「物販過疎」「フライヤー破られた」活動10周年のアイドル 自虐投稿がSNSでバズり1447万インプレッション
静岡市のアイドルが6月、活動10周年を迎えました。時には心が折れることもあったそうですが、それでも活動を続けてきました。どんな思いで10年間、アイドルを続けてきたのでしょうか?
静岡市を拠点に活動するアイドル「のうさぎゆん」さん。静岡市公認まち劇パフォーマーとして活動しています。2016年に活動を始め、今年で10周年を迎えました。普段はどんな活動をしているのでしょうか?
●「のうさぎゆん」さん
「静岡市の『まち劇パフォーマー』として、路上でライブをしたり、ライブハウスのイベントに出演しています。たまに東京のイベントにも出演していますし、自分の主催ライブや撮影会等もやっています。アクスタなどのグッズも自分でデザインして作っていますし、VTuberもやっています。CDも出していて、オリジナル曲が31曲あります。SpotifyやYouTubeなど、いろいろなところで聞けます。最近、SNSにも力をいれています」
先日、10周年記念ライブを終えた「のうさぎゆん」さん。これまでの活動を振り返ると、コロナ禍のころが一番苦しかったといいます。
●「のうさぎゆん」さん
「もともとファンがたくさんついていたわけではありませんが、コロナ前はライブが今以上に多かった。そのころは路上ライブはやっていなくて、ライブハウスだけでやっていました。それがコロナでゼロになって。ライブができなくなった=収入ゼロ。『やばい』って思って。よく生きてきたなと思いました」
これまでのアイドル生活を振り返ると、つらい経験も多かったといいます。
●「のうさぎゆん」さん
「他のアイドルと合同でライブをすると、終演後に物販の時間があります。アイドルが横一列に机を並べてやるので、並んでいる人の列を見ると、そのときの人気がすぐ分かってしまうんです。物販の時間は1時間あるのですが、活動初期のころ、過疎物販に耐えられなくて、途中でやめて『今日帰るね』と笑いながらみんなに言ったのですが、帰り道で『私、向いてないのかな』と泣いたりしました。心が折れてアイドルを、やめたほうがいいのかなと何度も思いました」
アイドルによくあるSNSでの誹謗中傷などもあったのでしょうか?
●「のうさぎゆん」さん
「人気がなさすぎるとアンチ※もつかないんです。『無』なんですよ。ただただ人気がない。私のファンが他のアイドルのファンに『あの子を推してるの?』と笑って言われていて、『なんかごめん』と思ってしまって。やりたいからやっているのですが、『なんで私はやりたいことをやっているのに、こんなにつらいんだろう、みじめなんだろう』と思ったこともあります。でも、やっぱり負けたくない、世界に勝つという思いでやっていました」
※特定の人物や対象を嫌い、攻撃的な言動をする人
SNSが大バズり!
追い込まれた「のうさぎゆん」さんの起死回生の一手がSNSでした。XやInstagram、TikTokへの投稿を続けていたところ、それが大きな反響を呼びました。
●「のうさぎゆん」さん
「2025年の9月にXの『過疎』の動画がたくさんのアンチコメントでバズり、途中から急に海外からもコメントが増えました。これまでほとんど見てもらえなかったInstagramの動画も海外ですごく伸びて、フォロワーが1万人増えました。TikTokもだいぶ前に海外でバズって、フォロワーは3万人います。
私のInstagramを見て、先日の10周年ライブにドイツから日本に来てくれた方もいました。SNSでバズっても、なかなかライブにまで来てくれる方は少ないのですが、国内の遠方の方や海外の方はライブに来られない分、グッズをたくさん購入してくれる方もいました。ありがたかったです」
筆者は、バズったという「のうさぎゆん」さんの投稿を見ました。すると、「ライブに人がいない」「物販過疎」「フライヤーを受け取ってもらえない」など、自虐的な内容ばかり。なぜ、そんな投稿をしているのでしょうか?
