大型トラックにひかれて亡くなった当時高校2年生の娘の死を「命の大切さを学ぶ教室」で生徒に語る父親…なぜ彼は語り続けるのか

6年前、自転車に乗っていた高校2年生の女子生徒が大型トラックにひかれ亡くなりました。父親はその経験を「命の大切さを学ぶ教室」で語り続けています。
娘を亡くした築地秀将さん:
「そこの交差点になりますね。たぶんこう曲がってきて娘が」
2年ぶりの事故の現場でした。
築地秀将さん。
2019年4月6日、自転車にのっていた娘のみのりさん(当時16)が大型トラックにひかれ、亡くなりました。
みのりさんが乗っていた自転車です。
前輪は大きく曲がり、後輪は一見形をとどめているようにも見えますが荷台をつないでいた太いフレームが断裂しています。
事故から6年。
悲しみが薄れることはありません。
娘を亡くした築地秀将さん:
「今まで出かけてて本当に楽しい思い出がいっぱいあったんですけども。すいません。もう今は本当、悲しい思い出になっちゃってるので」
なぜ娘が死んで、自分が生かされているのか。
講師の依頼が
事故から半年が過ぎた頃、静岡県警からある依頼がありました。
静岡県内で行われる「命の大切さを学ぶ教室」で、講師として生徒たちに話をしてほしいというものでした。
娘を亡くした築地秀将さん:
「最初は抵抗あったんですけども、逆にそういうみのりの死を有意義というか、無駄にしない。伝えてることで子供たちが安全運転を意識してくれれば、逆に問題にならないのかなって思いで始めましたね」
県内では2024年88人が交通事故で亡くなり、前年から18人増えました。
犠牲者を減らしたい、そんな願いを込めて講演を引き受けました。
今「命の大切さを学ぶ教室」で話をする県内で唯一の交通事故被害の遺族です。
築地さんが話す教室はこの5年で20回を超えました。
娘を亡くした 築地秀将さん:
「救われてますね。やっぱりみんな事故に気をつけようって言ってくれたりとか、高3とかの子たちは、運転するときは気をつけますみたいなことを言ってくれるので」

命の教室当日
この日は静岡市内の中学2年生150人を前にゆっくりと話し出しました。
娘を亡くした 築地秀将さん
「もう6年半たってしまいましたが、進級したばかりの始業式の時に大事な娘を交通事故で失ってしまいました。
事故直後に病院にかけつけた時。
娘を亡くした 築地秀将さん
「そこにはみのりがまるで眠っているかのように横たわっていました。みのり、みのり、起きようよ。起きろよ。 起きてくれよ。目を開けなよ」
みのりさんをひいたトラック運転手への思い。
娘を亡くした 築地秀将さん
「凶器がたまたま車だったから交通事故と言っていますが、 遺族からしたらこれは運転手の注意不足、れっきとした殺人だと思っています」
6年たっても娘を思う気持ちはあふれてきます。
娘を亡くした 築地秀将さん
「今でも車を乗るとみのりが横に乗っていたことを思い出し、悲しみがこみあげてきます。今一人で出かけるときにみのりがいた日々がどれだけ大切でかけがえのないものだったのかを痛感しています」
そして生徒たちへ。
娘を亡くした 築地秀将さん
「車はとても便利な乗り物で、でも反面、その使い方やルール、マナーを守らなければ簡単に人を殺すことができる 凶器になります。それから人の命は決して軽いものではないということを実感しました。そして後悔のないように
今この一瞬一瞬を大切にしていこうと思っています」

終了後
中学2年・大房鼓士郎さん
「(親が)厳しい事を言っていてもちゃんと愛されているんだなって思ったので、ちゃんと自分の命を大切にしていきたいです」
中学2年・石塚苺菜さん
「今の時期反抗したくなる気もあるんですけど、でもやっぱりちゃんと大切に育ててくれてるので、後悔しないように 1日1日大切に向き合っていきたいと思いました」
講演の度に事故の記憶は改めて鮮明によみがえります。
それでも続ける理由は何なのでしょうか?
娘を亡くした 築地秀将さん
「娘が体を張って、 交通事故危ないよっていうのを伝えてくれたので、それを同じ中高生の方にも伝えて、少しでも本当に交通事故を減らしていきたい。なんか逆にそれが神様から与えられた試練なのかなって」
