袴田ひで子さん 93歳パリへ行く(2) フランスに到着 記者会見でメッセージ「弟だけが助かればいいと思っていません」【袴田事件】

 フランス現地時間29日早朝、袴田ひで子さん(93)は、空路でパリに到着した。予定より少し早く約14時間のフライトだったが、「ずっと寝ていた。食事もいっぱい食べた」と何食わぬ顔。

 この日の午後、死刑廃止を訴えるNGO団体「ECPM」の記者会見が、フランス外務省で開かれた。ひで子さんが滞在先のホテルで録画したメッセージも流された。ひで子さんは、おととし再審無罪となった弟の袴田巖さん(90)が、死刑囚として拘置されていたときの様子を紹介。「その当時の巖は拘禁反応のため妄想の世界で生活していました」と死刑への恐怖が精神に影響を与えていた実態を伝えた。

 さらに、「巖は解放(釈放)されて12年になりますが、今でも妄想の世界にいます。拘禁症は治らないと思っています」と現状についても述べた。

 そして、「弟だけが助かればいいと思っていません。えん罪で苦しんでいる人はたくさんいます。死刑囚でなくても悔しい思いしている人、死刑囚で処刑されてしまった人。その方たちの無念を晴らすよう応援してほしい」と強く訴えた「ボンジュール」で始め「メルシー」で締めくくったひで子さんのメッセージに、会場からは惜しみない拍手が送られた。

 あす30日は、フランス政府高官も出席するECPMの式典が行われ、ひで子さんもスピーチをする予定だ。
(峰島孝斉)

フランス・パリの外務省
フランス・パリの外務省