【大学再編】浜松キャンパス「再編を早期実現したい」…静岡大内部で意見対立 日詰学長は浜松市長に「発言撤回求める」
静岡大・日詰学長 合意と異なる「1法人1大学」提案
少子化などを背景に、両大学は2019年、2つの法人を1つにした上で、浜松地区・静岡地区にそれぞれ新たな大学をつくる「1法人2大学」にする統合再編案に合意しました。しかし、おととし、両大学は「地元の理解を得られていない」ことなどを理由に統合・再編を無期限の延期とすることを発表。こうした状況の中、日詰学長は個人の考えとしてこう述べました。
静岡大学 日詰一幸学長(2月9日):「2つの大学を1つの大学にしていくことがひとつの選択肢、あるいは最善の選択肢としてあるのではないか」
両大学が合意した「1法人2大学」ではなく、「1法人1大学」を提案したのです。
静大浜松キャンパス「再編を早期実現したい」
そんな中、浜松市などは合意した案を進めるための期成同盟会を設立。先週、浜松市で開催された発足式には、スズキの鈴木修相談役も参加しています。
浜松市 鈴木康友市長(2日):「私が何より許せないのは、すでに去年、この大学は開学しているはずだった。この大学ができれば、そこで勉強したいという子どもたちがたくさんいた。そういう子どもたちの夢を壊し、就学の機会を奪い、教育の機会を奪っている。これが許せない。これを見過ごしている。私は静大の学長に猛省を促したい」
静岡大学の日詰学長にも発足式への出席を要請しましたが、同盟会が統合・再編を急いでいることなどを理由に欠席。一方で、静大浜松キャンパスにいる川田善正副学長は出席し、学内でも意見が割れていることを露呈する形となりました。
静岡大学 川田善正副学長(2日):「浜松キャンパスでは、今回の再編を早期実現し、自立した形、独立した形で大学運営を行っていくことを多くの方々が望んでいる。少しでも早期に皆様の期待に応えることができるように、より一層努力してまいりたい」
発足式終了後、取材に応じた鈴木市長は、日詰学長に対し、くぎを刺します。
浜松市 鈴木康友市長(2日):「きょう浜松キャンパスの意思が明確に独立・自立という形で川田副学長から明確に強い意思が表明された。従いまして、日詰学長は、そうした浜松キャンパスも含めたリーダーであるということを、ぜひご自覚をいただきたいと思います」
静岡大・日詰学長は鈴木市長の発言の一部撤回求める
批判の矢面に立たされている日詰学長。7日、期成同盟会の発足を受けて、反論会見を開きました。問題視しているのは、鈴木市長のある発言です。
浜松市 鈴木康友市長(2月27日):「医学部を入れただけで大学が底上げされるわけがなく、だったら三重大学も山梨大学も信州大学も、そういった地方大学がなぜ地盤沈下していくのかと。今の問題は一県一大学みたいな形で特徴のない総合大学がいっぱいあることが問題であって、これでは生き残っていけないので」
静岡大学 日詰一幸学長(7日):「よくその大学の学長たちと会うことがあるが、地域に貢献する地方国立大学として立派に教育研究を実践されておられると思うので、同じ国立大学の学長として見過ごすことができません。この場をお借りして、少なくとも発言を撤回していただくことを希望いたします」
日詰学長が発言撤回を求めたことについて、浜松市は「この件に関しては、市としては一切コメントしない」としています。