学歴詐称疑惑の市長…大学は『除籍』 会見は1時間で突然終了 進退については… 議会は強硬姿勢 静岡・伊東市
“学歴詐称”疑惑が浮上していた、静岡県伊東市の田久保真紀市長。
伊東市 田久保真紀市長(会見会場入り)
Q.田久保市長、きょうしっかりと説明なさる?
A.「はい、会見場でよろしくお願いいたします。失礼いたします」
Q.説明責任を果たせそう?
A.「…」

「卒業証明書を取りに大学に行って除籍と分かった」
東洋大学を卒業したのか、あるいはしていないのか。注目の会見が、2日午前11時から開かれました。
伊東市 田久保真紀市長:「この度は私の経歴にまつわることで、市民の皆様にはご心配とご迷惑をおかけしたこと、まずはその点に関して深くお詫びを申し上げたいと思います。誠に申し訳ございませんでした(座りながら頭を下げる)」

「公職選挙法上の絡みがある」として、会見には弁護士も同席しました。
伊東市 田久保真紀市長:「私が経歴を詐称しているというようなことは一切ございません。6月28日土曜日に卒業証明書を取りに、大学の教務課窓口に私自身が出向きました。申請手続きを行いましたところ、卒業は確認ができませんでした。除籍であることがその場で判明いたしました」
卒業ではなく、除籍。田久保市長は「28日の段階で初めて知った」としています。
伊東市 田久保真紀市長:「私自身が大学を卒業していますという経歴については、選挙中もこれからも、自ら公表はしておりませんので、弁護士ともよく確認をしたところ、公職選挙法上、問題はないという結論になりました」

弁護士「公選法には該当しない」
ただ、選挙前、報道機関に回答した調査票には「東洋大学法学部卒業」と回答していて、当選後に発行された、市の広報誌にはっきりと記載されています。
伊東市 田久保真紀市長:「除籍であることが土曜日に判明してから、そのことが公職選挙法に触れるのかについて弁護士の先生方と確認をいたしまして、問題はないのではないかという認識になっております」
田久保市長の弁護人 福島正洋弁護士:「公職選挙法に該当するとすれば、235条の虚偽事項の公表罪に該当する可能性があると考えて検討しました。このケースは公職選挙法に違反しないことを今の段階で自信を持って言えると考えております」

伊東市 田久保真紀市長
Q.(市長が)怪文書とされたものの指摘通りだった
A.「その点に関しては非常に驚いたと同時に、現在それが偶然なのかどうなのかという部分で、非常に精神的な不安を覚えている状況ではあります。私自身の身の上とか、立場のことよりも、何よりも(涙ぐむ風で言葉を詰まらせる)、市民の皆さんが本当に勇気を出して一票一票を入れてくれた(泣きそうな震えた声)、その票に関して公職選挙法上問題がないということをまずお伝えしたい。その一心でございます」
実際は除籍されているにも関わらず、その事実を知らなかったと話す田久保市長。東洋大学によりますと、除籍となる要件は4つ。授業料などの学費を期日までに納入しなかった場合や、8年を超えて在学した場合などとされています。「なぜ除籍を認識していなかったのか」、最後まで明確な答えはありませんでした。
伊東市 田久保真紀市長:「私も一体どのような経緯で、卒業していないで除籍になっているのかはわかりませんので、そこはしっかり確認ができてから説明させていただきたい」
Q.すぐには除籍にならない。何年大学に行ったのか
A.「正直いつまでときちんとお答えできるような通学の状態ではなかったというのは、本当にお恥ずかしい話なんですけれども、事実です」
進退については
伊東市 田久保真紀市長
Q.今後の進退として市長を続ける気があるのか
A.「今このように困難な状況に追い込まれているからと言って、逃げ出すようなことはするなと、何人もの方に言っていただいていますので、自分がつらいからといって、今の状況を全て投げ出して逃げ出すようなことはしたくない」
Q.自分から市長を辞めるとは言わない?
A.「その思いにはしっかり応えていくようにしていきたい、そのように思っております」

