熱海土石流から5年…被災した少女が主役のミュージカル 命のつながりの大切さ伝える物語 伊豆山をつなぐ新たな絆と「創造的復興」
熱海土石流から5年を前に、被災した住民や移住者が舞台を共に作り上げました。そこにあったのは、地域への思いと新たなつながりでした。
どこか緊張した表情の小林伊知花さん(11)。熱海市伊豆山に住む小学6年生です。
●小林伊知花さん:
「いつもの自分と変わって、これから頑張ります。結構緊張してるんですよ」
伊知花さんが主役を務めるのは伊豆山神社で行われるミュージカル。熱海市民や移住者などおよそ30人が参加し、伊豆山の未来への思いを込めました。
5年前の7月3日、熱海市伊豆山で起きた土石流災害。28人が犠牲となり、98棟の住宅が被害を受けました。
伊知花さんは自宅が「大規模半壊」の認定を受けましたが、半年ほど前に元の場所に戻ることができました。
●伊知花さんの母・小林あゆみさん:
「色々と我慢させてしまったところはあったと思います。元気にやってますっていうこの者たちが映ることによって、じゃあもう大丈夫なのかなって思われると、そうじゃない方々もまだまだいるんだってことは、皆さんに知ってもらいたいなって」
この5年の中で伊知花さんが出会ったもの。それがダンスとミュージカルでした。
●伊知花さんの母・小林あゆみさん:
「最近のことで言えば、だいぶ他の方への心の開き方が成長したなって思います。いろんな大人の方と関わらせていただいて、信じられる大人が増えたっていうのが、本当に私はありがたくって」
このミュージカルを企画したのは、6年前に伊豆山に移住した田中直人さん(52)です。
●田中直人さん:
「災害があってちょっと危険な場所じゃないかっていう認識をされちゃう場合もあると思いますし、とにかく伊豆山のことをたくさんの人に知ってほしくて」
テーマは「伊豆山の七夕伝説」。
●伊知花さん:
「実はさ…お母さんと喧嘩しちゃってさ」
「偶然!わたしもなんだ」
伊知花さんは親と喧嘩した子ども役。織姫や彦星との出会いを通して、命のつながりの大切さに気付いていく物語を歌とダンスで表現します。
●東京から(20代):
「熱海市の皆さんが頑張ってることを知って、これから私もなんかそういう1つの支えになるように、募金活動とかがあったら参加したいなと思うようになりました」
●熱海市に住む木村芽生さん(12):
「すっごくみんなで楽しい、いいミュージカルができたと思いました」
●小林伊知花さん(11):
「言葉とか、これからの人生みたいな、そういうのが伝わってればいいなって思います」
●田中直人さん:
「被害を受けられた方もステージに立っていたりとか、もしくは客席いたりとかしたんですけど、そういう人たちの顔を見ると涙が出てくるんで、涙をこらえることに必死でした。それぐらいいいステージだったと思います」
●田中直人さん:
「ほんとにこのメンバーでよかったと思います。乾杯!」
公演が終わっても交流は続きます。被災した住民も、移住者も、子どもたちも、伊豆山を思う人たちが同じ時間を共有します。
●キャストの一人:
「伊豆山最高!(拍手)」
●伊豆山に移住 中邨喜美代さん:
「伊豆山が好きな人たちが集まってるっていう、すごいいい感じですよ」
●田中直人さん:
「災害前の伊豆山を超える伊豆山を作るのが創造的復興だと思っていて、伊豆山に来ればなんか優しい人たちたくさんいるから皆で支え合えるよって、そういう町になれたらいい」
●小林伊知花さん:
「自分に自信を持てたことだと思って、ミュージカルをやり切れたのが自信につながっているから、自分が安心できる場所だと思って、仲間をもっと深く知れたと思います」
七夕にちなみ、出演者たちは願いを短冊に託しました。
伊知花さんの願いは。
●小林伊知花さん:
「また123ミュージカルがみんなとできますように」
熱海土石流で多くのものが失われましたが、それでも伊豆山では人と人とのつながりが新たな力になっています。