問い合わせは5倍に…米高値の今人気の「棚田オーナー制度」 なぜか8割が子育て世代 静岡・菊川市

 コメ価格の行方が注目される中、いま人気を博しているのが棚田です。自然豊かな山あいに位置する、静岡県菊川市の倉沢地区。こちらの田んぼで、ある取り組みが…。

問い合わせは5倍に…米高値の今人気の「棚田オーナー制度」 なぜか8割が子育て世代 静岡・菊川市

多い問い合わせは「安定してコメを確保できるか」

NPO法人せんがまち棚田倶楽部 堀延弘理事
Q.この制度はなんて言うんですか?
A.「棚田オーナー制度と言って…」

 静岡県の「棚田等十選」にも選ばれている「千框(せんがまち)の棚田」。ここでは希望者が“田んぼのオーナー”になれる制度を取り入れていて、田植えから収穫までを体験できます。

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 コメ価格高騰の影響は、このオーナー制度にも…。

NPO法人せんがまち棚田倶楽部 堀延弘理事:「問い合わせフォームがあるので、そこからの問い合わせはいつもの年より多かったですね。(ここ数年比で)たぶんそうですね (ここ数年の)5倍…、いやもっとかな…。問い合わせは多かったですね」

 1月中旬から65区画を募集し、3月末の募集締め切りより半月ほど早く定員に達したといいます。「安定してコメを確保できるか」といった問い合わせも、多かったそうです。

 オーナーになるための年会費は、1区画あたり3万5000円。田んぼで育った「コシヒカリ」や、静岡県オリジナル品種の「葵美人」、合わせて15キロの新米を11月ごろに手にすることができます。5キロあたりにすると、1万円以上になってしまいますが、利用者が価値を見いだしているのは、おコメが手に入ることだけではありません。

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子育て世代に人気のヒミツは

清水家(浜松市)
長男:楽しい
次男:少し植える間隔とか難しいけどね
長男:そう~?

 田植えを行った浜松市の清水さん一家。今年で9年目になるそうです。

清水家(浜松市)
母:「子ども達がまた続けたいっていうので、じゃあ続けていこうということで、優先順位の高いところに我が家ではありますね」

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 子どもたちのためにと、毎年オーナーに。今年も毎月田んぼを訪れて、成長を見守るそうです。

清水さん親子(浜松市)
母:「ここだったら水もいっぱいあるし、泥もいっぱいあるし、すごい楽しそうに、楽しかったって言って帰っていくので」

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 オーナーのおよそ8割が子育て世帯だということです。一方で、地元の人たちもある思いが…。

NPO法人せんがまち棚田倶楽部 堀延弘理事
「棚田を復元したい、この景観をなんとか取り戻したいっていうことなんですよね」

 名前の通り、かつては1000枚以上の田んぼがあった「千框の棚田」。しかし、担い手不足などから、作付は減り続け、今ではおよそ500枚に。

NPO法人せんがまち棚田倶楽部 堀延弘理事「最初に僕らが(オーナー制度を)始めたころは、自分の子どもに昔の棚田を見せてあげたいって。子どもが棚田で遊ぶ姿を見たい。ここでいろんなことを経験して 子どもたちが大きくなった、そういう姿を見られるのがすごく幸せ」

 地元の思いは、オーナーにも伝わっているようです。

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清水さん親子(浜松市) 
「棚田の皆さんに子どもたちを育ててもらってるような。みんなで子どもたちの成長を見てくださってるっていう気はとても感じています」