【リニア新幹線工事】JR東海が異例の記者説明会を開いた理由は…現場の井川に行ってみた

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空中戦の様相を呈してきました。リニア工事現場につながる道路の建設を巡り、JR東海は川勝知事の見解に反論するため異例の説明会を開きました。果たして現場はどうなっているのでしょうか?

JR東海 木村 中 専務執行役員:
「当社が進める中央新幹線について静岡県知事のほうから様々な発言があって私どもは大変困惑をしている状況」

 24日午前、静岡市内で“異例の”記者説明会を開いたJR東海。

 背景には、先週、知事が発した“ある発言”がありました。

川勝知事の発言

川勝知事 県庁 (15日)
「工事をするには、工事ヤードがいるじゃ ないですか。工事ヤードは、どこにありますか?2018年6月に協定が結ばれてから、できてません。もう6年目になります。まず工事ヤードへ行くための三ツ峰落合線の整備、約束した通り、なぜやれないのか」

 川勝知事が指摘したのは、2018年にJR東海が静岡市と基本合意を結んだ県道南アルプス公園線と県道三ツ峰落合線を結ぶトンネルの建設についてです。

 リニア新幹線の工事車両を通すため、静岡市葵区のオクシズエリアに新しいトンネルの建設するこの計画。

 今年度内とされていた掘削工事の着手は年度をまたぎ、夏ごろにずれ込むとみられています。

 当初の完成予定は2026年3月末。

 整備費用はおよそ140億円で、これをJR東海側が全額負担する予定です。

Q:工事の完了予定時期に変更はない?

JR東海 丹羽俊介社長 (18日):
「今、少しでも早期に着手できるよう努力していくということで考えている」

 一方、川勝知事は・・・。

川勝知事 県庁 (15日)
「まずこれを6年間放っておかれたことについて、これが6年遅れたことについて、どうするんだと」

川勝知事 県庁 (15日)
川勝知事 県庁 (15日)

JR東海説明会

 JR東海は24日の記者説明会で、この知事発言に、反撃に出たのです。

JR東海 木村中 専務執行役員
「工事ヤードの整備が何か私どもの意向でストップしているかのような話があったが、そうではなくて、知事からこのタイミング(JR東海と川勝知事のトップ会談)で了解が得られなかったので、行えていない」

 つまりJR東海側は、大雨によって流されたヤードの準備が改めて進んでいないのは、トンネルの建設が遅れたからではなく、そもそも川勝知事がヤードの整備を認めていないからだと反論。

 その上で、県道トンネル工事の状況について次のように話します。

JR東海 澤田尚夫常務執行役員
「今トンネルの掘削の着手に向けた準備を進めているところ。ただ、実際のところ、当初この時期にトンネルを掘削したいという時期からだいぶ遅れているのが現状。台風の影響で増水してそういった工事ができなかったり、あるいは、落石の影響で現場に入れなかった時期などもあり」

 JR東海が今回の様な「説明会」を開いた背景には、川勝知事の“見解”が一人歩きしないようけん制する狙いがあるとみられます。

 実はJR東海側は県の担当者とは直接コミュニケーションを取っているというのです。

JR東海 澤田尚夫常務執行役員
「県の事務方にいろんな情報は伝えている。県道トンネルやヤードの整備の状況や部分開業の考え方も、実験線の話もそうだが、伝えているがなかなか知事の発言には反映されていないので困惑している」

 JR東海の木村専務執行役員も語気を強めます。

JR東海 木村中 専務執行役員
「(県に)話していることが必ずしも伝わっていない。これは静岡県の内部で果たして知事に伝えている結果がそうなのか、そうじゃなくて知事の考えがあってそうなのかは分からないが、より中できちっと伝わってそういったことを踏まえた形で発言していただけるとありがたい」

JR東海の木村専務執行役員
JR東海の木村専務執行役員

玉川地区は

 もはや“空中戦”となっているリニアをめぐる議論。

 今回その要因の一つとなった静岡市の県道トンネル工事の進捗状況はどうなっているのか?

 現場周辺を取材してきました。

嶋田光希アナウンサー 静岡・葵区23日
「静岡市街地から車で1時間ほどの玉川地区です。後ろに見えるピンクのリボンがかかっているあの場所がトンネルを掘る場所だということです。そして、私が立っているこの場所川の上に仮設の道路が設置されています。あちらには大きな重機も見えています。」

 静岡市によりますと、市街地に近い玉川地区側は仮設道路の設置が完了。

 2月中には仮設の作業台の設置も終了する予定だといいます。

 その後は、トンネル入り口付近で準備作業に入り、夏ごろをめどにトンネルの掘削が開始されるということです。

静岡市玉川地区
静岡市玉川地区

井川地区は

 急カーブが続く、うねるような山道を進み、トンネル反対側の井川地区にも向かってみました。

嶋田光希アナウンサー:
「先ほどの玉川地区の反対側、井川地区に来ました。こちらもトンネル本体の工事に向けての準備が進められていますが、現在は仮設道路のための土台を造る工事をしているということです」

 井川地区側は、玉川地区よりも1年ほど遅れて準備工事に着手。

 現状は仮設道路も完成していません。

 自然災害などの影響で工事が遅れていて、掘削開始時期については未定だということです。

 リニア新幹線の工事車両を通すためだけでなく、生活道路としても期待される新しい「トンネル」。

 南アルプスの麓に位置する井川地区へは、静岡市街地から車で行くと、2時間程度かかりますが、途中に全長4.7kmのトンネルを造ることで、距離が10km短くなり、所要時間もおよそ20分短縮されます

嶋田光希アナウンサー
嶋田光希アナウンサー

井川地区の住民は

開通を待ち望む井川地区の住民は・・・

井川の住民 70代
「早く工事を進めてほしいし、トンネルが出来たら、すごくうれしい。昔からのこの辺の人たちの願いだった、それが」

井川の住民 40代
「街の方からもっとたくさんの方が来てくれて、井川に若い力だとか若い人の考え方、そういったものが入ってきて、もっと行き来が活発になればいいなと思っている」

 この先、順調に工事は進むのか?

 カギを握るのは川勝知事とJR東海の「コミュニケーション」かもしれません。  

井川の住民 70代
井川の住民 70代