名店「たいめいけん」仕込みの味を静岡で 静岡市「でみぐら亭」
静岡市葵区沓谷に店を構える「でみぐら亭」。創業は1995年、30年にわたり地元で愛され続ける洋食の専門店だ。厨房に立つのは、東京・日本橋の老舗「たいめいけん」で腕を磨いた石尾謙さん。修業時代に学んだレシピを受け継ぎつつ、自身の工夫を加えた一皿を提供している。子どもから年配客まで幅広く通う、まさに街の洋食屋として欠かせない存在だ。看板料理といえば「チーズミートオムライス」。ケチャップで炒めたハムと玉ネギを混ぜ込んだライスをふわりと卵で包み、その間にチーズを仕込む。仕上げにかかるのは、自家製トマトソースと長時間煮込んだデミグラスを合わせた特製ミートソース。スプーンを入れれば、チーズがとろけてライスと一体に。濃厚なコクと優しい酸味が口の中に広がる瞬間は、この店ならではの幸福感だ。

人気を二分するのがハヤシライスと揚げ物のAセット。デミグラスソースは牛肉やタマネギを1週間かけて煮込んで仕上げるという手間の結晶。その深みのあるソースに、さらに5時間煮込んだビーフを合わせる。肉の旨みが溶け込んだ味わいは濃厚ながらも後口が軽やかで、ごはんが止まらなくなる一皿だ。セットではチキンカツや唐揚げ、カニクリームコロッケ、エビフライのいずれかを添えられる。特にチキンカツはジューシーな肉質と特製ソースの相性が抜群で、単品以上の満足感を与えてくれる。

さらに「でみぐらビーフ」も外せない。ホロホロに煮込まれた和牛のバラ肉をデミソースで煮込み、ごはんと一緒に楽しむスタイル。隠し味にジンジャーソースを加え、しょうゆの風味を効かせることでごはんとの親和性を高めている。新潟産のコシヒカリのライスは、粒立ちが良く、ソースと絶妙に絡み合う。

そしてファンの多いのが「卵のせカレーライス」。カレー粉を2種類ブレンドし、ガーリックやジンジャーを効かせた自家製ルーは中辛程度のスパイス感。濃厚で奥行きのある味わいながら、卵と合わせることでまろやかに仕上がる。ごはん、卵、カレーが三位一体となって織りなす調和は、洋食好きにはたまらない。

伝統のレシピを守りつつ、決して手を抜かない。洋食の王道を堪能したいなら、この店の扉をくぐるしかない。

でみぐら亭
静岡市葵区沓谷3-1-6
電話番号:054-247-8851
定休日: 火・水曜日
営業時間:11:00-15:00/18:00-22:00
※土日祝の夜は17:00-
Pあり