日帰りバスツアーに影響も…来春からバス乗務員の拘束時間1時間短く 課題は給料…「残業減で給料減れば、やめる人も増える」

 来年4月以降、自動車運転手の時間外労働時間の上限が、年間960時間に制限されるいわゆる「物流の2024年問題」。ドライバーの働く時間が短くなることで、輸送量が減少する可能性があり、物流への影響が懸念されています。ただ、この問題、物流業界に限った話ではありません。

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静鉄ジョイステップバス安全対策室 井柳新二課長:「来年、(乗務員の拘束時間が)1時間縮まるので、その1時間が結構大きな時間になるので、(観光の)行程を短くしなければならないということが発生してしまう可能性がある」

 こう話すのは県内外で貸切りバスの運行を行っている「静鉄ジョイステップバス」の井柳課長。

観光バス…運行時間短くするか2人乗務か

 バスの運転手の労働時間などの基準が改正されることで、これまでバスの乗務員の拘束時間は1日最長16時間でしたが、来年4月からは15時間が上限となります。

画像: 観光バス…運行時間短くするか2人乗務か

 乗務員の働く時間が1時間短くなるため、丸1日周遊することが多い、貸し切り観光バスの運行時間も、短くせざるを得なくなる可能性があるといいます。

さらに…。

静鉄ジョイステップバス安全対策室 井柳新二課長:「どうしても、お客様がその行程で(観光を)行いたいとなると、1人で今年まで仕事をこなせていたものが、来年は2人乗務になってしまうこともある」

 乗務員が増えるということは、人件費も増えるということ。その分、観光バスの利用料金も値上げされ、乗客への負担が増える可能性があります。

「体は楽になったけど給料が減ったでは、やめる人が増える」

 さらに、懸念されているのがバスの乗務員不足です。

静鉄ジョイステップバス安全対策室 井柳新二課長:「(拘束時間が減って)体は楽になったけど給料は減ったということでは、この先、離職者も増えてしまうので、給料面が(乗務員を確保する)今後の課題となってくる」

旅行代理店「日帰りバスツアーも短くせざるを得ないのかな」

画像: 旅行代理店「日帰りバスツアーも短くせざるを得ないのかな」

 こうしたバス乗務員の労働時間の規制の影響は、旅行業界にも。県内のバス会社との取引が多い旅行代理店は…。

サンコートラベル 宮川憲代表:「主に日帰りのバスツアーを年間通して計画しているが、例えば静岡駅出発で静岡駅に帰ってくるツアーで、朝7時に出て夜8時ぐらいに帰ってくるのが大体今までの通常のパターンだったが、それが多少短くならざるを得ないのかなと考えられる」

 ツアーを企画する旅行代理店も来年4月からの規制に対応し、ツアー内容の変更も検討しているということです。

「安全面では大きなメリット」

 一方、課題が山積しているようにも見える「旅客運送業の2024問題」ですが、
乗客にとっては、デメリットばかりではないという側面も…。

静鉄ジョイステップバス安全対策室 井柳新二課長:「(来年4月から)乗務員については労働時間が短くなり、休息時間が長くなるので、会社としては安全管理・安全輸送に関してはすごくメリットがあると思っている」

 来年4月からの規制では、乗務員が仕事を終えてから、次の仕事を始めるまでの時間が1時間増えます。拘束時間が減るのに合わせて、休息する期間もこれまで以上に確保されることで、乗務員が、リフレッシュした状態で運転に携わることができます。結果的にそれが、より安全な運行につながり、利用者としても、今まで以上に安心して旅行を楽しむことができるということです。

静鉄ジョイステップバス安全対策室 井柳新二課長:「安全面に関してはすごくメリットとして考えているので、今後ぜひ乗っていただきたい」

 これについては、旅行代理店からも好意的な意見が聞こえてきます。

画像: 「安全面では大きなメリット」

サンコートラベル 宮川憲代表:「お客様の安全と乗務員の健康管理を第一に考えてくれていると思うので、規制に対して異論は全然ない。規制に見合うお客様が喜ぶコースをとにかく作っていかなきゃいけないと思っている」