『時代の波』は伝統ある寺にも…納骨による永代供養 車に火葬炉…人気上昇ペットの訪問火葬業/当世お墓事情(後)
「墓じまい」したい檀家も増え…

鎌倉時代の1187年に建てられたとされる、静岡市駿河区の「安養寺」。境内にはおよそ250のお墓があります。
安養寺 青島永紘住職:「こちらが1人もしくは夫婦など2人の方の永代供養の場所。位牌をお墓として手を合わせてもらって、遺骨は後ろにもう一つ部屋があって、そこに骨壺のままご安置させていただいている」
こちらで行われているのが、納骨による永代供養。現在は100人ほどで、位牌や遺骨は寺側できちんと管理してくれることはもちろん、墓石を建てるのに比べ、費用を抑えられることも特徴です(位牌型納骨壇お一人35万円年会費なし)。
5年前に始めてから、新規の相談では納骨での供養を選ぶ人がほとんどで、「墓じまい」をしたいという檀家も増えているといいます。
安養寺 青島永紘住職:「こちらが、3名からの方たちをお納めする永代供養の場所(室内墓石墓所3人以上80万円~)。外のお墓だと草取りやお花を換えないといけないというのがあるが、ここなら特別な時にだけ来ていただければ、お花を換えることもないし、屋根があるのでゆっくりお参りできる形になる」

取材中には、実際に納骨による供養を選んだ家族の姿も…。
今年夫を納骨した家族
Q.どなたが?
A.「主人です。(今年の)1月ぐらいに入れたかな。きれいだし、お骨も見られるし、何があってもここに来るんだよという(家族の)目安みたいな感じで」
安養寺青島永紘住職:「昔からあるお墓を大切にされる方、そしてまた、こちらに来られた方、両方とも仏様を大切にしようという気持ちに全く変わりはないので、寺としてもこちらを選べたのならこちらで安心して供養できるということを案内している」
ペットの訪問火葬
一方、ペット供養の世界では、こんな会社が…。
Q.「この車に火葬炉がついている?」
山口さん「そうですね」
こちらは、ペットの訪問火葬です。車にはペットを火葬できる炉が備え付けられています。
Q.見た目は普通の車と変わらない
山口さん「そうですね、やはりご家族様に、違う車が来てるとわからないように…」

この日も依頼があるということで、そのお宅へ向かいます。
ペットの火葬を依頼してきたのは、県西部に住むご一家。取材の2日前、小さい頃からかわいがっていた、愛猫チビちゃんが、病気で天国へ旅立ちました。9歳でした。ネコを3匹飼っていたご一家。今回が、4回目の火葬依頼だといいます。
奥さま「布団は…?」
山口さん「布団はお体の下には無い方がいいです。化学繊維のものは」
夫「この辺でいいですか? もうちょっと前?」
山口さん「こちらのウールの枠に収まるくらいで大丈夫です。」

ペットの訪問火葬を依頼した理由は…
夫「家族だけで、焼却する。最後まで、見られると思って」
妻「家族みんなで、最後のお別れができるっていうところですね。自宅に来ていただければ、みんな自宅にいるので、最後みんなでお見送りできるっていうところが、一番いい。」
このように、ペットの訪問火葬を利用する多くの人に共通するのは、家族みんなそろってお別れをしたい、骨を拾いたい、という気持ちからだといいます。

山口さん「体に触れてあげることができなくなってしまいます。安心して天国へ旅立てますよう、ぜひ炉の扉を閉める前に、最後にもう一度だけお体に触れて、最後に皆様のぬくもり、どうぞ残してあげてください。」
最後、骨壺にチビちゃんのお骨を拾い上げ、火葬が終わりました。
妻「これで無事に今まで一緒に生活してきて、飼い主としての役割を果たせたなっていう感じですね」
山口さん「この2、3年に、一気に(依頼が)増えてきた感じですね。最初は送り出すのもつらかったですけど、大変感謝の気持ちをいただけるっていうところに自分でも満足をしていて、今まで継続している」
