静岡県8日連続熱中症警戒アラート 人間だけでなく牛も夏バテ 乳製品さらに値上げの恐れ
梅田航平記者:
「午前10時過ぎの浜松市中区中心部です今日も空は青空が広がっていて気温がぐんぐん上昇しています。そしてこちらの気温計すでに35℃をさしています」
空が厚い雲に覆われていた1日とは打って変わり、2日は県内各地で朝からスッキリとした青空になりました。
県内の最高気温は浜松佐久間で35.1℃と猛暑日になりました。
その他、川根本町では34.9℃、網代では34.8℃などと、各地で厳しい暑さに。
8日連続で熱中症警戒アラートも発表されました。
2日は熱中症で23人が搬送され、うち8人が中等症です。
森町町民:
「たまらんですね朝からね。日陰じゃなきゃ大変ですよ」
高校生:
「去年よりもちょっと暑く感じるあんまり出たくない」
人間だけでなく牛も
この危険とも言える気温に、悲鳴をあげているのは人間だけではありません。
山﨑優ディレクター:
「富士宮市の牧場に来ています。連日続く暑さで牛たちにも影響が出ています」
およそ60頭の乳牛を飼育している富士宮市の佐野牧場。
厳しい暑さで乳牛たちに異変が起きているといいます。
佐野牧場 佐野圭祐さん:
「よく見るとすごく呼吸が荒いと思うが、決して調子が悪いわけではなくて、暑さでどうしてもゼェハァゼェハァしてしまう。本来だったら落ち着いた呼吸をするが、暑いから呼吸が荒くなってしまう」
人間よりも暑さが苦手と言われる乳牛。
連日の暑さで夏バテになっているといいます。
実際、搾乳量にも変化が・・・
佐野牧場 佐野圭祐さん:
「餌をたくさん食べれば食べるほど乳量が出るが、餌を食べないと乳量が低下してしまう」
餌やりの様子を見てみると・・・
佐野牧場 佐野圭祐さん:
「すごく嗜好性の良い餌だが、やっぱり暑すぎてすぐに食いついてこないから牛たちは暑いと思う。」
暑さの影響で乳牛たちの食欲が低下し、搾乳量は冬場より牧場全体で2割ほど減少。
それに伴い収入も2割ほど減っているといいます。
佐野牧場 佐野圭祐さん:
「1キロでも多く出荷して収入を得たいが、暑いのでなかなかうまくいかないし、かと言って無理に餌をたくさんあげたり、(乳を)搾ろうとすると牛が倒れてしまう原因にもなるので、そこのバランスを取るのが難しい」
こちらの牧場では暑さ対策として大型扇風機を30台稼働させています。
さらに今年からは細かい霧を噴射するミスト装置も導入しました。
ただ、同時にコストも増えることに・・・
佐野牧場 佐野圭祐さん:
「お金の面で言ったらやっぱり電気代がかかってしまっているが、でも落とすわけにはいかないものなので」
暑さ対策の電気代が増え、さらには飼料の高騰になどで酪農家を取り巻く環境は厳しくなっています。
そんな中、静岡県を含む9都県で生乳を受託販売している関東生乳販連は、8月から取引価格を1キロあたり10円引き上げました。
ただ、今回の値上げはウクライナ情勢に伴うもので、牛の夏バテによる搾乳量減少とは別の話。
暑さの影響は今後出てくる可能性があります。
佐野牧場 佐野圭祐さん:
「(価格が)上がればその分、経営が良くなる。欲を言えばもう少し高く取引してほしいが、そうなると牛乳パックの値段が上がってしまう。そうなると買ってくれる人がいなくなるので、そこが難しいところ」
佐野さんが言うように生乳の取引価格引き上げは、牛乳の価格にも影響してきます。
帝国データバンクによると、生乳の取引価格改定の影響を受け、8月からパック牛乳やヨーグルトなどの乳製品265品目が値上げされました。
静岡市内のスーパーは・・・
ヒバリヤ 営業本部 山岸達也部長:
「ほとんどのメーカーからこのタイミングで値上げの申請が来ている。とはいえお客様からすると、よく使う商品。特に牛乳はよく使う商品なので、やはりお客様に満足してもらえるというのを一番に考えて今のところはできる限り(価格は)据え置く」
こちらのスーパーでは乳製品の仕入れ値が10%~15%上がっているといいます。
しかし、パック牛乳などの主力商品については、
企業努力で販売価格を据え置くことにしています。
静岡市民:
「飲んだりヨーグルトを作ったりするので(1日で)1本ぐらいは使う。(値上げしても)我慢して買う」
静岡市民:
「牛乳は毎日飲む。(値上げしても)仕方がない。買います」
消費者が手に取る頻度が高い乳製品。
今のところ買い控えの傾向は見られないといいます。
その一方で、今後影響が出てくるかもしれない「牛の夏バテ」スーパーでは“夏以降”の影響をすでに懸念しています。
ヒバリヤ 営業本部 山岸達也部長:
「牛乳に付随する商品、バターやチーズ、今からだと年末のクリスマスケーキに影響が出てくるんじゃないかなと一番懸念される。それも踏まえて検討する要件が多くてバタバタしている」