在庫を多く抱え値下がりが続くコメの価格 「コメ余り」の影響は生産者にも…
値下がりが続くコメの価格。背景にあるのは、在庫を多く抱える「コメ余り」です。静岡県内の関係者からは先を心配する声が上がっています。
静岡市葵区のこちらのスーパー。最も安いのは、5キロ3435円のブランド米です。今年に入って徐々に仕入れ価格が下がり、4月から2カ月連続で値下げし、平均して400円ほど販売価格を下げました。価格が下がったことで、販売数も2割ほど増えたそうです。
銘柄米も値下がり傾向で、去年末に5000円近かった「つや姫」も、今では4000円を切っています。価格を押し下げる要因となっているのが…。
●田子重セナ店 内記寿治店長:
「過剰にコメが余っているのが現状ある。仕入れ業者からも販売を増やしてほしいという要望も(あって)新米が出るまで価格が下がる傾向は続くと思う」
県内でも、“コメ余り”は起きているのでしょうか。こちらは、伊東市でコメの卸売業を営む土屋米穀店。
●大場舞桜アナウンサー:
「ここにあるお米は?」
●土屋米穀店 土屋安弘専務取締役:
「これはJA岩手ふるさとと年間契約しているお米になります」
精米工場に積まれていたのは、およそ30トンものコメ。全国各地のJA全農と年間契約を結び、仕入れたものだといいます。
3月末時点のコメの民間在庫量は、去年よりも97万トン多い277万トン。ここ10年で最大に膨らんでいます。
コメの卸売業者が在庫を抱える“コメ余り”に直面し、“安売り”を迫られる状況が生じているのです。しかし…。
●土屋米穀店 土屋安弘専務取締役:
「他社とか他のコメが安値で取引され始めているので、我々としても取引先から言われることもあるし、対応しなければいけないが、去年秋に金額を決めて契約しているので、どうしたものか非常に難しい。販売量は減ってきているので、コメは余っている状況」
年間契約のメリットは、安定して仕入れができること。一方で、仕入れ価格は契約時に決まるため、柔軟な価格設定は困難だといいます。
年間およそ7000トンものコメを地元のスーパーや首都圏の飲食店などに卸している、土屋米穀店。例年1日18トンのコメを精米・販売していましたが、今は15トンほど。この3トン分が、“コメ余り”です。例年よりも60キロあたり1万3000円ほど高く仕入れたため、値下げは経営を直撃する事態に。
●土屋米穀店 土屋安弘専務取締役:
Q販売しているお米を1袋(5キロ)300円値引きした場合、どれくらいの赤字?
「2億円ぐらいかな」
Q.1袋300円の値引きでも?
「全部やればそうなる。(令和)8年産が来るまでに7年産をなんとか販売しきらなければいけないのである程度赤字を切って対応していかざるを得ない状況」
袋井市に広がる、およそ80ヘクタール=東京ドーム17個分もの広大な田んぼ。現在コシヒカリの田植えの真っ最中ですが、“ある問題”に直面していました。
●佐々木沙羅アナウンサー:
「田んぼを耕すトラクターに欠かせない軽油。中東情勢の影響で価格が高騰しコメ作りのコストが増加しています」
田植えの直前に田んぼを平らにならす代掻き(しろかき)を行うトラクターと、田植え機の燃料となるのが軽油。合わせて1日およそ200リットルを消費するといいます。中東情勢の影響で軽油1リットルあたり20円ほど価格が上昇。単純計算で15万円近くも、追加のコストが生じることに…。
●溝口商店 溝口洋取締役:
「余分に経費が掛かっているものを転嫁するところがどこにもないもんですから、今年の米価がどうなるのか、価格によってはコメが作れないという状況も想定されていますのでやはり先が見えないまま植えているわけですから不安要素しかないですよね」
溝口さんが懸念しているのが、「今年のコメの取引価格」がどうなるのか。
●溝口商店 溝口洋取締役:
「もし去年と同等の金額で取引があれば“コメ余り”は加速するだけだと思う。希望から言うと、2万5000円ぐらいで落ち着いてくれればありがたいなと踏んでいましたけど、どうもそこまでいかないかな」
“コメ余り”の影響は、生産者にも及んでいます。
● 溝口商店 溝口洋取締役:
「僕らが一番心配するのはコメ離れの人が戻らないこと。できれば高く売りたい。でも消費してもらえるものをつくらないと生きていけない。はたして来年もやれるのかという思いはずっとある」