公邸料理人の技が光る、焼津のイタリアンで味わうソースの妙 「ダルピーノ」
焼津市栄町。ここに、食通の心を掴んで離さない一軒のイタリアンレストランがある。「Dalpino(ダルピーノ)」だ。落ち着いた雰囲気の店内にはワインセラーも完備され、ゆったりとした時間が流れている。オーナーシェフの植松高広氏は、フランスのストラスブールやハワイの日本国総領事館で「公邸料理人」として通算5年も腕を振るったという、輝かしい経歴の持ち主である。世界を知るシェフが奏でる一皿は、繊細かつ大胆だ。
まず驚かされるのは、ランチの「Aコース」の充実ぶりだろう。5種類の前菜盛り合わせに始まり、ひとくちスープ、5種類から選べるパスタ、そしてデザートにコーヒーまでが付く。このコースの中で、まず食すべきパスタは「小エビのラグートマトソース」だ。身を包丁で叩いてプリプリ感を残したエビと、その頭から取った濃厚な出汁。そして糖度の高い「ハイブリックス」というトマトの水煮を合わせたソースは、エビの旨味とトマトの甘みが凝縮されている。合わせる麺は、スパゲッティーニより少し細い「フェデリーニ」。ソースとの絡み具合を計算し尽くしたアルデンテの食感が、口の中で弾ける。
秋の味覚を堪能するなら、「クリームパスタ」が良い。地元のシイタケを使い、乾燥シイタケを鶏ガラのブイヨンで煮詰めてペースト状にしたものをベースにしているため、クリームソースでありながら重すぎず、シイタケの旨味をダイレクトに感じる「さっぱりテイスト」に仕上がっている。
魚介を贅沢を味わうなら「ペスカトーレ」をオーダーしたい。エビ、イカ、タコ、ホタテ、ハマグリに加え、今の時季は旬のカキも入る。香ばしく焼き上げたエビをはじめとする魚介から染み出した出汁が、複雑でコクのあるスープとなり、パスタに深い奥行きを与えている。
そして、食事の締めくくりには、シェフが公邸料理人時代に作っていたという「パンケーキ」が登場する。柿など季節のフルーツが添えられたそのパンケーキは、スフレタイプで驚くほどふわふわ。とても軽く作られており、食後でもペロリといけてしまう優しさがある。
世界各国の賓客をもてなしてきた技と、焼津の食材が出会う場所。ダルピーノでの食事は、日常を少しだけ特別なものに変えてくれる。
Dalpino
焼津市栄町2-4-4
電話番号:054-631-7873
定休日: 月曜日
営業時間:11:30-14:00 L.O.13:00
18:00-22:00 L.O.20:00
※提携Pあり

