土石流の起点の盛り土、高さが届け出の3倍、量は1.5倍か 業者側「開発許可のもとにやった」 /静岡・熱海市 8日午後6時

 静岡県が土石流による被害を甚大化させたとしている、起点付近にあった『盛り土』。この問題をめぐり、きのう7日会見したのが―

 国交省出身の土木技術者でもある難波喬司副知事です。

静岡県 難波喬司副知事
「ここに黒い部分があるが、これは盛り土だと思う。ここから出た土砂が災害を甚大化させたのだろうということは、少なくとも言えると思う。この盛り土の工法が適切だったのかというと、技術者の見解として、この工法は不適切だったと思います」

画像: 土石流の起点の盛り土、高さが届け出の3倍、量は1.5倍か 業者側「開発許可のもとにやった」 /静岡・熱海市 8日午後6時

 静岡県によりますと、盛り土を作る際、水を抜くための排水溝などが設置されていなかったそうです。

2006年に購入した業者が計画以上の改変か

 土石流の起点となった盛り土がされていた土地は、2006年に神奈川県の不動産会社が購入。直後に当初の計画以上の土地の改変が行われる違反があったということです。

画像: 2006年に購入した業者が計画以上の改変か

 その後、2009年3月に土砂の搬入が開始されますが、翌年、土砂の中に産業廃棄物が混ざっていることが確認され、その間、県や市は是正指導や工事中止を繰り返し求めていました。

難波喬司副知事
「適正に行為されていないということは間違いない。いろんな面で手続き違反とか、手続きがされていないことがたくさんある」

土砂の量は1.5倍、高さは3倍

画像: 土砂の量は1.5倍、高さは3倍

 さらに、この盛り土が当初の計画を大幅に超える量だった可能性も出てきました。届け出では高さ15メートルとなっていたものが、実際にはその3倍以上の50メートルほどまで積まれていたというのです。

Q.元の計画よりも高く積まれているのは現場確認で気づかないのか

難波喬司副知事:「ある種、人の目がつかないところになる。なぜ気づかなかったのかという行政の責任があるかもしれない。行政がチェックできていないとなれば、そこは変えていかないといけない」

 計画では3万6000立方メートルとされていた土砂の量は、県の測量では、その1.5倍の5万4000立方メートルだったといいます。

2010年には土が階段状に

 こちらは2010年に撮影された崩落現場の映像です。土が階段状に積まれていたことがわかります。一体なぜ、盛り土は計画を大幅に超える量となっていたのでしょうか。当時を知る関係者はこう証言します。

開発会社の関係者
「申請はしているんだけど、ようするに10入れていいというのを20入れちゃった。俗にいう産業廃棄物の投棄をしていたみたいです。(この土地を)売るときに取り除いていたのは知っているんですよ。それが全部なのか一部なのか、全部ってことはないと思いますよ、あれだけの量」

現所有者は「ひどい土地と知らずに買わされた」

 その後、この土地は2011年に現在の所有者に売却されています。現在の土地の所有者の代理人によると、「ひどい土地と知らずに買わされた」として、開発業者に法的措置を検討しているということです。

現所有者の弁護士:「買ってから一切触っていないので、土を入れ過ぎだったとしたら前の所有者がやったことだとしか言いようがない」

 8日、盛り土をした業者に代理人を依頼された弁護士が都内で取材に応じました。

業者に代理人を依頼された弁護士
「自分が開発申請をして盛り土をしたという話が出たと。開発の申請をして、開発の許可をもとにやったんだと言っていた。本人は、自分は悪いことはしていないと言っていた」

 今回の被害を受け、全国の盛り土を総点検する必要性に言及していた赤羽国交大臣。8日、難波副知事とともに、熱海市の現場を視察しました。

赤羽国交大臣
「盛り土の原因は、まだ少し落ち着かなければ正式な分析ができない。他方で全国的に似たようなことが起きないように、国として国交省だけでなく関係省庁とも連携して対応する」

画像: 現所有者は「ひどい土地と知らずに買わされた」

 現時点で、土石流と盛り土の因果関係は分かっていません。

難波喬司副知事
「原因究明は当然同時並行にやるが、まずはここを落ちた時にどう被害を最小化するかということ。見てもらうとわかるが、ここに残っている。これが落ちる可能性はある。そのあたりを早急にやらないとまずい」