年2回しか入れない徳川家康ゆかりの寺で写経、座禅体験…幼少期過ごした「竹千代君手習いの間」も 静岡市
1983年には「本堂」が国の重要文化財に指定されました。歴史的価値が高い臨済寺ですが、先日、日が暮れた後に普段は見ることができない特別な場所が公開されました。
中野結香アナウンサー:「通常、5月と10月にある年2回の一般公開日にしか入ることが出来ない臨済寺。その貴重な寺で、これから修行体験に行ってきます」
年2回だけの企画
臨済寺は臨済宗妙心寺派の禅寺で、修行の専門道場です。現在、雲水と呼ばれる9人の修行僧が修行に励んでいます。
そんな臨済寺で3年前から始まったのが、修行体験と特別拝観。静岡県がJRなどと協力する大型観光企画「デスティネーションキャンペーン」の一環です。年に2回だけの企画で、予約は毎回、数週間で埋まってしまうほどの人気です
Q 今回参加されようと思ったきっかけは?
参加者:「たまたまウェブサイトで見かけて、こういった静かな時間を過ごせる機会があったので、最近は出られるような状況ではないので、静かな気持ちで体験したかった」
10分間集中して写経体験
まずは、本堂で写経体験からスタート。参加者は10分間、集中して筆を進めます。書き写すのは、臨済宗でよく読まれるお経「延命十句観音経」。42文字と短く親しみやすい経典で、繰り返し唱えると、ご利益を得られるともいわれています。
中野アナ:「初めての写経で、手が汚れてしまいましたが、用紙にはお経の下書きが書いてあるので、初心者でもとても書きやすかったです」
足のしびれを我慢して…座禅体験
続いて寺の西側にある建物へ移動。ここでの体験は。
チーン 座禅開始の合図です。
普段は入ることができない座禅堂で心を落ち着かせます。正座をして、ゆっくりと呼吸する参加者たち。邪念があると感じたら、雲水が通った時に手を合わせると、背中を打ってもらえます。これで緩んだ気持ちを引き締めます。
中野アナ:「今、修行が終わりました。座禅で少し足がしびれたんですが、心を落ち着けてやることが出来ました」
家康が幼少期に12年間過ごした部屋
修行が終わると、寺の中を案内してもらうこともできます。東側の階段を上り、書院へ入ると「竹千代君手習いの間」が。人質になった家康が幼少期に12年間過ごした場所です。
さらに階段を上っていくと、普段は見ることが出来ない臨済寺の美しい景色が広がっていました。
中野アナ:「こちらのお堂から下の本堂につながる階段のライトアップは、修行の時にしか見られないということです。とても趣がありますね」
日中は、静岡の市街地を一望できます。
修行体験は昼と夜の2部制で、夜は臨済寺がライトアップされます。
参加者:「朝と夜とは全然違って、虫の音がとても気持ちが良くて、清められた感じがしました」
Q 実際に、修行したことがありましたか?
参加者:「ないです。座禅の仕方が全然違って、足がしびれましたね」
参加者:「普段見られないところがたくさん見られて、心静かな時間が持てたことがとても光栄でした」
今年は定員を制限して密を回避
例年、修行体験は一般公開と同じ5月と10月の年2回行われています。しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で10月のみとなりました。マスクの着用や消毒はもちろん、定員は去年より10人少ない20人に制限しました。
するが企画観光局の担当者
「コロナ禍の中で日々不安を抱えながら過ごしている状況ですが、心静かに過ごしていただける時間を提供できればと思いまして、静岡市にはまだ魅力を感じられる場所はたくさんあるので、皆様に落ち着いてお過ごしできるような企画を提供できれば」
遠くまで足を運ばなくても体験できる特別な空間や時間。非日常が日常生活の充実につながりそうです。