【袴田事件】事件から57年元捜査員の証言 当時みそタンクに5点の衣類が「なかったことは間違いない」
元捜査員:
「その当時あれば当然のこと証拠として押さえるのは当たり前のことで、だから(5点の衣類が)なかったことは間違いない」
袴田巖さんと犯行を結びつける最大の証拠と言われてきた「5点の衣類」。
事件発生から57年の時を経て、真相が明かされつつあります。
重大な証拠とされた5点の衣類のねつ造の可能性
1996年、旧清水市でみそ会社専務一家4人が殺害された、いわゆる「袴田事件」。
当時、みそ会社に住み込み従業員として働いていた当時30歳の袴田巖さんが殺人罪などで逮捕され、一度は「死刑」が確定しました。
しかし、袴田さんは一貫して無罪を訴え、今年3月に再審開始が正式に決定しました。
そこで、東京高裁が言及したのが、重大な証拠とされた5点の衣類のねつ造の可能性です。
「事件から相当な期間が経過したあとに捜査機関の者が隠した可能性が極めて高い。到底袴田さんを犯人と認定することはできない」
事件から1年2カ月後に、現場付近のみそタンクから発見され、犯行着衣とされた“5点の衣類”…。
元捜査員は…
元捜査員は…。
元捜査員:
「あれば当然そういうもん、証拠として立証するだろうし、私がいた時点ではそういうものが発見されていない。」
事件発生直後にみそタンクの捜索を行った元捜査員。
現場には、みそタンクが5つほどあったと言います。
捜査員は、従業員の生活を考え、新品で手が付けられていないタンクを除いた、2つのタンクを捜索したといいます。
元捜査員:
「捜索をやったときはなかった。だから後から何者かが入れたことは間違いないと思う。誰がやったかわからない」
東京高裁の決定と同様に「何者かが入れた」と話す元捜査員。
捜査機関の関与の可能性については…
元捜査員:
「私は一緒に捜査した仲間がそんなことをして事件をつぶすような人たちではないということは確証を持っている」
今月10日までに冒頭陳述案が
袴田さんの再審を巡っては、現在、静岡地裁・検察・弁護団の間で三者協議を開いていて、裁判の進め方を調整しています。
これまでの協議の中で、裁判所は検察と弁護団に対し、今月10日までに、冒頭陳述案を示すよう求めています。
検察は有罪立証をするかどうか、いまだに方針を示していませんが10日に検察と弁護団が同じタイミングで裁判所に冒頭陳述案を提出するとしています。
また、弁護団は当然、無罪を主張します。
「専門家の鑑定結果から、5点の衣類は、みそタンクから発見される直前に入れられたことは明らかで、ねつ造したのは捜査機関以外に考えられない」としています。
衣類は袴田さんのものではなく、「証拠から排除されるべき」と、主張しています。
さらに、再審では、裁判の長期化を避けるために、弁護団としては新たな証拠を提出しない方針を決めています。
今も彼を犯人だと
検察、弁護団の冒頭陳述案が示されるのを前に、元捜査員は…
元捜査員:
「5点の衣類を外した以外の、いろんな疑問点から言えば、今もって私は彼を犯人だと思っている。それで無罪なり証拠が不十分ということであるならば、それは甘んじて受け入れざるを得ない。当時の捜査が甘かったということしか言えないと思う」
一方、弁護団は。
小川秀世弁護士 20日弁護団会議白より:
「我々は袴田さんが無罪と明らかにしたい」