【リニア】専門家「川勝流が裏目に」 「平ちゃん・幸ちゃん」の仲の山梨・長崎知事とも「リニア」だけはすれ違い

 都内で22日に開かれた富士山の世界文化遺産登録10周年の式典に出席した川勝知事と山梨県の長崎幸太郎知事。10周年という節目に、互いに連携を再確認しました。「平ちゃん・幸ちゃん」の関係として、2人はこれまでにも、数々の場面で連携をとっています。

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地域経済を活性化目指しタッグ

画像1: 地域経済を活性化目指しタッグ

 ちょうど3年前、新型コロナの蔓延で落ち込んだ地域経済を活性化しようと、この2人が動きました。沼津市内の漁協直営店に姿を現した長崎知事。アジが大好物だということで山梨から「アジに合うワイン」を持参。川勝知事と共に堪能しました。

画像2: 地域経済を活性化目指しタッグ

 食事後に長崎知事は“自分用”のアジフライや、山梨県の職員から依頼された干物セットを購入。合計34万8880円の“爆買い”を見せました。

山梨県 長崎幸太郎知事(2020年6月 沼津市内):「早急に持って帰って、夕食に間に合うように(職員に)お渡ししたいと思います」

画像3: 地域経済を活性化目指しタッグ

 一方で川勝知事は静岡と山梨ならではの連携を提唱しました。

静岡県 川勝平太知事(2020年6月 沼津市内):「いろいろな形で市町の取り組みがあります。こうしたものを支え合いながら“フジノミクス”、アベノミクスならぬフジノミクスで、ふじのくに経済交流圏をつくりあげていこうと」

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富士川の水環境保全でも協力

画像: 富士川の水環境保全でも協力

 自然環境をめぐっては静岡と山梨、両県にまたがる富士川の水環境の保全に向けて覚書を締結しています。

 富士川の水の濁りによってサクラエビ漁などにも影響が出たとして、静岡県は山梨県と共同で調査を実施。当時、長崎知事は…。

山梨県 長崎幸太郎知事(2021年):「上流(山梨)と下流(静岡)で運命共同体。山梨県民、静岡県民の共通の関心事項なのでオープンな形で調査自体も進めていきたい」

山梨・長崎知事が富士川に言及…きっかけは「リニア問題」

 あれから2年。長崎知事は再び富士川について言及します。きっかけは「リニア問題」です。

画像1: 山梨・長崎知事が富士川に言及…きっかけは「リニア問題」

山梨県 長崎幸太郎知事(9日):「源泉、元々の出所でどこの水となるのであれば、富士川は長野県と山梨県に源泉があり、川になって静岡県に流れていくが、それが山梨県と長野県の水になるんでしょうか。我々も富士川の利用に関して、何か言うことはできるんでしょうか。ちょっとおかしな議論になってくるんじゃないか」

 リニアの本格的な工事を前に、JR東海が南アルプス内で行なっているボーリング。これによって湧き出る水は「静岡と山梨どちらのものか」という議論が県の専門部会で注目を集めました。

 これまで、この議論に前のめりだった静岡県側ですが…。

画像2: 山梨・長崎知事が富士川に言及…きっかけは「リニア問題」

静岡県 川勝平太知事(13日):「山梨県の長崎知事が言われることはもっともだと思っております」

 そして、やはり富士川を引き合いにこう語りました。

静岡県 川勝平太知事(13日):「それこそ、富士川をご覧くだされ。ここが山梨県の水だから、こちらは静岡県の水だからというのはばかげた議論ですよ。共有財産だということです」

リニア問題では「平ちゃん・幸ちゃん」にすれ違いも

画像1: リニア問題では「平ちゃん・幸ちゃん」にすれ違いも

 アジフライを一緒に囲むなど親密さを見せていた静岡県と山梨県ですが、リニア問題だけは、これまでもたびたび“すれ違い”が起きています。

山梨県 長崎幸太郎知事(去年10月):「われわれ山梨県に一言の連絡もなく、仮にそういうことを本当に言っていたんだとすると、それは遺憾以外の何物でもないと思います」

 去年、JR東海に対して、山梨工区の掘削工事を止める議論を始めるよう求めた静岡県。これに山梨県側が遺憾の意を示しました。さらに5月には…。

画像2: リニア問題では「平ちゃん・幸ちゃん」にすれ違いも

山梨県 長崎幸太郎知事(5月):「静岡県の議論には大変強い違和感を感じている。正直言って。我々としては山梨県内の活動についていかなる県であっても、我々のことを頭越しに、何がしかおっしゃっていただくのは、願わくばご遠慮願いたい」

 今度は山梨県内のボーリングについて静岡県がJR東海に直接意見をし、長崎知事がご立腹。いずれも最終的には解決しているものの、「平ちゃん・幸ちゃん」の親密な関係に不穏な空気が漂いました。

「川勝流」が裏目に…

 なぜリニア問題だけこうした事態になるのか。静岡大学の井柳教授は、川勝知事の「政治スタイル」が背景にあると指摘します。

画像: 「川勝流」が裏目に…

静岡大学 井柳美紀教授:「利害にとらわれてしまうのとは違う、大胆な方針を打ち立てられる川勝流の政治スタイルというのが、ある時は非常にもてはやされたと思うが、リニアの問題はそれぞれの利害の当事者がいるので、沿線自治体は進めたいという利害があったり、あるいは静岡県では水の問題があったり、それぞれの利害が違うので、これは川勝流の事前調整しない政治が裏目に出ている1つかなと思う」

 他の県とどう連携をとっていくのか? 任期が残り2年となった川勝知事の舵取りに注目が集まります。