築77年「日本最古の団地」に住んでみませんか? 静岡市の「羽衣団地」が移住希望者向けの「お試し住宅」に
静岡市は移住者を増やそうと、市営住宅の空き室を移住希望者向けに賃貸する事業を行っています。このたび1948年に建てられた「日本最古の団地」が移住希望者のお試し住宅として、新たに活用されることになりました。(取材・文=三浦徹)
静岡市は2017年から静岡市清水区の「清水船原団地」を、移住希望者への短期のお試し住宅として活用しています。
今年度からは、さらなる、移住・定住の促進を図るため、長期間のお試し住宅として、静岡市葵区の「羽衣団地」をリフォームし、移住希望者向けに活用することになりました。
静岡市葵区駒形通の「羽衣団地」は1948年に着工した、地上4階、地下1階の鉄筋コンクリート造の市営住宅です。製造した年から「48型」と呼ばれるこの建物は、日本最古の鉄筋コンクリート造の公営団地です。
部屋の間取りは6畳と8畳の2K。当時としては珍しい水洗便所やガス設備を完備し、地下には共同浴場を備えていました。
「羽衣団地」は歴史的な価値がある建物として注目されていて、全国各地から研究者や建築を学ぶ学生たちが見学に来るそうです。静岡市でも月に1~2回、一般向けに「見学ツアー」を行っています。
お試し住宅というと、すぐ住めるように最新の設備を備えた住宅をイメージしていましたが、今回なぜ、作られてから77年もたつ古い団地をお試し住宅にするのでしょうか?
●静岡市 住宅政策課 小澤映里係長:
「見学ツアーには幅広い年代の多くの方が訪れています。その中には古い建物に魅力を感じる人も多くいます。今回そんなビンテージが好きな方に向けて企画しました。県外の人限定ですが、これをきっかけに静岡市に魅力を感じて移住する人が増えたらいいと思います」
リフォームが終わったという室内を見せてもらいました。扉は他の部屋と同じ古いままですが、開けると見学ツアーで見た室内とは別物。
玄関には木製のきれいなシューズボックスがあり、その奥には新しいシャワーとトイレが設置されています。水回りは完全にリニューアルしたそうです。エアコンも完備しています。
また2Kの部屋は畳が入れ替えられ、新しい畳の匂いがしました。
「羽衣団地」の特徴である食器棚や配膳口は残されていますが、少し懐かしい、おちついた和室という雰囲気。静岡駅まで歩いて行ける、商店街が近いなど、もともと利便性が高い場所なので、これなら住んでみたいという人もいると思われます。
市営住宅としての扱いではないので、月4万円程度と家賃は少し高めです。対象は静岡県外に住んでいる人のみ。収入面等の条件はありませんが、最低1年以上居住すること(貸付期間は2年未満)、町内会に加入することなどの条件があります。
「羽衣団地」では当時の雰囲気を残したこの「2K復元型」2部屋の移住希望者への賃貸の募集を12月から開始する予定です。
また「羽衣団地」では、「復元型」とは別に、床をフローリングにして洋風にするなど、室内を完全にリフォームする「2K+2Kワークスペース付住宅」1部屋も移住者希望者への賃貸の対象にするということです。
このほか静岡市では、現在「お試し住宅」として使用している清水船原団地の5部屋と駿河区の有東団地の2部屋も、新たに長期の移住希望者に賃貸するということです。
