出汁を信じ、麺を磨く 藤枝で出会う本気の讃岐うどん 「やまふく」
茹でたてのうどんに、だし醤油をさっと回しかける。 余計な飾りを排した一杯が、これほどまでに雄弁なのかと気づかされる。藤枝市与左衛門に店を構える「やまふく」は、讃岐うどんの本質を真正面から伝えてくれる専門店だ。
店主は、香川県坂出市で地元客が列を成す名店「手打ちうどん町川」で修業を重ねた人物。その経験を軸に、毎朝その日に提供する分だけを仕込む。打ちたて、茹でたて。その当たり前を一切崩さない姿勢が、うどんの表情にそのまま現れる。
看板は「大海老天ぷらうどん」。丼を覆うように並ぶ大ぶりの海老天が三本。揚げたては衣が軽やかに弾け、途中からだしに浸せば、旨みをまとって表情を変える。主役はあくまでうどんだが、この一体感は計算の上に成り立っている。だしは、伊吹いりこと日高昆布、さらに四種の削り節を重ねて取る。濃厚でありながら雑味がなく、口に含むと静かにほどけていく。
麺に使う小麦粉は、香川県から取り寄せる「特雀」。強いコシと、もっちりとなめらかな舌触りが特徴だ。茹で上げた麺は一度流水で締め、ぬめりと余分な塩分を落とす。この工程が、のど越しの良さを決定づける。
隠れた人気の「しょうゆうどん」では、その完成度がよりはっきりと伝わる。茹で釜から直接上げた麺に、香川から届く甘みのあるだし醤油。大根おろしや天かす、薬味で味の輪郭を変えながら、最後まで飽きがこない。
さらに「カレーうどん 温玉と鶏天のせ」。自家製だしに2種のカレーを合わせ、辛さは控えめ。3日間だしに漬け込んだ鶏天は、驚くほどふんわりと仕上がる。温玉を崩せば、全体がやさしくまとまる。
「釜バターうどん(温玉付き)」も忘れがたい。バターと卵、黒胡椒、だし醤油が絡み合い、和風カルボナーラのような濃厚さを生む。
素材と工程を信じ抜くからこそ、うどんはここまで豊かになる。藤枝で味わう一杯は、讃岐の精神そのものだ。
やまふく
藤枝市与左衛門296 -1
電話番号:054-637-2515
定休日:月曜・第1第3第5火曜
営業時間:土曜日曜 7:00~8:45/11:00~14:30
その他 11:00~14:30
Pあり
