あの土石流災害から5カ月余り。未だ爪痕の残る逢初橋のたもとに献花台が設置されました。
画像1: 土石流から5カ月 被災した伊豆山地区は 孤立深める住民も… ふるさとのため活動する男性の思い 静岡・熱海市

献花台は市内で林業や花屋を営む有志による手作り。

設置を提案したのは被災者の一人、高橋一美さんです。

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高橋一美さん:
「毎月1回、月命日にこうしたもので盛大にやったらいいよねどう?って言ったら『月一回でよければ協力させて』って言ってくれて。人が人をつないでくれるんだよね。点と点と点がどんどんいろんな所でつながって線になると」

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高橋さんは伊豆山地区で親子代々、80年近く営業してきた青果店と弁当店の3代目。2年前に父親が他界し、店を継ぎました。

弁当は店でも買えますが、メインは配達。

ホテルや旅館、市内の企業といった大口の客から、近所に住む一人暮らしのおばあちゃんまで。
この日は昼だけで200個以上を配達しました。

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配達に同行させてもらいながら、あの日、高橋さんが見たことについて教えてもらいました。

高橋一美さん:
「こういうふうに上から来て半分えぐられちゃってる」

ここは1カ月以上、土砂に埋まったままだったそうです。

ディレクター:
「一美さんは発災の時にはどちらに?」
高橋一美さん:
「別の山に配達に。それで配達から帰ってきて店に着いたら渋滞ができていた、国道がね。動画が撮れたのは交通誘導していたから」

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高橋さんが撮った動画。

店からわずか100m、日常の風景を一変させた土石流の恐ろしさを捉えていました。

そのとき頭をよぎったのは「育ての親」の顔だったといいます。

高橋一美さん:
「学校から帰るとお客さんが『おかえり』って言ってくれて。近所の人たちに育ててもらった。近所の人たちがお帰りって言ってくれて、そういうのを思い出したりね」

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伊豆山地区の住民は半数ほどが高齢者。高橋さんは発災直後から安否確認を兼ねて地域を回りました。

高橋一美さん:
「おむすびでも握って持ってこうかなと思ったけど、飯が炊けない水が出ないでできなくて。何日か経ったら市が避難しなかった人用のお弁当を用意してくれて。でも、町内自体が何人取り残されているのか、何人避難してるのか、してないのかが分かんないから。だから俺らがもう弁当持ちながら1軒1軒回って『おばあちゃんいるの?避難してないの?いるの?』って」

頼まれればトイレットペーパーから猫用の砂まで、なんでも運びました。

配達してもらった高齢者:
「買い物には私、足が不自由だから。こうして届けてくださるのは本当にありがたく感謝いたします」

こうして御用聞きとして活動するうちに感じたのは、「伊豆山にいるみんなの声」を聞く場所が必要だということでした。

高橋一美さん:
「住民がどんどんフラストレーション溜まっちゃって。『なんで、なんで、なんで』って。行政側のスタンスは未来への1年後、5年後、10年後の話ばかり。でも住民はきょう、あす、1週間、どういうふうに生きたらいいかがわかんないから。1年後なんかどうでもいい。住民からすれば、あすどう生きるかが分からない」
「だから僕らは配達行きながら、その声を聞いたり、解決はできないけど聞く事ができるから」

伊豆山の住民たちの小さな声。それを共有する場が必要でした。

高橋さんの声かけに集まったのは高齢者を中心に10人ほど。先月の集まりでは被災後、孤立を深める様子が見えたと振り返ります。

高橋一美さん:
「本当にあぐらかいて、足崩して、せんべいとミカンを置いて。お茶飲みながらやりましょうと言って。でも1人話し始めたら、岸谷地区、仲道地区、浜地区のなになにです。そこから泣いちゃってるんだもんね。人と久々に会ったとか。なんだろうね、人と会うのが怖かったとか。今日来ることすら悩んだとか」
「いい会だったのかどうかわからない。でもみんな、ありがとうって言ってくれて帰ったから。また次回あったら誘ってねっていう言葉があったから、継続したい、回数を重ねたいなというのは思ったけどね」

思いを形にするために。高橋さんはNPO法人を立ち上げました。

名前は「テンカラセン」。

伊豆山の住民が「テン」、自分たちが間に入ることで「セン」になり、みんながつながっていければと願いを込めて。

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この日は地域住民が集まるイベントを計画していました。大みそかに予定する「ローソクまつり」です。

高橋一美さん:
「みんなやりたがる。すごい来ると思う。例えば支援が出来ない人ボランティアできない人が、何かこの日なら私やれそう、何かこの日ならできそうみたいなののきっかけづくりでもいいかなと思って」
「今いる伊豆山の方の声を聞くだけなんですよ。それが行政とか何かアクションがあった時に、いや住民の人たちはこんなふうに悩んでいるよ。こんな問題を抱えているよというのを僕らは発信するだけ」

高橋さんも被災者の一人です。これからもふるさとを思って活動を続けます。

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高橋一美さん:
「災害が起きて、生と死というものに携わった中で、しっかりとした意見を持って行動したいなって思ったんじゃないかな。だから走れるのかな」

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