【再審法改正】「幅広い証拠開示」「検察官の抗告禁止」で対立 弁護士側の委員「極めて不当」
再審法の改正をめぐっては、議員立法と同時に法務省諮問機関の法制審議会でも議論が進められています。しかし、法制審議会では「幅広い証拠開示」や「検察官による抗告禁止」に否定的な意見が多く、16日報道陣に非公開で開かれた法制審議会の13回目の部会で、弁護士側の委員3人はえん罪被害者の救済に逆行し、再審法の改悪になりかねないと意見書を出して抗議したといいます。
村山浩昭元裁判長:「内容的に見て極めて不当。侮辱されている。経過を全く無視してまとめられ、全くフェアではない」
去年、袴田巌さんの無罪を決定づける証拠が開示されたのは、再審請求から29年後。袴田さんの再審開始と釈放を認めた村山浩昭元裁判長は審議会後の会見で、「この案だと、袴田さんの再審は開かれなかった」と憤ります。
鴨志田祐美弁護士:「考えは違っても誠実に議論に向き合い、建設的に最終的な意見に持っていけるように努力してきたのに、頭からバーンとつぶされた。許しがたい」
また、弁護士側の委員は、再審法改正を早期に実現する議員連盟が作成し、先の国会に提出されている「幅広い証拠開示を裁判所が検察に命じる」ルールや「検察官の不服申し立て禁止」を盛り込んだ法改正案を全面的に支持すると伝えたといいます。
村山元裁判長のもとには証拠開示について、現役の東京高裁の裁判官から手紙が届きました。
「証拠開示の範囲を狭めてしまっては、再審請求事件は今よりもっと開始になりにくくなる。証拠開示について裁判所の裁量を残してほしい。裁量権を奪って現場の裁判官の手足を縛るようなことはしないでほしい」
村山元裁判長は「これは絶対譲れない点だ」と主張し、「再審請求事件の審理をやったことがなく、苦労したことがないからこんなことが言えるのだ」と批判しました。
再審法改正をめぐる動きは、「幅広い証拠開示」「検察官による抗告禁止」で、法制審議会と弁護士の平行線が続いています。

