【シニアの働く理由】従業員の3分の1が60歳以上の会社…81歳女性は「趣味」 交通誘導に従事…91歳の元自衛官「生きがい」
まずは、街ゆく人に質問。「何歳まで働きますか?」
50代女性:「主人が60歳なら、私も60歳にして、そのあとはペースを合わせて楽しむことを主に生活したいなと」
70代男性:「75歳ぐらいまで。亭主元気で留守がいい。女房が喜びますからね、その方が」
一方で、働く必要に迫られるとの意見も…。
30代男性:「70歳ぐらいまでじゃないかな。子どものお金がかかるし、自分のやりたいことをやるには資金も必要なので」
50代女性:「70歳ぐらいまでは現役で働きたい。年金もあてにはできないのかなと」
従業員の3分の1が60歳以上…磐田市のコーケン工業
超高齢社会が進む中、すでに多くのシニア世代が活躍する会社が磐田市に。
コーケン工業 取締役製造部長 高橋直樹さん(52):「最高齢で93歳の方が勤めていた時期があります」
従業員315人のうち、3分の1が60歳以上。1971年創業の「コーケン工業」、農業用機械のパイプを製造する会社です。
コーケン工業 取締役製造部長 高橋直樹さん:「奥の方が私の先輩にあたるんですけど、80代の方になります」
溶接の担当には、70代以上が4人。10代・20代と、孫世代の同僚と働いています。
なぜ、シニア世代が多いのでしょうか。
コーケン工業 取締役製造部長 高橋直樹さん:「価格競争のあった時代に多品種少量生産に特化した会社をつくろうと」
大手企業と差別化を図る、多品種少量生産のためには、職人たちの技が必要でした。60歳の定年後も働くことを希望する人の雇用を続けていて、この20年で定年退職した人はいないといいます。
シニア世代と若者。互いにいい影響があるようです。
鷹野波子さん(79):「ネイルがきれい」とかね、もうきれいじゃん、見て。もう、いろいろ珍しい新しい情報を入れてくれるから」
太田明里さん(20):「若い人たちとそんなに変わらないぐらい元気」
鈴木海景さん(28):「おじいちゃん、おばあちゃんの技術はすごい高くて、尊敬するところはありますね」
コーケン工業 取締役製造部長 高橋直樹さん:「技能を要する職場ではシニアが長くやっていただけるということで、次の世代の目標にもなる」
シニアの皆さんに、なぜ働くのか聞いてみました。
鷹野波子さん(79):「仕事がきつい時もあるけど楽しい。1日のリズムになっていて、朝起きたら会社行かなきゃって」
清川勝代さん(81):「趣味です、私の。この溶接というのが自分に合っていたんでしょうね。孫世代と息子世代と…あともうちょっと頑張ってひ孫世代と一緒に働きたいなと思って、それまで頑張りたいなと思って」
「いま91歳9カ月」仕事は交通誘導の男性「生きがい」
続いては、自転車でさっそうと現れたこちらの男性…。
永田逓児さん(91):「永田逓児と申します。いま91歳9カ月です」
交通誘導の仕事を行っている永田逓児さん、91歳。週5日、1日の勤務は8時間です。
永田逓児(91):「スマホを見て、旗や合図を見てない方がいます。そういう気配がありそうな人を察知して、いつも気遣っています」
事故を起こさないよう、神経を使いながらの立ち仕事。元気の秘訣は…?
永田逓児さん(91):「休み時間には腕を上下に300回を1回として、それを3回で約1000回数えながらずっとやってました。絶えず体を動かすというのを心掛けているむ
永田さんは元自衛官。定年退職後、67歳で交通誘導の仕事を始めると、去年手にしたのが、この腕章…。
永田逓児さん(91):「これは2級資格者という国家資格を合格した人がつけられる。非常に交通が頻繁なところとか、そこには必ず、この資格者が必要なわけです」
なんと、91歳で国家資格を取得。半年間の勉強の甲斐あって、実技試験もある合格率60%(当時)の関門を見事突破しました。
永田逓児さん(91):「まさか自分が受かるとは思っていなかったので、子どものように飛び上がった」
ドリーム顧問 堀内善弘さん:「社外社内問わずに、いい影響が出ている。いわゆる現役世代とかリタイアとか分け方がありますけど、人生って分けられないと思う。そういう意味ではトップランナーなんじゃないかなと」
永田さんにも働く理由を聞きました。
永田逓児さん(91):「生きがいが生涯の望み。なんでもいい、とにかく一生懸命にやれる、一心不乱にやれる、その継続が一番大事だと思いますね」