静岡県内に記録的な大雨をもたらした台風10号から2カ月 被災現場の復旧工事は今も続く…
静岡県内各地で記録的な大雨をもたらした台風10号からちょうど2ヵ月。被災地では土砂崩れ現場の復旧が、今も続いています。
嶋田光希アナウンサー:
「このあたり当時は土砂がかなり堆積していたが、かなり片づけられて土のうが設置された。斜面に散乱していたビニールハウスは、ほぼ取り除かれた。ただ、崩れた石垣などは残ったまま。」
あれから2ヵ月。
壊れたビニールハウスなどは撤去され、農道には土壌が設置されました。
笹村朱里アナウンサー:
「こちらは静岡市久能の上空です。土砂が流れこみビニールハウスと思われるものが流されています。山からの土砂が流れ込んでしまっています」
静岡県内でも一部地域で大きな被害をもたらした台風10号に伴う大雨。
静岡市駿河区根古屋では、幅およそ30メートルにわたって土砂崩れが発生し、イチゴ栽培のビニールハウスが飲み込まれました。
嶋田光希アナウンサー:
「現在は応急的なパイプで山からの雨水を排水し、二次災害を防いでいる。静岡市によると来年には土を固定する壁の設置工事を行うということです。」
来年の夏までに土の流出を抑える土留工(どどめこう)の設置工事を完了させたいとしている静岡市。
これが完成すれば“安全”が確保できるとしていますが、
イチゴ農家からは懸念の声が。
2棟が被害 イチゴ農家:川嶋善次さん(76):
「大変だね、この土が元に戻るには、5年10年かかると思う、石垣を積み替えたらいいというものではないからね、本当に大変ですイチゴをここで作るのは」
2棟のビニールハウスが流されたイチゴ農家の川嶋さん。
この場所での再開は難しいと話しています。
2棟が被害 イチゴ農家:川嶋善次さん(76)
「石垣は新しく作っているのは50年くらい見たことない。
1000万じゃ終わらないんじゃない、分からないけどね」
半数のハウスが被害に遭った別のイチゴ農家は、本来崩れた現場の石垣に植えるはずだった苗を、プランターに植えて少しでも収穫量を増やそうと考えています。
22棟が被害 イチゴ農家:
「やっぱり少しでも収入をあげたい、崩れた何10分の1か分からないが、それでも得られるかなと思って、大した量じゃないと思うが。なんとかいいイチゴが取れるように丹精込めてやるしかない。」
静岡の特産品である、久能の石垣イチゴ。
現在少しずつイチゴの花が咲き始めていますが、被害にあった農家は、先が見通せない状況に。
2ヶ月経った今も頭を悩ませています。
清水区の鉄舟禅寺
台風の被災地をめぐっては、清水区でも大きな動きが。
嶋田光希アナウンサー
「静岡市清水区の鉄舟禅寺に来ています。土砂崩れから1ヵ月半経った今でも墓石が積み重なり、大きく爪痕が残っています。今はひとつひとつ崩れた墓石をクレーン車で吊り上げて整理する作業が行われています。」
静岡市清水区にある鉄舟禅寺。
大雨によって、幅およそ40メートルにわたって裏山が崩落し、51基の墓石が崩れ落ちました。
10月、ようやくクレーン車が入り、崩れた墓石を整理する作業が始まりました。
鉄舟禅寺 世永天山さん:
「実際にお墓をひとつひとつどかすことによって、仏さんを救出することができた。これで檀家さんにもお知らせしましたら、檀家さんも涙ぐんで喜ばれている方もいらっしゃいましたから、そういう作業ができること、私もうれしく思っています」
被害に遭った骨つぼのおよそ半数は救出し、寺で安置。
ただ、再利用できる墓石は約3割にとどまります。
寺は再建を望む檀家のために、元々駐車場だった場所を、
新しく墓地として整備していく予定ですが、時期は未定だということです。
そんな中、こんな動きが…
鉄舟寺応援プロジェクト動画「鉄舟寺を救おう!」
義援金プロジェクトを立ち上げたのは、東海大静岡翔洋の生徒たち。
鉄舟禅寺が、東海大学の前身・航空科学専門学校の時代に
寺の一部を学生寮として提供していたという深い縁があるのです。
生徒たちの懸命な呼びかけで、すでに80万円以上の支援が集まっています。
住職は年内に、墓参りの一部再開を目指しています。
鉄舟禅寺 世永天山 住職:
「今は下の山門のところに献花台を設けていて、そちらで線香を上げていただき、お墓の方に向かってお参りをしていただくことをしている。1人でも多くの檀家さんがなるべく早くお墓参りできるように作業を進めていく」