議長に見せたのは…
議長に対し、卒業を証明するものを示したとしていたことでも追及が…。
伊東市 田久保真紀市長
Q.卒業証書ということで見せたとすれば、見せたものは何だったのか
A.「今調べている最中ということになる」
Q.ご自身が提示している。今説明できる話では
A.「私としては、これで自分の経歴が分かっていただけるかなという意味でお見せしたんですけど」
Q.つまり経歴が違ったわけですよね。卒業したかのように勘違いさせるような書類というのは何を提示したのか
A.「卒業証書であると認識はしていたんですが、今持っている材料ではお話ができないというのが現状」
Q.さも卒業したかのように見せたということなんですか?
A.「私の中では全くそういった認識はございません」

2日の会見は、市長自らが説明の場を設けるとした主催したもの。午前11時に始まった会見ですが、1時間後に突然、「会場の都合で会見は正午まで」とのアナウンスが…。
伊東市 田久保真紀市長
Q.卒業証書はお持ちではない?
A.「きょうはきちんとしているのが除籍であると、除籍という事実を持ってまいりました」
Q.(証書を)持ってくると言っていたのに、持ってこなかった?
A.「それは除籍であるという事実が出ましたので」
Q.議長たちに見せた…
A.「申し訳ないんですけれども、時間が…」

市議会では
市長の“釈明”会見、市議会も注目していましたが、煮え切らない内容に、批判が強まりました。
杉本一彦市議:「自分が大学を卒業していたかしていなかったかわからなかったなんてことが実際あるんですかね。きょう辞職するという言葉はなかったが、まだ田久保市長は市長の座に居座ろうとするなら、私たちはずっとその責任を追及していくつもり」

青木敬博市議:「本当に最後の最後まで言わなくて、これだけ市民を混乱に陥れたのは許し難い行為。これはもうこれからとてもじゃないけど議会が普通に運営できるとは思っていない」

議会は辞職勧告決議案を提出
市長の会見終了を待たずに、代表者会議で百条委員会設置の方針を確認。
伊東市議会 中島弘道議長:「本当に恥ずかしい、みっともない。本当にそれに尽きる。私に卒業証書を提示したとか、そうすると卒業証書は結局嘘のものだった、偽造しているものだったということになる。結局は学歴詐称だったということで、議会として辞職勧告決議案を最終日に出すと今決まった」
可決されても法的拘束力を持たない辞職勧告決議案ですが、提出されるのは伊東市政初めてで、百条委とともに、“前代未聞”の事態が続きます。
田久保市長
Q.辞職勧告決議を出すことが決まったらしいが?
(無言で通り過ぎる)
Q.辞職勧告決議が決まったらしいが?
A.「今は考えがまとまっていないので、考えさせてください」

市民は…
50代男性:「卒業したつもり…、卒業したつもりって、普通証書もらうでしょ。嘘ついていたんでしょうね」
60代男性:「他の議員の人に言われたときに、はっきり除籍されてましたと言っておけば、こんなことにならなかったと思う」
50代女性
Q.本人は卒業していると思っていたそうですが?
A.「あっ、そーう。のんきで、おおらかでいいんじゃないですか。もし詐称だったらそれはダメだよね。でも市長になるのに詐称じゃなければ、中卒でも高卒でも何でもいいと思うの」
70代女性:「娘を大学に出しているけど、そんな除籍とかっていうのは親とかに(連絡が)いくものじゃないですか、そういうのって。それを本人が(卒業)したと思ってた? 思いこみもひどすぎるよね〜。市長さんだよ?」
70代女性:「中退とか、自分が辞めたってことじゃなくて、除籍っていうのは、何をやったんだろうという疑問ができましたよね」
80代女性:「だっておかしいでしょ、それ。卒業したかしないかって、そんなの自分で一番わかっていることだよ。それおかしいわよ。また(選挙を)やり直ししたらいいじゃないですか」
80代男性:「そんなことよりね、伊東をもっと、大事なことをいっぱいやってほしい。はっきりごめんなさいって言って、伊東の市の図書館の問題とか、そっちのほうをいろいろ進めてほしい」

田久保市長の学歴詐称に対して、伊東市役所には午後2時までに100件以上の問い合わせが寄せられています。「伊東市の恥だ」「卒業してないから詐称だ」といった苦情が9割を占め、一部からは「詐称なんて大きな問題じゃない」など、激励の声もあるということです。
市の担当者は「私たちも会見で初めて知りました」とした上で、「市民が安心できるように、早く平穏に戻ってほしい」と話しています。