リニア工事…JR東海に市民の不安を払しょくする対応を求める 大井川利水関係協議会で中間報告の共有と意見交換
改めて「中間報告」の不備を指摘…「工事は認められない」
協議会に出席したのは、静岡県と大井川流域にある市や町、11の利水団体の代表者です。これは、先月大井川の水問題を議論する国の有識者会議で中間報告がまとまったことを受け、内容を正確に共有するため県が開いたものです。
1年8カ月にわたる有識者会議では、トンネル工事で生じる湧水全量の大井川への戻し方と中流や下流域の地下水への影響を論点に議論が行われました。まとまった中間報告では、トンネル掘削に伴う湧水を大井川に戻せば中下流域の流量は維持され、地下水への影響も極めて小さいと指摘しています。
20日の協議では、難波副知事が中間報告の内容とそれに対する県の見解を説明し、現状では「工事は認められない」との認識を改めて強調しました。
静岡県
難波喬司副知事:「工事中のトンネル湧水の『全量戻し』については解決策が示されていない。水温を含む水質への影響や発生土の処理方法についても議論が十分に行われていない。静岡県としては現状では工事を認めることはできる状況ではないと考える」
「万が一が起きたら終わる」安心を担保できる仕組みを
有識者会議の委員を務める地質構造・水資源専門部会の森下祐一部会長は水収支解析やトンネル掘削の影響評価に「不確実性がある」と主張。流域の市や町からは工事を進める段階にないという意見が上がったほか、引き続きJR東海に市民の不安を払しょくする対応を求める声が上がりました。
吉田町
田村典彦町長:「吉田町は基本的に全水道水は全て地下水に依存している。うちの町は万が一が起きたときは終わる。万が一くらいのリスクがあってもいいと考えられたら非常に怖い」
菊川市
長谷川寛彦市長「(湧水のポンプアップによる揚水は)相当な維持管理費やいろいろなことが想定される。安心が担保できる仕組みが必要」
一気に解決する方法「ルート変更しかない」
利水団体からはこんな意見も…。
大井川土地改良区
内田幸男理事長:「トンネル湧水の全量戻しが最大の課題。その方法については何も発表されていないので戻し方の方法についてついて考える必要がある。一歩踏み込んで考えると水の問題、自然環境の問題、皆真剣になっていることを一気に解消する方法はルート変更しかないと最後考える」
「まだまだ前途多難」
県は、協議を踏まえて中間報告に対する県の見解と疑問をまとめ、県の専門部会で検討を続けるとしています。
難波喬司副知事:「あくまで我々が対話する相手はJR東海。今回の指導を踏まえてJR東海がどのような説明をするのか、その説明に対して見解を述べる」
島田市
染谷絹代市長:「ひとことで言えば、まだまだ前途多難。これから疑問点や意見、それぞれの町の関心ごとでモニタリングの中身や議論も変わるので丁寧に汲み上げてしっかり対応していただきたい」