〝国内最大級〟竜巻の正体は『多重渦』か…巨大な竜巻の中に複数の竜巻が発生!? /専門家が見た現場 静岡・牧之原市

 9月5日に静岡県内を襲った竜巻。1人が死亡、83人が重軽傷を負い、2200軒以上の住宅が被害を受けました。特に被害が大きかった牧之原市の細江地区。住民によると、竜巻は複数回襲ってきたといいます。

堀田徳章さん:「(2回目の突風で)この用水路の方に落下して、3回目の突風の時に体が浮いてしまったのが分かったので、倉庫の屋根の部分をつかんで、最後に自分が覚えている映像は、自分の足が天を向いていた状態で、もうだめだと思ったら、風がパターンとやんで地面に降りて」

松浦暖花さん:「この辺りに1回飛ばされて、しがみついたんですけど、その後もう1回強風が来て、そこの倉庫まで飛ばされちゃって、あそこの倉庫に引っかかった感じです」

〝国内最大級〟竜巻の正体は『多重渦』か…巨大な竜巻の中に複数の竜巻が発生!? /専門家が見た現場 静岡・牧之原市

専門家が見た現場

 当時、現場ではいったい何が起きていたのか。竜巻を研究している防衛大学校の小林文明教授と現地へ向かいました。

防衛大・小林文明教授:「ここの集落全体で見ても幅が2~30mくらいあって通過していったんだろうな、ということが分かりますしね」

 今回、番組は被災直後に道路が封鎖された地域に入ることができました。

〝国内最大級〟竜巻の正体は『多重渦』か…巨大な竜巻の中に複数の竜巻が発生!? /専門家が見た現場 静岡・牧之原市

 数百メートルにわたって谷を埋める、おびただしい数の倒木。枝が飛ばされたり、幹の真ん中からねじ切られたりして様々な方向に倒れています。

防衛大・小林文明教授:「木の倒れ方が無造作と言いますか、風の通り道が本当にわからないですね。本当にある一定方向の風がこう吹き上げてきたっていう話じゃ全くないと、この倒れ方からも想像できる」

〝国内最大級〟竜巻の正体は『多重渦』か…巨大な竜巻の中に複数の竜巻が発生!? /専門家が見た現場 静岡・牧之原市

 そして、小林教授自身も見たことがない状況を目の当たりにすることに…。

防衛大・小林文明教授:「はがれている。一皮むきつつあるっていう状態ですよね。こんな光景というのは、本当に私も初めて見る」

 皮がきれいに剥かれたようになっている木。これは竜巻特有の被害だといいます。

防衛大・小林文明教授:「話では聞いているんだけれども、日本でこんなことを確認したというのは、しかも大規模に起こったのは、ここが初めてですよね。そういう意味では、本当に今回のこの牧之原の竜巻は特別であったと」

〝国内最大級〟竜巻の正体は『多重渦』か…巨大な竜巻の中に複数の竜巻が発生!? /専門家が見た現場 静岡・牧之原市

巨大な竜巻の中に複数の小さな竜巻が発生したか

 現地の状況から、小林教授は“ある可能性”を示唆しました。

防衛大・小林文明教授:「複合渦的な多重渦が、この一帯を駆け巡っていった。それを皆さんが経験した。そういうストーリーが妥当じゃないかなと」

 多重渦とは、巨大な竜巻の中に複数の小さな竜巻が発生する現象のこと。いずれも同じ点を中心に移動するため、複数の竜巻が同じ場所を襲い、被害が甚大化することがあるといいます。

〝国内最大級〟竜巻の正体は『多重渦』か…巨大な竜巻の中に複数の竜巻が発生!? /専門家が見た現場 静岡・牧之原市

防衛大・小林文明教授:「恐らく2つ3つ子どもの竜巻があってたまたま1個しか通らなかったところはそれでも被害強い。だけど2回通過したところは被害が2倍になる。3個通過した時にはもっとひどくなる」

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家が飛ばされても残る「バスタブ」

 国内最大規模とされた牧之原市の竜巻。こうした竜巻に私たちはどう備えればいいのでしょうか。

防衛大・小林文明教授:「一般的に言えば、最後の最後、家が飛ばされても残っているのがバスタブなんですね。いざという時、身の危険を感じたら家族でバスタブの中に子どもを下にして自分が上になって、頭をクッションや毛布で守る。こういう基本姿勢をとることも非常に重要になってくると思います」

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