●「のうさぎゆん」さん
「全部、実際にあった話です。ライブハウスで物販をやっていたときに、他のアイドルのところには大勢のファンが並んでいたのに、途中から私だけ物販に来てくれる方がいなくなりました。つらかったのですが、隣のアイドルの運営さんに動画を撮ってもらって、そのことを夜に投稿したら、すごく伸びました。また、あるとき路上でフライヤーを配っていたら、6、7人のグループが受け取ってくれたのですが、その場でフライヤーを破かれてしまって。つらかったのですが、それを投稿したら、高橋名人が見つけてくださって、私のことを紹介してくださいました。
いままではカッコ悪いところは見せないようにしていたのですが、実際にあった話を書くようになりました。それで数字が伸びて、一番多いときには1447万インプレッションを記録しました。どれも悲しい内容ではありますが、見つけていただくことはできました」
ようやく世間に見つかった「のうさぎゆん」さん。それと同時に、アンチも増えたといいます。
●「のうさぎゆん」さん
「バズったときにコメントを読んでいたら、アンチコメントがかなり多く、呼吸が荒くなり、スマホを置きました。『整形しろ』と顔の悪口を言われたり、『親がかわいそう』とか。直球で『ブス』とか『お前じゃ無理だ』『アイドル辞めろ』とか書かれていました。
でも、自虐動画を投稿することによって、『こういう悲しいことがあったけど頑張っている』と多くの人に前向きなイメージでも見てもらえて、『あの動画を見て元気をもらった』『自分も大変だけど頑張っているから勇気をもらえた』と言ってもらえるようになりました」
ブレイクにファンは…
10年目にしてSNSをきっかけに注目されるようになった「のうさぎゆん」さん。応援しているファンは、どう思ったのでしょうか?
●ファン(浜松から)
「最初は別のアイドルのファンだったんですけど、6年前に『あなたのファンになりたい』と『のうさぎゆん』さんに宣言しました。ステージから降りて、みんなで一体となって会場を盛り上げようとする彼女のライブは、すごく楽しいです」
――ブレイクしたことはファンとしてどう思う?
「『過疎動画』は自分もその場にいたこともあるので、やらせじゃないって分かります。一緒にライブをしている他のアイドルからも『彼女は頑張ってるね』って言われます。それがファンとしての誇りです」
ようやく見つかった
「のうさぎゆん」さんに、10年のアイドル生活を振り返ってもらいました。
●「のうさぎゆん」さん
「当時、私を知らなかった方が、入院中に元気になりたいとAIに聞いたところ、推し活をするといいと言われ、やり取りしていくうちに私の動画をすすめられたそうです。その流れで、入院中ずっと私の動画を見ていたと、退院してから、ライブに来て、お話ししてくれました。そのとき、私も役に立てているんだと思いました。
いろんな経験をさせていただきました。思い通りにいかないことの方が多かったのですが、悔しい思いや辛い思いを経て、心は強くなりました。もちろん、10年アイドルをやっていてもライブはとっても楽しいですし、ありがたいことに、人に恵まれたな、と思います。出会ってくれた全てのみなさまに感謝しています!」
長年アイドルを続けてきて、心境の変化もあったそうです。
●「のうさぎゆん」さん
「最初はただただアイドルをやりたくて始めました。単なる自己満足です。でも途中から、ライブを楽しんでくれているみんなを見るのがうれしくなりました。自己満足だけじゃなくて、『みんなを元気に、笑顔にしたい』みたいな感じになりました。海外からも『勇気をもらった』などのメッセージをいただいて、私は世界を元気にしているんだなと思いました」
――今後何かやりたいことは?
「よくライブをしている静岡の駅地下を人でいっぱいにしたいと思います。あとは、お世話になったライブハウスをお客様でいっぱいにして、恩返しをしたい。静岡のイベントにも出たいし、テレビやラジオにも出たい。もっと活動を広げて、世界中を元気に、笑顔にしたいと思っています。ライブの情報は『のうさぎゆん公式サイト』にあります! SNSでいろんな印象を持たれたと思いますが、明るく元気にライブをしておりますので、ぜひ見に来てください。お待ちしております!」