観光の本社へと入っていきます」
事故を受け警察は14日午前、過失運転致死の疑いで埼玉県飯能市にあるバス運行会社「美杉観光バス」の本社と営業所に家宅捜索に入りました。
バスの運行に関わる資料などを押収し、安全管理体制に問題がなかったかどうかなどを調べる方針です。
事故の原因は「フェード現象?」
白鳥衛記者:
「事故から一夜明け、警察による調査が引き続き行われています。また、現在3Dカメラを使い、道路の形や事故の痕跡を撮影しています」
そして事故現場でも朝から警察がタイヤ痕や道路の状況などを詳しく調べていました。
白鳥衛記者:
「私がいる場所は観光バスが横転した場所からおよそ100m手前、この道路を見ると白いチョークの跡が残っていて、これは観光バスのタイヤの跡かと思われる。この場所からすでに観光バスが反対車線にはみ出していた可能性がある」
捜査関係者によりますと、現場にはバスが乗り上げたとみられるのり面に向かって真っすぐタイヤ痕がありブレーキが作動していた可能性があることが新たに分かりました。
バスの運転手の男は警察の調べに対し「ブレーキが利かなかった」と供述をしていますがバス会社の出発前の点検では、ブレーキに異常は確認されていないということです。
警察はフットブレーキの使い過ぎでブレーキの利きが悪くなる「フェード現象」が起こった可能性も視野に今後、バス本体の検証をすることにしています。
運転手の男は今回のルートの運転は初めて…
13日開かれた会見では男が今回のルートを運転するのが初めてだったことが明かされました。
美杉観光バス 吉田典弘代表取締役社長:
「法定研修をいたしましてそういう難しくない仕事から乗務させて、今年の春ぐらいから観光バスの乗務が多くなった状況」
男の乗務歴は1年3カ月で体調面も問題はなかったといいます。
一方、亡くなった女性の遺族は、14日朝、自宅から静岡県に向かいました。女性はバスの右側の席に座っていて警察によると右腕の損傷などよる多量の出血により死亡したとみられています。
女性の夫は、13日取材に応じ、「テレビで事故を知り、何度も妻に電話しましたが、つながりませんでした。まだ震えが止まらなくて、受け止められません」と話しました。