高齢者に幸せと前向きな気持ちを届ける「福祉ネイル」~静岡県沼津市の高齢者施設から
成川さん:
「素敵だね。若返っちゃった」
「ほんとこんなこと初めてだからね夢みたい」
沼津市にある高齢者施設。
この日行われていたのが「福祉ネイル」と言われる介護サービスの1つ。
福祉ネイルとは、主に高齢者や障がい者に対して行うネイルのことで、日本福祉ネイリスト協会の認定資格です。
爪が綺麗になることことで、気持ちが前向きになり、元気になる傾向があるといわれています。
職員:
「何色にしますか?どれにする?ピンク?ピンクにしますか」
101歳の阿部さんが選んだのは、うすいピンク色。
2カ月ぶりにマニキュアを塗ってもらいました。
職員:
「おわりましたよ。手元見てみましょうか」
阿部さん:
「わあ」
職員:
「ひまわりものって夏らしくきれいになりましたね」
阿部さん:
「うん」
職員:
「すごいニコニコしている」
長尾あやさん
福祉ネイリストの資格を持つ人は、県内におよそ15人。
その中の1人が長尾あやさんです。
普段はネイルスクールの講師としても活動。
そのかたわら月に1~2回程度高齢者施設に出張し、利用料は1人1000円ほどで福祉ネイルを行っています。
長尾さんが福祉ネイルに興味を持ったきっかけは、母みちよさんの存在でした。
長尾さん:
「子供のころから母が脳梗塞で体が不自由だったんですね。
数年前に母の病気が悪化して車いす生活を余儀なくされて」
そんな母みちよさんを元気づけるために行ったのが…
長尾さん:
「久しぶりにネイルをしました。そしたら、すごく喜んでくれたし、色んな人にネイルをしたんだよっていう風に元気になってくれたので、それをきっかけに福祉ネイルに携わるようになりました」
福祉ネイルは利用者のことを考え、様々な工夫を凝らしています。
長尾さん:
「高齢者の方など長く座っていられない方が多いので、10~15分程度でできるスピーディーなデザインだったり、早く乾くマニキュアを使っています」
また、わかりやすく見せるために一般のネイルより大きくてはっきりしたデザインを用意しています。
手は70歳
長尾さん:
「こういうちょっと明るいキラキラしたのとか」
成川さん:
「そうだね」
長尾さん:
「かわいいと思います。あとは夏っぽいのだと緑とかもあるけど」
成川さん:
「こっちのがいいね」
成川さん:
「おしゃれには関心があるだね、女は」
長尾さん:
「昔からネイル好きだったんですね」
成川さん:
「そうだね」
こうした施術中のコミュニケーションも、利用者の心のケアにつながるそうです。
長尾さん:
「はい、おわりました」
成川さん:
「ありがとうございます。素敵だね。若返っちゃった」
「手は何歳」
長尾さん:
「70歳!」
成川さん:
「ほんと?ありがとう。93歳でこんなおしゃれさせてもらえたら、幸せだね。長生きすることだね」
職員さん:
「1人2人とやっていくうちに私も私もと言って、だんだん顔つきが少女のような感じで本当に目がキラキラされてて、
ご家族の方からもすごく喜んでますっていう感想をいただいて、私たちもよかったっていうことは思っています」
男性も
こちらの男性は初めてのネイルに挑戦。
この日が妻しずえさんの誕生日ということで、、、
長尾さん:
「しずえさんの名前入れてみますか」
野本さん:
「みっともねえな」
長尾さん:
「それでお誕生日おめでとうって見せたらどうですか」
野本さん:
「それもいいな。」
爪にしずえさん、ハッピーバースデーと書いてもらいました。
職員:
「帰ったら見せないとですね」
野本さん:
「うん。喜ぶら、たぶん」
長尾さん:
「ね。喜ぶよね」
野本さん:
「このばかなんていわれちゃうよ」
今までおしゃれをする余裕がなかった女性も
こちらの女性は、学校に出してもらうのがやっとでおしゃれをする余裕がなかったといいます。
長尾さん:
「どうですか。やってみて」
80代女性:
「きれいだね、いいね。手ばっか眺めてるよ」
長尾さん:
「うん。良かったです」
この日は、二時間で9人の利用者に福祉ネイルを行いました。
長尾さん:
「今後高齢化社会が進む中で、ネイルを通して生きる喜びやネイリストを求めている方がたくさんいると思いますので、これからどんどん広めていきたいと思っています」