40年変わらぬスパイス配合　外はパリッ、中はレアなローストビーフ　静岡市「DON幸庵」

　静岡市葵区馬場町。ここに、かつて精肉店として名を馳せ、百貨店の惣菜店としても人気を博した店主が営む洋食レストランがある。「DON幸庵」だ。2011年のオープン以来、多くの女性客の心を掴んで離さない。肉を知り尽くしたプロの仕事が冴え渡る。
　この店の代名詞とも言えるのが、オープン以来の定番「サーロインローストビーフ」のランチセットだ。使用するのは、オーストラリア産のロースとサーロインのみ。赤身の旨味を重視した選定だ。 味の決め手となるのは、精肉店時代の1985年頃から変わらず使い続けているという、約20種類をブレンドした特製スパイス。これに肉を一日漬け込み、翌日に200℃のオーブンで40〜50分かけて焼き上げる。外側はパリッと香ばしく、中はしっとりとジューシーなレア加減。 ソースは鶏ガラ出汁に醤油を合わせ、少し酢を加えたオリジナル。肉の旨味を引き立てつつ、さっぱりとした後味でご飯が進む名脇役だ。ホースラディッシュで味変を楽しむのも良い。

　常連客のリクエストから生まれたのが「ローストビーフサラダランチ」だ。サーロインの切り落としや端の部分を中心に、タレを絡めてからたっぷりの野菜の上にオン。味の染みた肉とシャキシャキのレタスを一緒に頬張れば、箸が止まらなくなるヘルシーな一皿となる。

　ガッツリと肉を喰らいたい日には「サーロインステーキ」を。ローストビーフと同じ上質なオーストラリア産肉を約170gにカット。片面を強火で焼き固め、仕上げにフランベして香りを纏わせる。表面の香ばしさと、噛むほどに溢れ出す赤身の旨味がたまらない。

　そして、これからの寒い季節に恋しくなるのが「煮込ハンバーグ」だ。国産牛6割、国産豚4割の黄金比率で合わせた合挽き肉を焼き上げ、ビーフシチューのソースと共にグラグラと煮込む。一般的なデミグラスソースとは一線を画す、苦みのない、肉のコクが前面に出たソース。熱々のハンバーグは驚くほど柔らかく、濃厚なソースが体の芯まで温めてくれる。

　店主の飾らない哲学と、肉屋時代から磨き上げた技術が詰まったDON幸庵。静岡・馬場町で、変わらぬ肉への愛情が皿の上で輝いている。

DON幸庵
静岡市葵区馬場町106
電話番号：054-251-7002
定休日:日・月曜日
営業時間:11:30-14:30 L.O.14:00
17:30-20:00 L.O.19:00
※ディナーは土曜日のみ
Pあり