画像: 熱海市内の高台で、地元消防団員の松本早人さん(左)を取材する池上彰氏

熱海市内の高台で、地元消防団員の松本早人さん(左)を取材する池上彰氏

「次に土砂崩れがあったら、私の家も危ない」

ジャーナリスト池上彰氏(70)がこのほど、大規模な土石流災害が起きた静岡県熱海市を取材した。泥にまみれて壊れた自動車が放置されているなど、被災地の現状を確認。救助活動にあたった地元消防団員の松本早人さん(46)は、池上氏に「目の前を家の屋根が飛んでいった」などと、土石流を目の当たりにした状況を詳しく語った。

池上氏 松本さんのご自宅も、崩れた辺りにあるのですか。
松本さん 私の家はギリギリ大丈夫でしたが、2メートル先が土砂崩れでなくなりました。次に土砂崩れがあったら、私の家も危ないと思います。

池上氏 家には戻れる状態でしょうか。
松本さん 目の前の電信柱が倒れかけていて、電線が切れているので、戻れない状態です。今は、熱海港近くにある建物を借りて、家族と住まわせてもらっています。

池上氏 土砂崩れに気づいたのはいつでしょうか。
松本さん 午前10時30分頃、LINEで消防団の詰め所前で起きた土砂崩れの写真が届いて知りました。すぐに現場に駆けつけて、消防車を逃がそうと思いましたが、既に土砂が流れ落ちてきていて、残念ながら避難させることはできませんでした。その後、自宅に戻って、家族を避難させ、地域の住民にも大声で避難を促しました。

池上氏 その時、雨は降っていましたか。
松本さん 結構、降っていました。高齢者が多い地域なので、介護タクシーの車いすを借りるなどして、消防団のみんなで救助、避難に向かいました。

池上氏 伊豆山は、見晴らしがいいですね。どういう方がお住まいですか。
松本さん 高齢者が中心で、皆さん仲良く生活していました。坂道を利用した建物が多いので、大概の建物から海が見えるきれいな街でした。

池上氏 これまで、雨で土砂崩れの心配はなったのでしょうか。
松本さん この辺りも土砂災害の危険地域には指定されていました。しかし、これまでこのような大規模な土砂崩れは経験したことがなかったので、不備になっていました。

「また戻って生活したい」けれど…妻子にはためらいも

池上氏 松本さんは、自宅にまた戻って生活できますか。
松本さん 自分はここで生まれ育ったので、「戻りたい」とは思いますが、女房や子どもは「戻らないといけないの?」と言っています。これから心のケアをどうすればいいのかを考えています。

池上氏 そういう風に家族で話し合いをされている方は、多いんでしょうね
松本さん はい。私たちも今、消防団の活動中に地域住民の方から「戻りたくない」「戻れるのか」という相談を受けています。

池上氏 行方不明の方の中に、お知り合いの方はいらっしゃいますか。
松本さん (リストの)名前を見た中でも、半分の方がそうですし、親せきもいるので、早く救助したいです。

画像: 泥にまみれて壊れた自動車の状態を伝える池上彰氏

泥にまみれて壊れた自動車の状態を伝える池上彰氏

池上氏 海まで土砂が流れたんですよね。
松本さん 自分の仕事は漁業なのですが、港も土砂で埋まってしまったので、復興がいつになるか心配です。自然と地形の怖さを実感しています。

池上氏 あらためて、土石流のスピードをどう感じたでしょうか。
松本さん 報道では「(時速)30~40キロ」とうかがっていますが、実際は屋根が飛んでいく状況だったので、結構なスピードだったと思います。

池上氏 とてつもない速さだったのですね。
松本さん 第1波の時には、屋根、木材が流れてきたのですが、だんだんと泥になって、最終的にはコンクリートの生コンのようなものが、すごいスピードで下りて来る感じでした。

池上氏 それは、ひとたまりもないですね。

池上氏は取材後、「熱海市内には急傾斜地が多いにも関わらず、『ここは地盤がしっかりしているから大丈夫』と思っていた人が多かったんです」と振り返った。しかし、災害は起きた。今回は、「盛り土」が流れ落ちたとされているが、池上氏は「どんな場所でも大雨が降れば何が起こるかわからないという警戒心、危機感を持つことが必要だと感じました」と話している。

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