西武・鈴木将平はドラフト会議数日後に戦力外通告「両親のため、自分のためにまだまだ野球がしたい」11月14日のトライアウト受験へ
静岡県富士市出身、埼玉西武ライオンズの鈴木将平外野手(26)が8年過ごした球団から戦力外通告を受けた。西武は24日のドラフト会議で、2位に大商大・渡部聖弥外野手ら育成枠含めて14人を大量指名。「誰がとられたか、順位を追いながら見ていました。それだから、というのは正直わからないですけど…」と鈴木。その数日後、宮崎秋季キャンプに向けた支度をしていた鈴木の電話が鳴る。「あす、球団事務所に来てほしい」。翌日、チームメイトが練習をしている中、球団事務所で契約を更新しない旨を告げられた。「(事務所に呼ばれた意味は)プロ野球選手ですから、わかりますよね。自分としても今年1年戦いきれなかったと思っていましたけど、秋季練習も真剣にやっていた分、苦しい気持ちもありました」と、数日前の出来事を振り返った。
鈴木は名門・静岡高校で1年春から外野のレギュラーをつかむと甲子園に4度出場。U-18日本代表ではクリーンナップを打ち、2016年ドラフト4位で西武入り。1年目からファームで打率.280を記録、オフの期間には西武時代の先輩・安打製造機の現広島の秋山翔吾外野手の自主トレにも参加し師事を仰いだ。2022年に一軍に定着し58試合出場53安打、打率.250をマーク。昨季は72試合出場58安打、打率.240、盗塁は成功率100%で10と、キャリアハイの成績を残していた。
そうした中、今年1月初旬に左ひじのスクリーニング手術を決断。少しでも早く一軍の戦力として戻るためで、キャンプには出遅れたものの4月に実戦復帰。5月下旬に一軍に昇格を果たした。西武が歴史的な低迷を続ける中、なかなかスタメンの機会は訪れない。それでも6月14日のDeNA戦では猛打賞、8月1日のロッテ戦では佐々木朗希の159㎞直球を捉え今季初タイムリーも放ったが、結果が続かない。8月12日に一軍を抹消されると、再び一軍に呼ばれることはなかった。8年目の今季は33試合出場、13安打で打率は2割を切る.191。「チームの成績もよくなくて、自分もけがで出遅れていた分結果を求めすぎてしまった。結果として難しいシーズンになってしまった」
二軍降格後は開き直り、ファームで2本のホームランを放つなど違いをみせていた鈴木。しかし、若手も多く、ファームでもスタメン落ちをすることも。「ポテンシャルとか若い人に勝てなかったというのは少し感じている。壁を破ろうとして筋肉付けたり、キレを戻したりいろんなことに取り組んだんですけど…」。ドラフト後に受けた鈴木の突然の戦力外通告は、ファンと同様に両親が驚いたという。「(戦力外通告を受けたあと)父親の誕生日もあったので短期間帰省しました。現場の自分よりも予想だにしていなかったみたいです。まずは労いの言葉をかけてもらいましたが、やっぱりみんな自分が元気にプレーしているところを見たいというのが伝わってくるので、体も元気な以上、現役でやりたいですね」と鈴木。帰省はわずか2日、慌ただしく静岡を後にし、31日から球団施設で11月14日のトライアウトへ向けて練習を再開する。「やれることをやるしかない」まだ他球団からの接触はない。もちろん、不安もある。「何がどうなるかわからない、他から声がかからなかったらどうしようと思いますし、野球一筋にやってきたので、すぐほかのことを見つけたいという感情にはならないと思う。燃え尽きれるようにしたい。苦しい時もあるけど(戦力外通告を受けて)野球が好きだなって、やっぱりよかった思い出というか、もっともっとやりたいなって思います」
忘れられない出来事として、コロナ禍で声援を出せない時に本拠地ベルナードームでファインプレーをしたときに観客が「おー!」と思わず唸ってしまったプレーをあげた鈴木。まだ26歳、もう26歳。鈴木がトライアウトというラストチャンスにむけて再び走り出した。