担当記者が解説…「まん延防止措置」再延長 静岡県の「悩みに悩んだ」判断の舞台裏 直前まで協議重ねる

橋本ありすアナウンサー:川勝知事が苦渋の決断に至った理由について、県政を取材する根方記者に聞きます。川勝知事をはじめ、県の担当者は相当悩んだようですね

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担当記者が解説…「まん延防止措置」再延長 静岡県の「悩みに悩んだ」判断の舞台裏 直前まで協議重ねる

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最終的には「延長判断」に異論なく

根方ゆき乃記者:先週から今週にかけて、県は何度も協議を重ねていて、延長については賛否が分かれていました。川勝知事も他県の知事に相談するなど、近隣の県の動向もみながら最後の最後まで状況を見極める形となりました。

「延長」か「解除」か国に伝える期限は、3日の木曜日の昼まででしたが、この日の朝、最終的な確認の場として知事や県の幹部が協議しました。県の幹部によりますと、この時点では延長判断に異論は上がらず、延長要請にゴーサインが出ました。

橋本アナ:ぎりぎりまで悩む中で、「解除という判断」の可能性もあったのか?

根方記者:県は、先週金曜日「この感染状況では延長」という方向性を示していましたが、今週に入り徐々に「解除の可能性もありそうだ」という声も聞こえてきました。なぜかといいますと、県内の『病床使用率』がやや変化していたからなんです。

画像: 最終的には「延長判断」に異論なく

 県が今回「延長」を決めた最大の理由は『医療提供体制がひっ迫していること』。県は、「病床使用率が50%を下回ること」を解除の目安だとしていて「延長」を決めた前日まで、それを上回っている。これが決定打となったが…

 その一方、先週金曜日(2月25日)時点で、6割を超えていた病床使用率が今週の火曜日(1日)には53%ほどに減り、5割に近づいたことで「解除の可能性」も視野にいれていたようなんです。

橋本アナ:県が延長を決めた日の病床使用率は5割下回っている。もし、前日に5割を下回っていたら「解除」の可能性はあったのか?

根方記者:担当者に話を聞いたのですが、たとえ判断が1日2日ずれていたとしても「同じ決断だった」と話していました。病床使用率は、若干下がったものの、新規感染者数は1500人を超えるなど高止まりが続いています。「例えば病床使用率が10%ほど下回っていれば解除も現実的に見えてくるが、いまの現状では解除判断はなかった」と話していました。

落ち着いている地域を除く判断はなかったか

 また、県としてはこのタイミングでの解除には大きな懸念があったようです。沖縄では解除後に感染者が増えています。異動や引っ越しなど人の移動が増える新年度を迎えるにあたり、沖縄のようなリバウンドを防ぐ狙いもあったということです。

画像: 落ち着いている地域を除く判断はなかったか

橋本アナ:これを見ると、県内の賀茂地域では感染状況が落ち着いている印象。こうした地域を除くという選択肢はなかったのか?

根方記者:実は、そうした地域を解除するかについても議論に上がったようですが、全県一律の対応となりました。自治体によっては、入院施設のないところもあり、患者を東部や中部の医療機関に搬送することもあるので、医療提供体制全体を重視する結論になったとのことです。

期限の21日の前に解除する可能性は

画像: 期限の21日の前に解除する可能性は

橋本アナ:県内の感染状況は分かりましたが、他県と比べるとどうなのか?

根方記者:県への取材で、県内の病床使用率は全国12番目に高いことがわかりました。直近1週間あたりの新規感染者数は全国21番目に多く、延長が決まった18都道府県の中で13番目と、それほど高くはありませんが、病床使用率は全国で12番目、18都道府県の中では8番目と高いんです。

橋本アナ:21日まで延長することが決まったが、その前に解除になる可能性は?

根方記者:県は「医療提供体制が改善されれば解除も視野に入れている」としていますが、2週間という期間の中での手続きなどを考えると、実務上難しいとしています。私たちはあと2週間、いま一度感染しない・させない対策の徹底が求められます。

                (3月5日放送)