静岡・焼津市にゆかりが深い小泉八雲 「ばけばけ」に焼津市は登場するのか?

文豪・小泉八雲の妻が主人公のモデルとなる、NHKのドラマ「ばけばけ」が好調です。現在(2025年12月)の物語の舞台は、島根県松江市。実はあまり知られていませんが、小泉八雲は静岡県焼津市にも深いゆかりがあります。「焼津にて」という八雲の作品もあり、「焼津小泉八雲記念館」には貴重な資料がそろっています。(取材・文=三浦徹)

八雲が泳いだという焼津市の海岸 海の向こうに富士山も見える
八雲が泳いだという焼津市の海岸 海の向こうに富士山も見える

小泉八雲は、来日後はドラマの舞台となっている島根県松江市で過ごしました。でもその期間はおよそ1年くらいだったといいます。

そのあとは、熊本、神戸、そして東京で暮らしたことが知られています。焼津市とのかかわりはどんなものだったのでしょうか?

焼津駅南口の小泉八雲の碑 「焼津にて」の一節が描かれている
焼津駅南口の小泉八雲の碑 「焼津にて」の一節が描かれている

●焼津小泉八雲記念館 学芸員 栗田潤美さん:
「八雲さんは避暑のため焼津にきていました。東京に行ってからの晩年の8年間のうち、6回は焼津で夏休みを過ごしています。長い時だと2カ月ほど滞在しているので、焼津もトータルにしたら1年くらいいたんじゃないかな。焼津に来たときは、仕事である書き物はせず、のんびりすごされていたようで、焼津は心の充電をするところだったようです」

ーー焼津のどこが気に入った?

●焼津小泉八雲記念館 学芸員 栗田潤美さん:
「八雲さんは水泳が得意で、水泳をするための海を探していたようです。沖縄のような砂浜のビーチではなく、大きい石がごろごろしていて、急深な焼津の海を気に入ったようです」

小泉八雲滞在の家跡碑 当時の家屋は明治村に移築
小泉八雲滞在の家跡碑 当時の家屋は明治村に移築

ーー焼津には妻の小泉セツも来ていた?

●焼津小泉八雲記念館 学芸員 栗田潤美さん:
「焼津に来た6回のうち、最初はセツさんも一緒に来て滞在しています。それ以降は途中で妊娠したというのもあるんですけど、基本的には八雲さんと息子さんたちが8月くらいに来て、秋になるとセツさんが迎えに来る形だったそう」

小泉セツも焼津を訪れた
小泉セツも焼津を訪れた

ある人物の存在も八雲が焼津に来る理由の一つでした。それは焼津の魚屋だった山口乙吉(やまぐち・おときち)です。

●焼津小泉八雲記念館 学芸員 栗田潤美さん:
「八雲さんは焼津に来ると、山口乙吉さんの家に滞在していました。すごく仲良くなって、この人が献身的に八雲さんのことをささえたというのもあって、この人に会うために焼津に来ていたと思われます」

焼津を訪れる際は、魚屋だった乙吉の家の2階が八雲の定宿でした。山口乙吉とのエピソードを描いた「乙吉のだるま」という八雲の作品も残されています。

八雲は山口乙吉の家に滞在していた
八雲は山口乙吉の家に滞在していた

「焼津小泉八雲記念館」は2007年に完成。妻のセツにあてた手紙など、八雲ゆかりの品が展示されています。作品に出てくる「乙吉のだるま」も記念館に展示されています。

市内には八雲ゆかりのスポットが多数あり、焼津にまつわる作品も数多く残されています。焼津市観光協会では「小泉八雲ゆかりの地マップ」を作製しそのかかわりを紹介しています。しかし、市民でも知らない人は多いといいます。

「焼津小泉八雲記念館」は2007年に完成
「焼津小泉八雲記念館」は2007年に完成

●焼津小泉八雲記念館 学芸員 栗田潤美さん:
「市内には八雲さんの作品に登場する場所もあり、焼津で過ごした時間が八雲さんの晩年の作品に与えた影響は大きいと思います。学校の授業で習うので、昔から焼津に住んでいる人は知っていますが、最近、焼津に引っ越してきたという人の中には八雲さんとのかかわりを知らない人も多い。みなさんに知ってほしいと思います」

ドラマは9月から放送されていますが、記念館に影響はあったのでしょうか?

作品のモデルになった「乙吉のだるま」
作品のモデルになった「乙吉のだるま」

●焼津小泉八雲記念館 学芸員 栗田潤美さん:
「来館者がすごく増えました。12月の時点で、開館以降最多の年間入館者数になりました。関東圏の人は松江に行くよりは焼津のほうが近いので、とりあえず焼津に行こうという人が多いようです。『焼津さかなセンター』とセットになってバスツアーに組み込まれることも多くなりました。10月、11月は1日に大型バスが3、4台来ることもありました」

開館以降最多の年間入館者数に
開館以降最多の年間入館者数に

ドラマの影響で訪れる人が増えた焼津市。ドラマも中間を過ぎ、気になるのが作品の舞台。作品に焼津市は登場するのでしょうか?

●焼津小泉八雲記念館 学芸員 栗田潤美さん:
「もちろん出てほしいと思いますが、いまだに情報はありません。ドラマも半分を過ぎたのにまだ松江ですから、期待はしていますがどうでしょうか…。 焼津とのつながりをみなさんに知ってほしいので、1シーンでもいいので、出てきてほしいと思います」

焼津小泉八雲記念館 学芸員 栗田潤美さん
焼津小泉八雲記念館 学芸員 栗田潤美さん

現在、記念館では八雲と家族がつづった書簡やスケッチ、関連作品、写真資料などを紹介し、焼津で紡がれた八雲の夏の記憶をたどる特別展「焼津/YAIDU、心の避暑地ー八雲と家族の夏日記」を開催中です。会場では、八雲からセツにあてたカタカナの書簡なども展示されています。特別展は4月19日までです。

 

八雲からセツにあてたカタカナの書簡 (マツノトキ?)
八雲からセツにあてたカタカナの書簡 (マツノトキ?)
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