ミュージシャンの松田栄作さんを任命 静岡・焼津市の「ミュージック・アンバサダー」って何? 音楽でまちを元気に
静岡県焼津市は初代の「やいづまちなかミュージック・アンバサダー」に地元出身のシンガーソングライター・松田栄作(まつだ・えいさく)さんを任命しました。あまりききなれない名称ですが、そこには音楽でまちなかを活性化させようという焼津市のねらいがありました。(取材・文=三浦徹)
「やいづまちなかミュージック・アンバサダー」は音楽の力で焼津市のまちなかにさらなる賑わいを創出してもらおうと今回、初めて設置されたものです。
●焼津市商工観光課 牧野憲人さん:
「自分は中学時代から音楽活動をやっていて、音楽でまちなかを活性化できないかなと考えていました。2025年に『音楽の町』といわれている川崎市に視察に行き、音楽を使ったまちづくりを実際に見て、焼津でもやってみようと思ったのがきっかけです」
初代アンバサダーとして白羽の矢が立ったのが、地元出身のシンガーソングライター・松田栄作さんです。1985年に焼津市で生まれた松田さんは、2011年、バンド「Sissy(シシー)」のボーカル&ギターとしてメジャーデビュー。バンドが活動休止になってからは、ソロで活動し、2019年にバンド「Odd3Piece(オッドスリーピース)」を結成しました。2025年8月にはファーストアルバムをメジャーリリースしています。
地元、焼津市では、これまで魚フェスやイルミネーション点灯式などのイベントに出演しています。なぜ、松田さんを「やいづまちなかミュージック・アンバサダー」に選んだのでしょうか?
●焼津市商工観光課 牧野憲人さん:
「縁があって、松田さんと知り合いましたが、焼津でプロでメジャーデビューしている方はなかなかいませんので注目していました。地元出身の方なら来てくれるかもしれないという期待を込めて、松田さんに声を掛け、『踊夏祭』や『焼津みなとまつり』などの市のイベントで、実際にライブに出ていただきました。松田さんのライブは市役所の中でもとても好評で、松田さんにアンバサダーをお願いすることになりました。音楽を通して、焼津の音楽の象徴的な存在になっていただくことを期待しています」
実は牧野さん自身も、市役所職員のかたわらメジャーデビューを果たしているプロのミュージシャン。松田さんと同じイベントに出演する機会もあったといいます。
焼津市初の「やいづまちなかミュージック・アンバサダー」を打診された松田さんはどんな気持ちだったのでしょうか?
●松田栄作さん:
「断る理由がありませんでした。夢を追って東京に出ましたが、焼津が大好きでちょくちょく戻ってきていました。音楽を通して焼津で何かできないかなと思い、観光協会に売り込みに行ったりしていましたので、率直にうれしいです。いろいろなつながりがあって、今回任命していただいたので、もう腕をぶんぶん回して、どうしてやろうかなって意気込んでいます」
高校までを焼津で過ごし、その後東京で専門学校に通ったという松田さん。焼津時代はどんな音楽活動をしていたのでしょうか?
●松田栄作さん:
「中学3年くらいにコピーバンドを結成し、合唱コンクールのようなイベントでお遊びで披露していました。中学3年生まで野球をやっていたんですが、最後の大会で僕のエラーで負けたんです。その時に団体プレーは苦手だと思いました。(笑)高校時代は、仲間とバンドを組んでカバーのライブをしたりとか、弾き語りで焼津駅や西焼津駅、藤枝駅でストリートライブを友達とやったりしていました」
ーー焼津の思い出は
「市内で、母と祖父が駄菓子屋をやっていて、そこに学校が終わったらよく行っていました。桜が川沿いにきれいに咲いてる所があって、そこを亡くなった祖父とよく見に行きました。当時は祖父を煙たく思っていましたが、今思えば、もっと見ておけばよかったと思います」
焼津市初のミュージックアンバサダーに任命された松田さん。これからどんなことをしたいですか?
●松田栄作さん:
「地元出身ですが、ライブというのは焼津市民にとってあまり身近なものではありません。もっと身近になるように、たくさんライブをやってみたいと思います。ぼくは音楽を通して地元を盛り上げることしかできないので、自分の主催の音楽フェスなどもやってみたい。焼津をフィーチャーした楽曲なども作っていきたいと思っています。どう使われるかわからないですけど、『こんなのつくりました』と、どんどん押し売りみたいにやっていこうかな(笑)」
ーー市内の観光施設とのコラボも考えている?
「友達が焼津さかなセンターに勤めています。その縁で、2019年に僕の主催の音楽フェスをさかなセンターの広場でやりました。本当は毎年やりたかったのですが、コロナでできなくて。焼津さかなセンターのフェスはぜひ復活させたい。焼津港も会場としていいですね。新しいおまつりのようなものができたら面白そう。今、よさこいチームの楽曲をつくっているので、そういうおまつりにきていただくこともできるかもしれない」
1月29日に市役所では任命式が行われ、焼津市の中野弘道市長から松田さんに任命書と特製名刺が交付されました。
そのあと、市役所の会議室でミニライブが行われ、松田さんがアンバサダーに任命されて初のライブを市民に披露しました。
●松田さん:
「なかなか市役所でライブする機会はないと思います(笑)。とても親孝行になったかな。母が大きな病気をしたときに言った『あなたが大好きな地元の焼津で誰もが知っている存在になってほしい』という一言がきっかけで、今回につながりました。自分をみがいて、焼津の方々に認めてもらって、こいつが焼津の代表だと思ってもらえるように、しっかりとライブもやっていきたい。まだまだこれからです」
あまり地方都市ではみられない、音楽でまちなかをもりあげようという珍しい取り組み。たまたまプロのミュージシャンがいたからこそ実現した取り組みですが、地方活性化の新たなモデルとなることも期待されています。
