【リニア】JR歴代社長が否定的も…リニア議論の中で再浮上した「静岡空港新駅」

 リニア問題の議論の中で再浮上している「静岡空港新駅構想」。JR東海は実現性について難しいとしていますが、いったいどんなメリット、デメリットがあるのでしょうか?

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【リニア】JR歴代社長が否定的も…リニア議論の中で再浮上した「静岡空港新駅」

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山梨・長崎知事「空港新駅は画期的な駅になる」

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静岡県 川勝平太知事(5月31日 都内):「静岡県知事の川勝平太です。静岡県は一貫してリニアに賛成している。このリニアの技術は日本の誇るものであり、これを次世代に継承発展させていかなければならないと思っている」

 5月開催されたリニア沿線都府県で構成される「期成同盟会」の総会。静岡工区が未着工ながらも「リニアには賛成」という立場を強調した川勝知事の発言が注目を集めました。

 この期成同盟会の集まりの中で、静岡県に関して川勝知事“以外”にも注目を集めたことが。それは…。

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山梨県・長崎幸太郎知事(5月31日 都内):「国際空港と高速鉄道が結節する「静岡空港新駅」については、これまでに例のない画期的な駅になると考えている」

「空港新駅」とは…

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 東海道新幹線のJR静岡駅とJR掛川駅の間に位置する静岡空港。実は東海道新幹線は静岡空港の真下を走っています。そこで、新幹線と「空の便」のアクセスを向上させるため、新たな駅を造ろうというのが静岡空港の「新駅構想」です。

 県は2014年から6年間にわたって総額およそ4750万円の調査費を計上。川勝知事もこれまでに何度もこの構想については口にしてきました。

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静岡県 川勝知事(2010年):「空港の真下に新幹線が走っているので、空港新幹線新駅についても強い決意を持って挑むつもり」

静岡県 川勝知事(2019年):「年を追うごとにその重要性が国家レベルでも認識されておりまして、その機能の強化に寄与する新幹線新駅の必要性が高まっているという認識を持っております」

静岡県 川勝知事(今年2月):「駅造れるかどうかの技術的な調査を終えております。できるということです。ただ、すぐに駅を造れるかどうかは、あそこも牧之原台地の上なので、大井川の水ですべてのトイレも食堂も生活も維持されているので、まずリニアの問題が解決しないことには、その話を具体化できない状況である」

JR東海は一貫して「否定的」

 ところが、JR東海側は一貫してその可能性を否定しています。

JR東海 山田佳臣元社長(2013年):「仮定・架空の話でキャッチボールさせられるのは、非常に迷惑な話だと思っている」

画像: JR東海は一貫して「否定的」

JR東海 柘植康英元社長(2017年):「空港新駅はありえませんという話で、私どもの考え方は首尾一貫している」

JR東海 金子慎前社長(2019年):「静岡空港の下に駅を造る計画はない。困難ということで一貫している」

山梨・長崎知事が「空港新駅」発言のワケは

 JR東海がここまで否定して来た中で、なぜ今回、期成同盟会側からこのような話が出てきたのでしょうか。実は、期成同盟会は今年、高速交通に関する研究会を発足させています。会長は愛知県の大村知事。そして、事務局長が今回総会の場で「提案」をして山梨県の長崎知事なんです。

 長崎知事は過去にも「静岡空港の持つ可能性」について発言しています。

画像: 山梨・長崎知事が「空港新駅」発言のワケは

山梨県 長崎幸太郎知事(去年):「(東海道新幹線は)まさに静岡空港の至近距離を通るわけですよね。そこに駅ができればですよ、これは沿線自治体、東海道新幹線の沿線自治体にとって大変大きなメリットを及ぼすのではないだろうか。名古屋と東京の両駅から新幹線で直通したエアポートに行けるわけなので、これはすごく便利な存在になってきうるだろうと、当然山梨県にとりましても、一番近い空港の1つですから、そこが便利になることは大きなメリットになるだろう」

 国内には新幹線駅と隣接した空港はありません。そのため、唯一無二のメリットを生かしたい狙いが静岡県側にもあります。

 ただ、仮に新駅を造ることになっても、これは「リニアが全線開業」した後の話。つまり、「水問題」の解決なくしてこの話はないのです。

静岡県 川勝知事(5月31日):「空港新駅の可能性を言ってもらい、これは本当にありがたいこと。ただ、牧之原台地は大井川の右岸にあり、空港自体も大井川の水によっている。水の問題とこの空港新駅の問題は関係しているので、会長のリーダーシップのもと、研究会が建設的に行われることを切に臨む」

JR東海の丹羽社長も「否定」

 期成同盟会側からも言及された「空港新駅」。ただ、先週会見を開いたJR東海の丹羽社長は、歴代の社長たちと同じく、これを“否定”しました。

画像: JR東海の丹羽社長も「否定」

丹羽俊介社長(8日):「既存駅の停車回数を増加させることを検討するときに、利便性の向上が難しくなる。プラスの効果をもたらすということにはならないということで、設置することは難しいと従前から申し上げている」

 見通しのつかない静岡工区の着工。ただ、一方で“静岡側のメリット”についても、沿線各県が様子を伺い始めているなかで、静岡県と期成同盟会、そしてJR東海の動向が注目されます。