「魚を追わないのに獲れる」…燃料高騰で注目・江戸時代から続く静岡・伊東の〝待ちの漁〟
中東情勢を受け、ガソリンや軽油などの燃料代が高騰する中、静岡県伊東市の魚を追わない定置網漁が注目されています。
相模湾の伊東沖の定置網にかかっていたのは、スルメイカ、ゴマサバなどの近海魚。この日は、およそ800キロが水揚げされました。
今、注目の「魚を追わない定置網漁」に同行しました。
夜明け前の午前4時。船が向かったのは、港からおよそ800メートルの場所にある定置網です。伊東沖の定置網漁は、海中に仕掛けた網にかかった魚をとる江戸時代から続く伝統的な漁。魚群探知機を使って魚を追う漁に対し、“待ちの漁”とも言われます。
漁は2隻の船で定置網を挟み、網を巻き上げていきます。すると、さまざまな魚が見えてきました。中には、こんなものも。
「ハンマーヘッドでしょうか。大きいサメのようなものがいます」
この日の漁では、せり出した頭部が特徴的なシュモクザメの姿も。水中を見てみると、小魚が群れになって泳いでいます。
網を巻き上げはじめてから、およそ10分。魚を次々に引き揚げます。漁の時間は、およそ1時間半。このような漁を毎日行い、1回の漁で20リットルほど軽油を使います。およそ3180円。追う漁と比べると、半分程度の費用です。ガソリンや軽油などの高騰で苦しい状況の中、移動が少なく、船の燃料を節約できる定置網が今、注目されていると言います。
城ヶ崎海岸富戸定置網 秋元正樹漁労長:「定置網漁はそんな遠くに行かない漁なので、経費がかからなくて、他のことに使える」
定置網を設置するこちらの会社は、伊東沖に2つの定置網を保有。漁のほか、網の設置場所に行き、メンテナンスを1日かけて行うなど、船の燃料代は月90万円かかるそうです。定置網漁のメリットは…
城ヶ崎海岸富戸定置網 秋元正樹漁労長:「キンメダイの漁師が結構いるが、行っても釣れない、何十分かけても釣れないという話をよく聞く。漁に行くのも考えちゃうのかな。(定置網漁は)コツコツ毎日操業しているというのが、僕らのメリットかもしれない」
海水温や潮の流れの影響を受けやすく、漁獲が不安定になりやすいという面もありますが、魚を追ってもとれない可能性がある漁と比べると、効率的です。
鮮魚が自慢の飲食店
とれたて鮮魚が自慢の飲食店。毎朝、社長の中村さんが向かうのは、船着場から船で5分ほどの、海上のいけすです。店が保有する定置網でとれた魚をいけすで保管し、必要な分だけ水揚げするスタイルです。
「中には、タイがたくさんいます」
とった魚をすぐさま店へと運びます。この日はマダイのほか、スルメイカなどを活けづくりで提供。
客:「おいしい。コリコリしている。なかなか歯ごたえがちゃんとしているイカにあたらないので、すごくおいしい」
多い時で1日400人の客が訪れるというこの店。おすすめは「活け活け丼(いけいけどん)」。酢飯の上に、定置網にかかったマダイの刺身がたっぷりと乗っています。(活け活け丼2500円 ※価格と魚は変動あり)
味くらべ 中村圭志社長:「生きた魚を安く仕入れられる。鮮度の良い、一番良い状態でお客さんに出せる。他では食べられない魚を出せる。これが一番良いところ」