“国内最大級”竜巻から1カ月 ハウス8棟被害のイチゴ農家「売り上げ80%減 ハウス修繕に3000万円」 静岡・牧之原市

植田結衣子アナウンサー:「牧之原市の細江地区です。あちらの建物、壁がはがれていてむき出しの状態です。屋根も瓦がはがれたまま残っています。発生からまもなく1カ月となりますが、竜巻の爪痕が大きく残っています」

“国内最大級”竜巻から1カ月 ハウス8棟被害のイチゴ農家「売り上げ80%減 ハウス修繕に3000万円」 静岡・牧之原市

 “国内最大級”の竜巻発生からまもなく1カ月。853棟の住宅に被害が及んだ牧之原市では3日も復旧作業が進められていました。

 足場が組まれ修繕作業が行われたり、ショベルカーで解体作業が行われている場所も。日常を取り戻すのには、まだまだ時間がかかってしまいそうです。

“国内最大級”竜巻から1カ月 ハウス8棟被害のイチゴ農家「売り上げ80%減 ハウス修繕に3000万円」 静岡・牧之原市

ビニールハウス35棟が全壊

 竜巻による被害は住宅以外にも…。

笹村朱里アナウンサー「このビニールハウスは根元から折れ曲がってしまってますね…」
F・ぶらっど 藤田治之社長「そうですね、過去にない災害となってしまった」

 こちらは牧之原市で野菜や花の苗を育て、全国のホームセンターなどに出荷している農家。敷地内には43棟のビニールハウスを設置していましたが、今回の竜巻によって全体の9割近い35棟が全壊しました。

F・ぶらっど 藤田治之社長:「自社としても風速40mぐらいまでは対応できるように毎年修繕をかけながらしてきたが、今回の75m以上の竜巻には耐えられなくて、当社のハウスはほぼ全壊になってしまった」

“国内最大級”竜巻から1カ月 ハウス8棟被害のイチゴ農家「売り上げ80%減 ハウス修繕に3000万円」 静岡・牧之原市

 竜巻の発生からまもなく1カ月が経とうとしていますが、いまだ、手つかずだというこちらのビニールハウス。

F・ぶらっど 藤田治之社長:「(この場所は)全ての荷物をここに集めて、持ってきて、いろんな作業をする場所なので、他のハウスのなかでも一番メインの場所。約1カ月間、(商品を)つくるための仕事が全て停止していて、何もできない状態が今でも続いている」

 社長の藤田さんは完全な復旧までに、少なくとも1年以上はかかると見込んでいて、被害額は全てのハウスと商品をあわせると、2億円に上る見通しだといいます。政府は9月10日に今回の竜巻を復旧の費用を支援する「激甚災害」に指定する意向を表明していますが、具体的な時期などについては決まっていません。

F・ぶらっど藤田治之社長:「本音はつらい、どうしていいのかわからない。悩めば悩むほど、つらい。でもやんなきゃ…。みんな待ってる。みんな助けてくれる。みんなのためにも…って思っている」

“国内最大級”竜巻から1カ月 ハウス8棟被害のイチゴ農家「売り上げ80%減 ハウス修繕に3000万円」 静岡・牧之原市

売り上げ80%減、修繕費3000万円

 各地で被害を及ぼした竜巻。別のエリアでも深刻な状況は続ています。

杉山農園 杉山泰行代表:「とりあえずここには来たくない、見たくないという思いが最初の一週間ぐらいはあった」

“国内最大級”竜巻から1カ月 ハウス8棟被害のイチゴ農家「売り上げ80%減 ハウス修繕に3000万円」 静岡・牧之原市

 牧之原市静波で、15年イチゴを栽培している杉山農園。今回の竜巻によって11棟あるビニールハウスのうち8棟が天井部分を押しつぶされるなどして全壊しました。

杉山農園 杉山泰行代表:「単純に売り上げが80%減になっているし、潰れたハウスを全部立て直すとなると3000万円ぐらいかかってくる」

 今シーズンの収入はほぼ無くなってしまったなか、今年中には解体を終わらせ、来年1月には新ハウスの建設を始めたいとしていますが。

杉山農園 杉山泰行代表:「県の補助金などが入ってくると建て替えの2分の1とかの補助があるが、そういう補助の制度を使うとなると、制度が決まって申請して承認を得られないと解体を進められないという話になるので、そこでかなり時間は待たないといけないのかなと」

“国内最大級”竜巻から1カ月 ハウス8棟被害のイチゴ農家「売り上げ80%減 ハウス修繕に3000万円」 静岡・牧之原市

 そうしたなか、ハウスに来客が…。

極実屋 赤堀央幸代表
Q.どういった作業をしている?
A:「惜しみなく育てたものが使えないのは、非常に心苦しいことなので、本当に苗だけでもなんとかなればということで、欲しい農家に提供しているところ」

 こちらは、県内で農業コンサルタントなどを行う赤堀さん。杉山農園では、9月下旬から今シーズンのイチゴの苗をビニールハウスへ植え始める予定でしたが、竜巻によってハウスがなくなり、およそ1万4000本分の苗の行き先がなくなっていました。植えられない苗は廃棄するしかないという状況のなかで、赤堀さんが廃棄予定の苗を買い取り、他の農家へ引き渡すことになりました。

 そうしたなか、ハウスに来客が…。

極実屋 赤堀央幸代表
Q.どういった作業をしている?
A:「惜しみなく育てたものが使えないのは、非常に心苦しいことなので、本当に苗だけでもなんとかなればということで、欲しい農家に提供しているところ」

 こちらは、県内で農業コンサルタントなどを行う赤堀さん。杉山農園では、9月下旬から今シーズンのイチゴの苗をビニールハウスへ植え始める予定でしたが、竜巻によってハウスがなくなり、およそ1万4000本分の苗の行き先がなくなっていました。植えられない苗は廃棄するしかないという状況のなかで、赤堀さんが廃棄予定の苗を買い取り、他の農家へ引き渡すことになりました。

“国内最大級”竜巻から1カ月 ハウス8棟被害のイチゴ農家「売り上げ80%減 ハウス修繕に3000万円」 静岡・牧之原市

赤堀さん「つながりできることがありましたら、協力させていただきます」

杉山さん「この先もよろしくお願いします」

杉山農園 杉山泰行代表:「ありがたいご縁で植えてくださる方が見つかって、本当にお嫁に出した気分。誰かの手に渡ってその方に愛情込めて育ててもらえれば全ていいのかなと」

 苗の販売額は、本来見込んでいたイチゴの売り上げと比べると10分の1以下。全ての苗が買い取られることになりましたが、被害額を補填するには到底及びません。厳しい現状はまだ続いていますが、杉山さんは前を向き始めていました。

杉山農園 杉山泰行代表:「自分ひとりじゃ何もできないというのは、イチゴを始めた15年間のなかでずっと感じていたことなので、今回こういう被害を受けても、結局最後は人との関係だと改めてわかった。来年新しいハウスが建って、イチゴを植えている映像が自分の頭の中にはあるので、そこに向かって進んでいくだけ」