【リニア】静岡・川勝知事の『部分開業論』をJR丹羽社長が否定 「さらに品川‐名古屋間の開業が遅れる」

 JR東海の丹羽社長は、リニア中央新幹線を部分開業する考えはないと、静岡県の川勝平太知事の主張を退けました。

JR東海 丹羽俊介社長:「部分開業については、従前から申し上げている通り、これを行う考えはない」

JR東海が開業時期を変更

 JR東海の丹羽俊介社長は、改めてリニア新幹線について「部分開業を行う考えはない」と話しました。これまで県内では、「水問題」や「環境問題」に注目が集まっていたリニア問題。そこに川勝知事は、“部分開業論”を唱えています。

 背景にあるのは“開業時期の変更”です。12月、JR東海はリニア新幹線静岡工区の着工のめどがたたないことなどから、品川~名古屋間の開業予定を「2027年」から「2027年“以降”」に変更。これを受け、川勝知事は“ある考え”を表明したのです。

静岡県 川勝平太知事(4日):「(リニア開業が)“2027年以降”となったので、南アルプスの自然、生態系を保全することとリニアの両立、この件についても2037年までに解決すればいいと私は受け止めている」

 南アルプスの環境保全の問題、つまり「静岡県が抱えている問題」について、品川~大阪間の全線開業が予定されている「2037年までに解決すればいい」との認識を示したのです。

静岡県 川勝平太知事

かつての側近静岡・難波市長「全く理解できない」

 これについては、

静岡市 難波喬司市長(12日)
「全く理解できない。結果的に10年延びるならいいが、初めから行政手続きに対する判断を下すのに10年先でもいいなんてことは、行政の責任ある者としてはあり得ない」

 南アルプスを抱える静岡市の難波市長は、元上司でもある川勝知事の案に対して「全く理解できない」とコメント。

静岡市 難波喬司市長

「2027年以降になったのは静岡県のせい。ならばそれ以外は2027年までに開通できる」

 今週、川勝知事は…。

静岡県 川勝平太知事(15日):「こうしたもの(環境影響評価)は、可及的速やかにどんどんやらなきゃいけない。ただ、2027年というくびきはなくなったということだけは大きいと思っているので、短兵急に、もうやっつけ仕事で、もういいということは必要ない。きちっとやればいいと。それは別に遅くしろということではありません。しっかりとやればいいってこと。2037年までに、なるべく早く解決すればいいという、これ以上でも以下でもありません」

 そして、持論である“部分開業論”を改めて主張しました。

静岡県 川勝平太知事(15日):「私としては、出来る所からやっていくということ以外に促進する方法はないと思っている。2027年以降になったのが、静岡県のためだと言われておりますから。したがって、それ以外のところ、甲府から品川まで、また中津川から名古屋までは、2027年までに開通させるというのは、少なくともJR東海の今回の変更の中に含有されていると私は思っている」

静岡県 川勝平太知事

静岡県 川勝平太知事(15日):「部分開通っていうのは、全線の中の一部が開通することが「部分開通」であるから、従って甲府から東京までは、2027年できるということじゃないでしょうか。ぜひこれは推進したいと思っている」

 川勝知事はこうした“部分開業論”をリニアの沿線の都府県でつくる期成同盟会で主張する考えを示しました。

期成同盟会で主張する考え

JR東海の丹羽社長「さらなる開業の遅れにつながる」

 これに対して、JR東海の丹羽社長は…。

JR東海 丹羽俊介社長(18日午後3時すぎ):「部分開業につきましては、従前から申し上げている通り、これを行う考えはございません。仮に限定的な区間だけ開業する場合があっても、車両基地や司令設備の整備など、開業のための多くの設備をセットで完成させる必要があったり、試運転や運営体制をはじめ、確認すべきことが数多くある。こういった作業を増やすことによって、それらに時間と労力を費やすことで、結果として、品川‐名古屋間の開業のさらなる遅れにつながってしまうことになる。引き続き、品川‐名古屋間の開業に向けまして、静岡工区を一日でも早く着工できるように、双方向のコミュニケーションを大切にしながら、真摯に取り組んでまいりたいと考えているところです」

JR東海 丹羽俊介社長