弟の無罪確定後も再審法改正に向けて闘い続ける袴田ひで子さん えん罪がなくなるようイタリアでも訴える

 袴田巌さんの姉のひで子さんは、弟の無罪確定後も再審法改正に向けて闘い続けています。イタリアでも世界からえん罪がなくなるよう訴えました。

高市総理:
「確定した刑事裁判をやり直す再審制度の見直しについて検討を進めます」

 高市総理は、10月24日の所信表明演説で「再審制度の見直し」について言及しました。

 11月7日の衆院予算委員会ではこんなやりとりも・・・

鈴木貴子議員:
「初心で再審法について触れていただくのは異例中の異例だと思っています。同時に死刑囚とされた袴田巌さんですが、実は一人息子さんがいらっしゃいます。58年間断絶です。まさに再審が決まる直前に袴田さんは出先のお土産屋さんでくまの小さいぬいぐるみを買いました。今でもそのぬいぐるみは巌さんのご自宅の棚に飾られています。これが冤罪のもたらす事実です。58年間ようやく無実になっても帰ってこない時間があるということです」

●高市総理:
「私はこの再審制度が適切に機能することが重要だと考えました。自民党の総裁選のときも訴えましたし、さきの演説でもこれをあえて訴えました。政府の責任において迅速に検討を進めてまいりたいと思います」

 今の再審制度には不備があると指摘されています。審理を進めるルールも、証拠開示の規定も、検察の抗告の制限も、ありません。これが、えん罪に苦しむ人を早期に救えない要因と言われています。

 再審法を巡り、法務大臣の諮問機関の法制審議会が、改正に向けた議論を進めています。11日の部会では再審開始決定後の検察の抗告について議論されました。

●弁護士の委員:
「検察官の抗告によって再審が始まるまでに長い時間がかかっている」

●学者の委員:
「1回限りの判断で再審公判に移行するのは確定判決をあまりに軽視するもの」

議論は平行線をたどっています。

弟の無罪確定後も再審法改正に向けて闘い続ける袴田ひで子さん えん罪がなくなるようイタリアでも訴える

ひで子さん)「寝てる? へへへ。きょうね、東京へ行ってくる」
巖さん)「ああ、そう」
ひで子さん)「夕方帰ってくるでね」
巖さん)「はいはいはい」

ひで子さんは、国会議員に再審制度の改正を訴えます。

●袴田ひで子さん:
「47年7カ月の巖の苦労を再審法改正で、ぜひ皆様のお力でよろしくお願い致します」

 超党派の国会議員連盟は、再審制度の改正案について今国会での審議入りを目指しています。

●袴田ひで子さん
「法改正と言ってもなかなか法務省はのん気に構えてますからね。だから、国会の方で早急に法改正をお願いしたいと思う」

弟の無罪確定後も再審法改正に向けて闘い続ける袴田ひで子さん えん罪がなくなるようイタリアでも訴える

 10月25日、ひで子さんは、イタリア・ローマへ向かいました。死刑廃止を訴える国際会議で講演を頼まれたのです。

 ひで子さんはイタリアの人たちへ、今の思いを訴えました。

●袴田ひで子さん:
「巌を元に戻せとは言いません。巌の身に起こったことがせめてこの世界から死刑や冤罪をなくすことにつながるように切に願います」  

ひで子さんは巌さんにくまのぬいぐるみを買ってきました。

ひで子さん)これお土産
巌さん)ああ
ひで子さん)可愛いら?
巌さん)可愛いね
ひで子さん)何て名前つけるかね?

 巌さんが失った58年は戻ってきません。それでも、ひで子さんは闘い続けます。

 ひで子さんの闘いを負ったドキュメンタリー番組を24日月曜日午後1時49分から放送します。「テレメンタリーPlus 弟を信じ続けて袴田ひで子 92歳の闘い」。ご覧ください。